今、世界で注目されるNVC(非暴力コミュニケーション)。「NVC 非暴力コミュニケーションワークブック ~親と子どもが心でつながる「キリン語」の子育て~」(小学館)の著者kokoさんにインタビューしました。

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世界がNVC「キリン語」に注目! どんな作法?


NVC(Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)という言葉を聞いたことがありますか?子育てをしていると「何回言ったらわかるの?」「いいかげんにして!」といった、暴力的な言葉をつい発してしまいがちです。

NVCのメソッドを習得して、親子関係を良好にするための本「NVC 非暴力コミュニケーションワークブック ~親と子どもが心でつながる「キリン語」の子育て~」(小学館)が発売されました。NVCはキリンのように広い視野を持ち、大きなハートを保つことを心がけることから別名「キリン語」と呼ばれ、今、世界で注目されています。

子育てに限界を感じたときに出会った


―NVCは、日本ではあまり知られていませんが、世界では注目されているワードですね。
私が知って10年以上たちますが、年々注目度が上がっていると思います。現代社会でストレスを抱える人が、自分自身を整えようという流れの中で聞くようになりました。世界的企業の研修で採用されたり、日本でも教えるガイドが増えたり、小学校などでも取り入れられているようです。

―kokoさんとNVCの出会いを教えてください。
娘が4歳のとき、縁もゆかりもないコスタリカ共和国に移住し、すべてのストレスが子どもに向かいました。「早くしなさい」「何やってるの」という声がけばかり。「母親としての自信もなくなるし、娘も自信がなくなる、このままだとまずい」と感じたときにNVCを知り、学び始めました。

―すぐに効果が?
学んだその日、帰宅後すぐに使ってみました。NVCには「観察、感情、ニーズ、リクエスト」という作法があり、それにあてはめて伝えました。

「床におもちゃが4つ、下着が3枚落ちているね(観察)。悲しいな(感情)。ママは整理整頓とか協力が大切だから(ニーズ)。ママの話を聞いて、どう思うか教えてくれる?(リクエスト)」。
すると
「うん、私も困っているの。だって片付け方が分からないんだもん」

と予想外の理由が返ってきました。一気に娘の大切にしていることがわかったし、私が大切にしていることも伝えられた。娘の反応もだんだん変わってきて、ハマりましたね。

―子育てでいうと、どういう効果がありますか?
大人の側でいうと「子育てはこうあらねばならない、こうすべきだ」という正論でなく、「私は親としてどうしたいのか」という“ニーズ”を掘っていき、自分と向き合います。一方、子どもとは何を大事にしているのかを確認し合い“共感”しながら関係性を作っていきます。手間はかかりますが、私は魔法のように子育てが楽しくなりました。また、娘自身が人と比較せず、自分を大事にする子に育っているなという実感があります。

自分と向き合う、NVCの魅力

―子育てだけではなく、人間関係、夫婦関係にも応用できますね。
その通り。子育て以外のコミュニケーション…夫婦、同僚、友達にも使えるものです。「どんな気持ち?」って簡単な問いかけなんですが、あまり面と向かって聞かないですよね。自分に対しても聞いてみてください。

―書籍を「ワークブック」という形にした理由を教えてください。
記入するワークがあれば、少し立ち止まれるし、振り返ったり、未来を考えたりもできるということで、ワークブックにしました。巻末には切り離して使える「感情とニーズのカード」も付いています。かばんにしのばせて「今、どんな気持ち?」「何が大事?」とゲーム感覚で遊んでみてください。私も子どもとよくやりました。

―NVCを続けていくポイントはありますか?
一人でやっても、なかなか深まらなかったり、楽しくなかったり、さぼっちゃったりすると思うので、ママ友や保育園のサークルなどでやってもいいと思います。その時間は自分と向き合う時間と決めて。コミュニケーションを変えたい、どうにかしたいと思ったら一人で悩まないでほしいし、この本がきっかけになればいいなと思います。

ウェルビーイングにもつながるNVC


―自分を知ることは、今注目のワード「ウェルビーイング」にもつながりますね。普段、kokoさんが、ウェルビーイングのために意識していることはありますか?
ウェルビーイングってどういう環境に自分をおくかで左右されると思います。まず環境を整えるということと、「覚悟を決める」ということが大切かな、と。プライオリティー(優先順位)を考える。ジャンクフードを食べ、スマホを見て、運動せず、ネットでエンタメ…となりがちなとき、自分にとって何が大事なのかを考えます。どう生きていきたいかライフデザインをして落とし込んだときに、1日の流れが決まっていきます。

一方で、だらだらするということも「余裕を持とうとする覚悟」といえます。余白を作るということも大事ですしね。特にNVCは心にスペースがないと難しいです。

―自分と対話する時間を持てていないと思う人にメッセージを。
すごく簡単なことでいうなら「呼吸」を意識してほしいです。1回ゆっくり大きく深呼吸して、1分も続けたら、体もゆるむし心もゆるみ、スペースができます。何かをしなくてもゆっくり呼吸をして、モヤモヤの原因…焦っていた、休みたかった、優しくしてほしかったなど、立ち上がってくる感情を受け入れるスペースが生まれると思うんですよね。1分、2分でも自分を労る時間が1日何回か持てると、いいのかなって思います。

お話を聞いたのは

koko(丹羽順子)さん

NVC、瞑想、ブレスワーク、セクシャリティーのガイド。2017年、アメリカ最大のNVCの団体「BayNVC」主宰の年間リーダーシップ・プログラムを終了。対面とオンラインで、多くの人にNVC講座を開催している。ヨガとサーフィンを愛し、コスタリカ共和国と日本の二拠点生活中

この本を5人にプレゼント!

今回紹介した「NVC 非暴力コミュニケーションワークブック ~親と子どもが心でつながる「キリン語」の子育て~」を5人にプレゼントします。下記から応募を。
プレゼント応募はこちら
【締切:7月9日(火)まで】

写真/多田直子(バロンフォトワーク)、文/寺山美穂