子どもの生活習慣のリズムが大切なのは分かっていても、なかなか実践できていない人も多いのでは?今回は「なぜ大切なのか」からおさらい。実践のコツも合わせて紹介します。

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教えてくれたのは

中村真奈美さん
助産師、保健師、看護師。病院勤務を経て、現在は出張専門開業助産師として、母乳ミルク訪問、沐浴訪問、子育て相談を行う。また、行政委託の新生児訪問、卒乳教室講師としても数多くのママや赤ちゃんと関わる。2児の母。

幼児期の睡眠負債は発達にも影響

生活習慣のリズムで、まず意識したいのが「睡眠」です。十分に睡眠が取れていないと、日中のパフォーマンスが低下。朝寝起きが悪い、朝食が進まない、園に行くのを嫌がる…。園生活でも、友達の中へ入っていけない、感情のコントロールがうまくできないなど、負のスパイラルに。育てにくいと思っていたら、実は睡眠不足が原因だったという話もよく聞きます。また、免疫低下にもつながります。

さらに、睡眠負債は発達にも影響。小・中学生へと成長するにつれて弊害が出てくることも。幼児期に成長の土台を築く意味でも、睡眠は大切なのです。22時〜翌2時に出ると言われている成長ホルモンのためには、21時には就寝したいものです。質の良い睡眠で副交感神経が優位になると、朝は気持ち良く起床でき、朝ご飯もしっかり食べられ、排便もスムーズに。園でも元気いっぱい遊べます。「寝る」「遊ぶ」「食べる」「排便する」のリズムを整えていくことが、子どもの健やかな成長のカギになります。

整えるコツは?

なかなかうまくいかない人は、まず下記から始めてみて。

1.朝は同じ時間に起こす

突然早く寝かせようとしても寝ません。それよりも朝同じ時間に起こすことを意識して。眠りをつかさどるホルモン・メラトニンを出すには、朝同じ時間に起きて、メラトニンの原料で幸せホルモンとも言われるセロトニンを出すことが重要です。

2.無理をせずに手抜きをする

帰宅後に家事などを頑張り過ぎると時間が押してしまい、結果それがストレスに。無理をせずに、手抜きしましょう。周囲の人や家電、外部サービスなどにどんどん頼って。

3.まず1週間続けてみる

子どもは新しい生活リズムにも意外とすぐなじみます。まずは1週間続けてみて。子どもはルーティンが大好き。いろいろ試すと子どもは落ち着きません。

読者の悩みにアドバイス

読者の生活習慣リズムの悩みについて、中村さんにアドバイスをもらいました。※コメントはぎゅって読者へ2022年4月15日~ 5月6月に実施したアンケートから。n=978

【平日朝編】

  • 朝なかなか起きられず、朝食が食べられないことがある(東京都/ 4歳のママ)
  • 朝食を食べてすぐ保育園に行くので排便の時間が取れない(東京都/ 1歳・2歳のママ)

answer「朝のお楽しみ」で寝室から誘い出そう

登園1時間30分~2時間前に起床するのが理想です。カーテンを開けて部屋を明るくし、「朝のお楽しみ」を作って寝室から誘い出しましょう。朝のお楽しみは、大好きな音楽やテレビ、食べ物などでOKです。

朝食は、起きて5分後に食べられる子もいれば、30分たたないと食べられない子もいます。子どもに合わせて調整を。朝食は同じ時間に食べることで腸内のセロトニンにもいい影響が出るので、意識してみてください。

排便のリズムは、3、4歳ぐらいになるとついてきます。今、小学生の間で便秘が大きな問題に。朝に出す習慣を作るために、朝食の30分後にトイレに5~10分座らせてあげられるといいですね。

【平日夜編】

  • 残業でお迎えの時間が遅くなると、帰宅後のスケジュールもずれ込んで、結局寝るのが23時になったことが…(兵庫県/1歳のママ)
  • 家事や用事をしているとあっという間に時間が過ぎてしまい、子どもの就寝が遅れがちに(大阪府/ 3歳のママ)

answer帰宅が遅くなった日こそルーティンを意識

就寝が遅くなる大きな原因は夕食の準備。手間をかけないことを第一に。献立はシンプルにシラスのおにぎりと汁物といったものでOK。調理家電に頼る、休日に作り置きをするなどもおすすめです。残業などで帰宅が遅くなった日こそ、ルーティンを意識して。大変ですがここで頑張ったほうが、あとがラク!ズルズルと就寝時間が遅くなってしまうと、翌日にも影響が出てしまいます。

また夜の家事は夫婦で分担し合い、子どもの寝かし付けを最優先に。もし就寝時間とパパの帰宅が重なったら、そのままパパも寝室で子どもと一緒にゴロゴロし、寝るルーティンに付き合って。

【休前日・休日編】

  • 休前日はついテレビなどを一緒に見て寝るのが遅くなり、翌朝起きるのも遅くなります…(東京都/ 5歳のママ)
  • 休日に家族で出かけると帰りの車で寝てしまい、疲れがリセットされて夜なかなか寝ないことが多い(東京都/ 5歳・小学生のママ)

answer土曜に遊んだ分、日曜をリセット日に

生活習慣のリズムは、崩してしまうと戻すのが大変です。やはりルーティンが一番。できる限り、休日も平日と同じリズムを意識してください。もちろん、家族でおでかけしてお昼寝の時間が取れず、夕方に寝てしまい、夜なかなか寝られない…、そんな日もたまにはあってもいいと思います。そういった場合は土曜は遊んだ分、日曜はリセット日にするなどの工夫を。

生活習慣のリズムが崩れることで怖いのは、子どもの体調不良。子どももかわいそうですし、親の負担も大きくなります。休日の楽しい思い出が台無しにならないようにしたいですね。

【その他】

  • 上の子の生活リズムに合わせると、下の子の娘の寝る時間が遅くなってしまう(東京都/ 3歳・小学生のママ)
  • 子どもの1人が機嫌が悪かったりトラブルがあったりすると、きょうだいみんなが遅くなってしまう(東京都/ 0歳・4歳・小学生のママ)

answer「きょうだいみんな一緒に」が基本

きょうだいがいる場合、別々に対応するとママの負担が大きくなります。基本は一緒に対応するように心掛けましょう。元々、日本人は子ども時代から睡眠時間が足りないと言われています。下の子に合わせるぐらいがちょうどいいのです。

また、子どもがぐずってなかなか行動できないときは、その子に寄り添い、ぐずっている理由を代弁して共感してあげましょう。周りのきょうだいを「こうしてくれるとママは助かる!」と、同志として巻き込むのも手。協力してくれたら、感謝の気持ちをしっかりと伝えて。そしてきょうだいみんなで夕食、就寝するようにしましょう。

リズムを整えるには、暮らしの見直しを

子どもの生活習慣のリズムを整えるためには、「子どもを変えよう」とするより、まず自分たち=大人が変わるほうがうまくいくことが多いです。夕食を手抜きする、夫婦で家事の分担をする、子どもと一緒に早寝して自分時間は朝に作るなど…。子どもの健やかな成長のために、ママ・パパの暮らしも見直してみませんか。

まずは「大人」から変わりましょう

イラスト/香川尚子

※この記事は、2022年7月発行の「ぎゅって8月号首都圏版」に掲載した記事を再編集したものです