子どもの甘えを放っておくと、わがままな子になってしまうのではないかと心配ですよね。そもそも、甘えることは、いけないことなのでしょうか。今回は、「甘やかす」と「甘えさせる」の違いについてお話します。

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子どもの「甘え」ってどういうこと?

子どもをどこまで甘えさせていいのか、その境界線はとてもわかりにくいですよね。子どもが「だっこ~」と言ってきたり、膝の上に乗ってきたりするのは、親に甘えたいサイン。

このように、子どもは「親の愛情がほしい」と思ったときに、親に甘えてきます。 「○○して~」とおねだりしたり、「イヤ~」と言ってダダをこねたりするのも、親に甘えて、親からの愛情を感じたいから。

この甘えを親に受け入れてもらえると、さびしさや不安が消え、子どもの心は親の愛情で満たされるだけでなく、「自分は大切にされている」という安心感と自信を得ることができます。

そして、この安心感が「自分でがんばろう」というやる気を引き出し、自立につながっていきます。

親に甘えられないとどうなる?

これとは反対に、親に甘えたいのに、甘えさせてもらえなかった子どもは、どのように育つでしょうか。

子どもは、気持ちを満たしてくれなかった親に対して、怒りやうらみの感情を持ちます。自分を愛される価値のない人間だと思い、だんだん自信を失っていきます。

また、甘えが足りないと、親以外の周りの相手にも不満や怒りを感じて、攻撃的になったり、被害者意識を持ったりすることがあります。子どもが関わるお友だちなどの人間関係が、うまくいかなくなることもあるかもしれません。

「甘やかす」と「甘えさせる」の違い

「甘えさせる」というと「甘やかす」と思われがちですが、この2つは似ているようでまったく違います。

甘やかす」とは、子どもが自分でできることを親が先回りしてやってしまうこと。これは、過干渉または過保護とも言います。また、おかしやおもちゃ、お金など、子どもの物質的な要求に応えてしまうのも甘やかしです。

甘やかしは、子どもに言うことをきかせようとする「親の都合」の対応とも言えるでしょう。

一方、「甘えさせる」とは、子どもが親の助けや愛情を求めてきたときに、その気持ちを理解し、認めてあげること。つまり、子どもの心理的な要求を受け入れることです。

親に甘えることができ、心が満たされた子どもは、安心感と自信を土台にして、自立の道を歩んでいきます。

「甘えさせる」ことは、子どもの健やかな成長には欠かせないもの。「甘えさせすぎでは?」と心配する必要はありません。

たくさん甘えられた子ほど自立する

子どもを「甘えさせる」ことは、決して悪いことではありません。また、わがままで自己中心的な子どもになるということもありません。

わがままで自己中心的な子になるのは、「甘やかした」場合です。

「甘えるな!」と厳しく育てた方が自立すると言われることがありますが、これはかえって子どもが萎縮したり、反抗したりするだけ。

たくさん甘えることができ、満足度の高い子どもほど、自立した人間に育ちます。

十分甘えられたと感じた子どもは自然に自立していきますので、子どもが求めてきたときには思う存分甘えさせてあげましょう。

「甘やかす」と「甘えさせる」はまったく別もの。十分に甘えさせてあげることで、子どもは安心感と自信を得ることができ、自立の道を歩んでいけるのです。

この記事を書いたライター

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佐藤麻依子さん

大学院3年生と大学2年生の男児2人の母。子育て&中学受験カウンセラー歴18年。「子育て3ステップ会話法®」を考案。著書『男の子のための魔法のこえかけ 3ステップしつけ法』。独自のコーチング講座や子育て心理学協会の「ココロ貯金®」講座を提供。イヤイヤ期・思春期・反抗期・受験期の悩みを解決します!

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