/ 2017.05.16

子育てで難しいことの一つが、褒め方と叱り方。そこで長年、保育現場に携わる若盛清美先生に、ママから寄せられたお悩みにアドバイスをもらいました。

お話を聞いたのは

若盛清美さん

わかもりきよみ/埼玉県で初となる認定こども園「こどものもり」副園長。園長である夫とともに40年以上にわたって保育に携わる。「すくすく子育て」(NHK Eテレ)にも出演。

※この記事は、2017年1月発行の「あんふぁんぷらす 2月号」に掲載した記事を再編集したものです

index目次

褒め方のお悩みにアドバイス

【お悩み1】0歳児でも褒められていることは分かるのでしょうか?

0歳児でも親の表情や声色を認識しています。ママが笑顔で「かわいいね~」「いい子だね~」と話し掛けてあげれば、赤ちゃんも笑顔になるでしょう。愛情いっぱいの言葉は健やかな発達を促すので、たくさん褒めてあげてください。

【お悩み2】わが子を褒めるのが苦手です。どうすればいいのでしょうか?

無理に褒めようとしなくても、子どもと一緒に遊んでいれば自然とポジティブな言葉が出てくるはず。子どもにとっては「ありがとう」「楽しかったね」などの言葉や、にこにこして抱き締めてもらうのも、褒められているのと同じです。

【お悩み3】褒めすぎはよくないというウワサを聞いたのですが…

そもそも「褒めすぎる」ということはありません。本心であればいくらでも褒めてあげてください。ただし、「褒めなければ」と無理に心のこもっていない褒め言葉を乱発するのはおすすめできません。

【お悩み4】きょうだいの片方を褒めるともう片方がスネてしまいます…

「いつもいい子ね」などの褒め方はもう片方がスネやすいので、良い部分を具体的に褒めて。褒められる姿を見て、片方も「褒められたい!」と向上心を持つようになります。一方だけをいつも褒めることがないよう、バランスにも配慮を。

叱り方のお悩みにアドバイス

【お悩み1】イヤイヤ期のせいか、叱るとかえって言動がひどくなります

イヤイヤ期は「自分でやりたい」けれど「思い通りにできない」という葛藤の多い時期。イヤイヤが出ても叱らず、まずは優しく「そうか、◯◯がイヤなんだね」と共感して、応援するスタンスで話しましょう。子どもは「ママは分かってくれた!」と安心して、落ち着きやすくなります。

【お悩み2】何度叱っても同じことをするので私がイライラ…

これはつまり「なぜやってはいけないのか・どうするべきなのか」を理解できていないということ。頭ごなしに叱るのではなく、きちんと心に染み込むように教えましょう。怖い顔で何回怒っても、できるようにはなりません。

【お悩み3】1歳児は叱っても意味がない?

たとえ1歳児でも人をぶったときに「ぶったらダメよ。痛いよ」と真剣な顔で教えていくことは大切です。もちろん、1回でぶたなくなるわけではありませんが、繰り返して教えるうちに自発的に行動を抑止できるようになるでしょう。

【お悩み4】食事中のマナーが悪く、つい叱ってしまいます

まずはママや周囲の大人がお手本になって。大人が食事中に立ったり座ったり、スマホを見てはいけません。「こうやってお茶碗を持って食べるのがマナーなんだよ」と教えれば、「マナーって何?」と関心を持つきっかけにもなりますよ。

【お悩み5】私とパパの叱る基準が違うはダメ?

基準はあったほうがいいので、夫婦で相談しましょう。叱る基準は「人に危害を加えること」「公共の迷惑になること」など最低限のことに絞ってください。

また、叱るときに夫婦二人で追い詰めると、子どもは逃げ場を失ってしまいます。ママが叱るときは、パパは横で静かに見守るといった役割分担はあるといいですね。

大切なのは、子どもの成長を支える「やる気」

園の先生がとても重視するのは、子どもの成長を支える「やる気」。褒めるときは「やる気を高めるように」、叱るときは「やる気の芽を摘まないように」と意識するそうです。

みなさんも若盛先生のアドバイスを参考に、やる気を引き出す褒め方・叱り方を実践してみましょう!