パパの家事参加も増えてきているとはいえ、読者アンケートによると、未だに80%以上のママが「家事の7割以上」を担当していると感じています。これからの共働きファミリーの家事シェアはどうあるべき?佐光紀子さんに聞きました。

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お話を聞いたのは

佐光紀子さん

翻訳家、ナチュラルライフ研究家。2016年から上智大学大学院で日本の家事のあり方を研究し、修士号を取得。近著に『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』(光文社)、『家事のワンオペ脱出術』(エクスナレッジ)がある。

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Q:家事の全体量のうち、ママの担当分はおよそ何割ですか?

2020年5月11日~6月6日:ぎゅって読者アンケート有効回答数 733人

読者アンケートでは「パパとうまくシェアできない」「パパが協力的でない」という声も。家事シェアがうまくいかない人は4つのコツを押さえてみましょう。

解決策を相談する

シェアしたい家事は、パパと「◯◯はどうしたらいいかな?」と相談しましょう。そのとき、便利な家電の購入や、外部サービスを頼むなど、「ママ・パパ以外の選択肢」も含めて検討を。「夫婦で面倒を押し付け合う」のでなく、「楽しく暮らしていくための解決策」を一緒に考えてみましょう。家事初心者や、あまり協力的でないパパには「やってもらうとママが感謝できて、パパが得意なもの」を任せるといいですよ。

「職場の後輩」に教える気持ちで

家族だとコミュニケーションがつい荒くなるもの。パパがうまくできないと、「ちゃんとやってよ!」といったキツイ言い方をしてしまいがちですが、これはNG。パパを「職場の後輩(部下ではない同僚)」だと思って、言葉を選びながら教えましょう。後輩が育てば自分はラクになるのです。後輩が萎縮せず、やる気が出るように促して、伸ばしましょう。「上司と部下」の命令にならないように気を付けて。

やり方は任せる

ママの中には家事の「正解」があるので、パパにも「私のやり方でやってほしい」と思いがち。やり方が違うと口を出したくなりますが、任せたらぐっと我慢してください。やり方が気になるときは「なんでそうしたの?」と聞いてみて。パパなりの考えやこだわりがあるなら、「そういうやり方もあるね」と認めましょう。シェアを進めるには結果が同じならやり方にこだわらないことが大事。やり方にこだわりがある家事は、自分でやったほうがもめませんね。

「尻拭い」をしない

パパがやるべきことを忘れたときの大事なポイントは「怒らない。でも『尻拭い』もしない」。例えば、パパがゴミ捨て後、新しい袋をゴミ箱に掛けていなかったら、そのままスルーしてみて。ママが袋を掛けてしまうと、パパは「自分が忘れたらどうなるのか」を学べません。ママも尻拭いするとイライラしますし、「ちゃんとやって」と小言も言いたくなるもの。尻拭いは、双方にとっていいことがないのです。

子どものお手伝いはどうする?

これからの時代、男女問わず「家事ができない人」は困るはず。幼児期から生活技術として身に付けてほしいですね。

やり方やコツを見せる

お手伝いはやりたがる子もいれば、興味ゼロの子も。教えるよりも、一緒に作業をしながらやり方を見せましょう。一緒に買い物に行って「いつもの牛乳」を取ってもらったり、調理のときに開けたパックを不燃ゴミに捨ててもらったりすることで、子どもたちは自然と家事を身に付けていきます。

毎日の役割を与える

3歳くらいになったら家族の一員として、役割を与えるのがおすすめ。「玄関の靴をそろえる」「食事の前にテーブルを拭く」など、できそうなことを一つ選んで、毎日やってもらいましょう。最初はうまくできなくても、小さなことから積み重ねていけば、いずれ立派な戦力に!

「ありがとう、助かったよ」

お手伝いしたら「上手だね、えらいね」ではなく、「ありがとう、助かったよ」の言葉を。「役に立った!」というやりがいや自信につながります。さらに子どもの前でパパや祖父母に「いつもテーブルを拭いてくれて、助かるのよ」などと話せば、ますますやる気がアップ!

messeage「夫婦がよければOK」を着地点にしよう

「楽しく暮らすために家事がある」と考えれば、つらいことはやめたり、誰かに頼んだりしてもいいし、ちょっと棚上げすることだって選択肢。平日の家事はサボって子どもとたっぷり遊び、休日はファミサポに数時間、子どもを預かってもらって集中的に家事をするというのも、一つの方法でしょう。

家族が楽しく暮らす方法は、夫婦で考えるべきことです。他の家庭と比べず、世間体に惑わされず、“当社比”で「夫婦がよければOK」を着地点に考えてくださいね。

※この記事は、2020年9月発行の「ぎゅって10月号首都圏版」に掲載した記事を再編集したものです

イラスト/シュクヤフミコ