子育てに自信のあるママなんてどこにもいない!家庭教師・塾講師、東大生・早大生を育てた母であり、子育てセミナーを主催する楠本佳子さんに教わる連載コラム「能力をのばす子育て」。53回目は「子どもに仕事の必要性を教えるには」。

子どもに「仕事の必要性」を伝える

働くお母さんたちは、子どもを小さいうちから保育園に預けることに罪悪感をもつ人も多いと思います。子どもに“仕事”だとわかって欲しいと思いつつも、それはある程度の年にならないと難しいものです。

たとえば、子どもが言葉を理解できるようになったら、働かなくては食べていけないこと。そのために、パパもママもお仕事に行くのだと教えてあげればいいと思います。

実際、同じ保育園に通っているお友だちの親も、みんな働いているのだから置かれている環境は同じです。親が遊んでいるわけではないので、子どもに申し訳ないと感じる必要はないんですよ。

泣き叫ぶわが子を…。

私は上の子が生まれたとき、住まいは目の前が公園のマンション。同じマンションにも友だちが多くいました。次に引っ越ししたところは官舎。これまた同年代に子どもがたくさんいて官舎の敷地内に遊び場所がありました。毎日朝夕、公園で遊ばせていました。

そして上の娘3歳のとき、下の子を出産のため実家へ。そのとき急に転勤が決まったのです。全く身動きとれない私は(そのとき安静にしてなくてはいけない状況でした)任せるしかありませんでした。

そんな状態で3月末に引っ越し、4月に上の娘は幼稚園へ通い出すことになりました。知らない環境、お友だちも誰もいない状況で幼稚園がどんなところかもわかりません。

入園式のとき、園児のど真ん中で泣き叫ぶ娘。先生に「お母さん、横についていて」と言われ、そばにいました。

さて次の日、自転車のうしろに乗せて幼稚園に向かうと「ねえ、どこに行くの?ねえどこに行くの?」といつもは元気いっぱいの娘が、今にも泣きそうな声でか細く、不安そうに尋ねてきました。

かわいそう、と思ってしまいますが、家庭の事情でどうにもできないこともあります。そこは割り切るしかありません。

子どもにとって何が一番大切なのか

子どもへかわいそう、ごめんね、と思う気持ちは少なからず誰にでもあると思います。家でもっとゆっくり遊ばせたいし、子ども自身も自由に遊びたいことがたくさんあるでしょう。

でも小さいうちから保育園へ通っている子どもは、早くから「集団生活」というものに慣れていきます。集団生活に慣れないと、のちのちに困るのは子ども自身です。

いつまでも家でお母さんと一緒に過ごすというわけにはいかないのです。そこに罪悪感を持ってしまうことが、今度はお母さんのストレスになってしまいます。

「かわいそう」と思うのではなく、自分ができる範囲で、子どもに何をしてあげられのか、考えてあげればいいのです。

家事を一緒にやってみる

親と離れている時間が長ければ、子どもは親といっしょにいたいもの。でも、家事もしなくてはいけない。ではいっしょに家事を手伝ってもらいましょう。

はじめは、時間がかかるかもしれません。でも、子どもも家族の一員であること。家の中の仕事は子どもにも手伝ってもらって、ママやパパを助けて欲しいこと。

それが彼らこどもたちの責任あるお仕事で、子どもがお仕事をしてくれなかったら、家庭がうまくまわっていかないというところまで、子どもに伝えれば、子どもも誇らしく思うし、親を助けているという自信にもなります。

そして、本当に上手に手伝えるようになれば、親は大助かり。最初は余計な時間も手間もかかります。でも、これが親子の大事なコミュニーケーションであるとか、遊んであげているつもりでやってみてください。

他の人と比べる必要はありません。自分のできる範囲でいいのです。

この記事を書いたライター

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楠本佳子さん

こどもみらい塾(岡山)」塾長。自身の子育てや教育経験を活かし、ママを対象としたセミナーや個別相談も行っている。著作に「12歳までに勉強ぐせをつけるお母さんの習慣」>ホームページはこちら

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