今や日々の生活になくてはならないスマホやタブレット。子どもの創造力やコミュニケーション力を育むツールとして、上手に付き合いながら親子で楽しむヒントを探ります。0歳から楽しめるおすすめデジタルコンテンツも紹介します。

教えてくれたのは

石戸奈々子さん

慶應義塾大学教授。CANVAS代表。(株)デジタルえほん代表取締役。「国際デジタルえほんフェア」実行委員長を務め、「デジタルえほんアワード」を実施。デジタルえほん作家&一児の母としても奮闘中

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一つのツールと捉え上手に付き合って活用を

読者アンケートで「子どもがスマホやタブレットを使い始めた年齢」を聞いたところ、0〜6歳が半数以上を占めました。今や生活に欠かすことのできないデジタル機器と上手に付き合うために、ママ・パパたちは試行錯誤しているようです。

子どもがスマホやタブレットを使い始めた年齢は?

※読者アンケートは2023年10/6~11/2に実施。回答数698

子どものスマホ・タブレット利用法は?

※読者アンケートは2023年6/9~7/6に実施。回答数2282。複数回答あり

テレビや動画 わが家の視聴ルール

長時間の視聴や不適切なコンテンツへの接触など、デジタルにまつわるリスクは確かにありますが、過度に心配して利用を禁止しては、むしろ子どもたちの未来を損なう可能性もあります。

クレヨンや絵の具などの文房具と同じように捉え、一つのツールとして適切に利用する方法をしっかり教えることが大切。デジタルを使うと、家族や友達とのコミュニケーションが増え、新たな知識を得られたり、表現の幅が広がったりするなど、楽しみながら学ぶことができます。

また、さまざまな選択肢を与えられるデジタルは、子どもが自分の好きなことや得意なことを見つけるのにぴったり。「ダメ」と決めつけるのではなく、子どもの好きなことや得意なことを見つけるチャンスとして捉えて。

視聴ルールを決めるときのコツは?

「何歳からなら見てもいいの?」「どのくらいの時間見てもいいの?」などの疑問には、決まった答えはありません。子どもの成熟度、家庭の教育方針、周りの環境などさまざまな状況をしっかり観察・考慮し、“わが家”のルールを作っていく必要があります。

その時のコツは、子どもと話し合うこと。例えば「長い時間見ていると目が疲れちゃうよ」などと、なぜそのルールが必要なのか理由を説明し、親も子も納得した上で決めていきましょう。また、状況が変わったら親子で一緒に見直し、その時々に合った内容にアップデートしていくと良いでしょう。

デジタルとうまく付き合うヒント

読者アンケートで寄せられたデジタルにまつわる悩みについて、石戸奈々子さんにアドバイスをもらいました。

子どもがスマホを勝手にいじって、フリマアプリで商品を購入していました。(埼玉県/5歳のママ)
親のお金を勝手に持ち出すのはリアルでもNGなこと。「デジタルはよく分からない」と敬遠するのではなく、してはいけないことだと伝えましょう。
子どもが動画を一度見始めると、なかなかやめられません。(北海道/4歳のママ)
「ダメ」と叱るよりは、「公園に行こうよ」「折り紙やらない?」などほかの遊びに誘ってみては?子どもの「?」と「!」を大切に、好奇心を刺激する提案をすれば、子どもも気持ちを切り替えやすいのではないでしょうか。
おとなしくしていてほしい時にスマホを渡してしまい、罪悪感があります。(大阪府/2歳のママ)
スマホを渡しっぱなしなのは問題ですが、ママがコーヒーブレイクする少しの間、レストランで料理を待つ間などに見せるのは良いのでは。親がホッとできる時間があれば、再び前向きな気持ちで子どもに向き合えるようになります。

デジタルのトラブル回避術

△ 禁止 利用を禁止すればトラブルは回避できますが、適切な使い方を学ぶこともできず、大人になってからトラブルに合う可能性があります。
△ 技術 フィルタリングなどでトラブルを防ぐことは、一定の効果があります。しかし、技術開発により“いたちごっこ”状態になることも。
◯ 教育 時間はかかりますが、最終的には良い使い方、良くない使い方を子どもが自分で判断できるようになることが大事です。

親子で一緒にワクワクする体験を


小学校でデジタル機器を使うからといって「準備しなければ」と気負う必要はありません。「子どもたちにワクワクする新しい体験を」と思ったら、未就学児を対象にした魅力的なデジタルコンテンツがいろいろあるので、親子で一緒に楽しんでみてください。

小学校でのプログラミング教育が必修化された今、せっかくだから、子どもだけでなく、ママ・パパも一緒に学んでみてはいかがでしょう。親が生涯学び続ける姿を見せることは、子どもの成長にとってもきっとプラスになるでしょう。

石戸さんおすすめ!親子で楽しめるデジタルコンテンツ

Viscuit ビスケット(4歳以上対象)


未就学児から大人まで、絵を描いて遊びながらプログラミングの楽しさを体験できるコンテンツ。簡単なプログラミング言語「ビスケット」を使って、アニメやゲーム、デジタル絵本を制作。自分の作品を投稿したり、ギャラリーでみんなの作品を見たりもできます。
https://www.viscuit.com/

LINNÉ LENS―かざすAI 図鑑(3歳以上対象)


知らない生き物に出合った時、スマホをかざして名前や解説を見ることができるアプリ。魚、鳥、昆虫、哺乳類、両生類、爬虫類、貝、甲殻類など1万種以上に対応。国内の水族館と動物園にいる約9割の生き物をカバーしているので、おでかけのお供にもおすすめ。
https://lens.linne.ai/ja/

Red In Bed(0~5歳対象/iPadのみ対応)


「あかちゃんはベッドのなか」というタイトルのデジタル絵本。風邪で寝込んでいる「あかちゃん」の代わりに、「あおくん」「みどりちゃん」などの友達が色塗りをするストーリー。絵本を読み進めながら、色を塗り、音色を奏でるなど親子で楽しめます。
https://www.redinbedbooks.com/jp.html

編集部おすすめ!世界の「デジタルえほん」が集結!国際デジタルえほんフェア出展作品

ひんやりスイーツデコレーション(3~6歳対象)


パフェやスムージー、ソフトクリームなどの、グラスやフルーツ、トッピングを選んで、自由にデコレーション。簡単な操作で、自分だけのスイーツを作って遊べます。
https://www.yumearu-ehon.com/apps/4551/

ぼくもできる自動販売機(0~5歳対象)


自動販売機で飲みものを買う体験ができます。お金を入れる、ボタンを押す、商品を取り出す、お釣りを出すといった動作がやりたい放題。
https://digital-gene.com/app_vendingmachine.php

イラスト/林ユミ

※この記事は、2024年1月発行の「ぎゅって2月号首都圏版」に掲載した記事を再編集したものです