今回は子どもの自主性をどのように育てたら良いのかということを取り上げます。子どもが「自分でできる」ようになることを支援するモンテッソーリ・メソッドの教室から、自宅でもできる子どもとの関わり方を紹介します。

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「自分のことは自分で!」

ファスナーを自分で閉めようと何度もチャレンジ中です

モンテッソーリというと「子どもが興味を持っていることを自由にさせる」、「子どもの気持ちに寄り添う」という特徴がクローズアップされることが多いのですが、それらと同様に「自分のことは自分で行う」という生活の基本について教えることも大事にしています。

2~3歳ごろの子どもは自分の中に「秩序感」を育てる時期ですから、ルールやお約束ごとを教えるのに適しています

また、「自分でしたい!」という欲求にあふれる時期でもあるので、自主性を伸ばすきっかけを作ることもできます。

私の勤務する「モンテッソーリ原宿子供の家」では、自分のことはなるべく自分でする習慣をつけられるように子どもに接しています。

2歳児であってもハサミやのりなどの道具を自分で出し、使い終われば自分で片付けています。靴の脱ぎ履きは自分で行い、脱いだ服はハンガーに掛け、おやつを食べた後の食器は当たり前のように片付けることをしています。

子ども自身が「自分のことは自分で」するのを当たり前と感じるようになるには、大人の関わり方が大切です。

2歳児クラスの例:紙くずを集めてゴミ箱に捨てる

2歳児クラスの例をひとつあげてみます。

ハサミやのりで工作をした後の机やイスの下には紙くずがたくさん散らばっています。大人がささっとゴミを拾って捨ててしまえば、ものの数秒きれいになるかもしれません。

しかし、これは子どもが学ぶチャンス!すかさず子どもを呼んで一緒に紙くずを拾います。紙くずを集めたらゴミ箱の場所まで一緒に行き、「ここに捨てようね」と捨てるところを見せます。

次の機会には「ゴミ箱の場所、覚えているかな?」と声をかければ、子どもが一人で集めた紙くずを捨てられるようになるかもしれません。覚えていなければ、もう一度ゴミ箱の場所を案内すればいいだけです。

何度か繰り返しているうちに、子どもは一人で机の上を片付けるようになります。

子どもに教える3つの手順

子どもに教える手順は以下の3つです。

  1. やり方を見せる、一緒に行う
  2. 忘れている部分を思い出させてあげる(怒らない、焦らない)
  3. 見守っていたことを伝える

各項目のポイントを詳しく見ていきます。

1.やり方を見せる、一緒に行う

先ほどの後片付けの例では、「机の上やイスの下のゴミを集め、ゴミ箱の場所まで持って行き、捨てる」ところまでを子どもと一緒に行います。

子どもにやり方を見せるときは「言葉よりも動作で見せる」ことを重視します。

特に手を動かしながらしゃべりすぎると子どもが混乱する原因になります。見ることに集中できるように、ゆっくりとやっているところを見せてあげてください。

上の写真は縫い物をしている2歳児に玉結びのやり方を見せているところです。

大人が子の後ろに回ると子どもが動作をよく見ることができますので、向き合って見せる方法よりもおすすめです。隣に座ってやって見せる方法も良いと思います。

2.忘れている部分を思い出させてあげる(怒らない、焦らない)

一つの行動を覚えるには時間がかかります。まだ一人でできないようなら、どこにつまずいているのか考えてみてください。

ゴミを捨てることを忘れているようならば、「ゴミ箱に捨てるって言ったでしょう?」よりも「ゴミはどうするんだっけ?」と考えさせるように誘導してみましょう。

ゴミ箱の場所がわからないようなら、「ここだったよね」と案内してください。(ここが大人の忍耐かもしれません。怒らず、焦らずに見守りましょう。)

絨毯(じゅうたん)の巻き方、覚えているかな?

3.見守っていたことを伝える

子どもは自分の頑張りを大人に見ていてほしいと思うものなので、終わった後には「見ていたよ。きれいに片付けられて良かったね。」となるべく忘れずに声をかけるようにしています。

自分で出したものは自分で片付けるのが本来なので、「片付けて偉いね」よりも「自分で片付けられるようになって良かったね」と声をかける方が適しています。

また、「もうできるようになったの?すごいね!」も子どもが大好きな言葉です。

出かける前など急いでいるときには、「時間がないから、急いで片付けてしまおう!ママのお片づけとどっちが早いかな?よーいどん!」とゲームのようにするのもいいかもしれませんね。

多少片付け方がきれいでなくても、そこは目をつぶってあげましょう。子どもが「自分でする」気持ちを持てることが大切です。

この記事を書いたライター

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堀田はるなさん

モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。

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