保育園入園を控えたママ・パパ、そして0歳から子どもを既に入園させているママ・パパにとって、“早期に保育園に入園することの影響”は気になるトピックではないでしょうか。世界各国の研究を元に、その影響について育児の専門家が解説します。

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いまだ消えない3歳児神話

3歳児神話とは、「子どもが3歳になるまでは母親は子育てに専念すべきであり、そうしないと成長に悪影響及ぼすという考え方」のことです。この3歳児神話は1950年にイギリスのボウルビィ医師によって、「子どもは3歳ごろまでの間に母親の手元で育てられないと、成長に悪影響が及ぼされる」と提唱されたことに端を発する理論で、日本でも広く認知されています。

しかし、このボウルビィ医師が提唱した「愛着理論」では、「3歳までの養育者や周りの大人との愛着形成は非常に重要である」とされていて、その相手は母親に限定されていません。つまり、「特定の相手=母親/父親/保育園の先生なども含まれる」と考えられます。母親の元にいなくては悪影響ということではありません。

保育園入園に関する世界各国の研究

育休の長さに関する研究

ドイツにて、母親が育休を取得した期間の長さが、子どもが大人になってからの就業状況や所得にどう影響しているのかを調査した研究があります。

その結果、育休取得の長さ(つまり、生後母親と一緒に過ごした期間の長さ)は、将来的な子どもの就業や所得にほぼ影響を与えないことがわかっています。このテーマでは、ドイツだけでなく複数の国で研究が行われていて、同様の結果が出ています。

参考書籍:山口慎太郎『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』(光文社新書)
参考記事:本がすき。「育休の長さは、将来の子どもの進学・所得には関係ない!――経済学で考える「家族の幸せ」のウソ・ホント」

保育園入園と言語発達に関する研究

保育園に早期に入園することにメリットがあるという研究もあります。フランスで行われた研究で、早期に保育園に入園した方が6歳時点での言語能力が高いという結果が出ているのです。

参考文献:Alexander Gelber, Adam Isen, Children’s schooling and parents’ behavior: Evidence from the Head Start Impact Study, Journal of Public Economics, Volume 101, 2013
参考記事:VERY「【東大医学博士ママが教える】「0歳から保育園」は子どもの将来にどう影響する?」

母親が仕事をすることについての研究

お茶の水女子大学の菅原ますみ教授の研究で、269組の母子を12年間追跡した調査で、3歳未満で母親が働いても、子どもの問題行動や子どもに聞いた母子関係の良好さ、母親に聞いた子どもへの愛情の悪影響は認められなかったという結果が出ています。

参考記事:NHK LIFE CHAT「『3歳までは母親が家庭で子育てをした方がよい?』母を悩ます”3歳児神話”」

どんな決断も尊べるような世の中であってほしい

この記事は決して、保育園こそがすばらしく、みんな早期に入園させるべきという意図ではありません。なにごとにも良い面、悪い面があるのは事実。0歳入園を不安に思っている母親自身が一番わかっていると思います。

ただ、「早期入園は悪いことばかりではない」と伝えたいと思っています。育児の得意不得意や感じ方は人それぞれ。働いていた方が気分転換になって、子どもといる時間をやさしく過ごせるタイプの母親(私はこちらです)にとっては、働くことは子育てにポジティブな影響を及ぼしてくれるでしょう。

どんな決断も尊べるような世の中であってほしいと願っています。そして、すべての母親たちを心から尊敬し、応援しています。

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ねんねママさん

乳幼児睡眠コンサルタント(CISA/米国IPHI資格)。個別コンサルテーションやねんね講座の他、運営する「寝かしつけ強化クラス」では月間200問以上の睡眠に関する質問回答を行っている。日本初の乳幼児睡眠を専門に学べるYouTube「寝かしつけ専門学校 ねんねママちゃんねる」を立ち上げ、運営。その他にもInstagramやVoicyなどのSNSでも寝かしつけに悩む親向けの情報を発信中

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