「国旗あそび」は子どもの興味を広げたり、深めたりするきっかけとしてとても有効です。今回は、塗り絵や絵カード合わせなど具体的な遊び方から、子どもの興味を学びにつなげるコツまでを紹介します。

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私たちの住む地球や世界への興味を広げる「国旗」という入り口

どうやって地球ができたのか?最初の生命はどのように生まれたのか?どのように進化し、今のヒトが生まれたのか?「世界が何でできているか」という疑問は西洋哲学の出発点でもありますが、幼児も同様に身の回りの出来事にとても高い関心を持っています。

モンテッソーリのプログラムには、主に動植物などの自然・宇宙・地理・歴史を学ぶ「文化」という学習領域があり、私の勤務先では主に年長児が盛んに取り組んでいます。幼児の「文化」の活動は、日本の小学校課程で学ぶ「理科」「社会」で扱う題材を多く含んでいます。

例えば地理の分野では、子どもたちが粘土で地形のモデルを作ったり、日本や世界地図を自分で作るなどの活動を通しての地球全体への理解を深めていきますが、そのきっかけとして「国旗」はちょうど良い入り口になります。

もともと、世界の国旗の美しいデザインや鮮やかな色使いは子どもを自然と惹きつけるようです。年長児だけでなく、まだ「国」という概念がよくわからない2歳や3歳とといった年齢の子どもも、国旗の活動に興味を示します。今回は家庭でも楽しめる「国旗」を使った幼児の遊びについて紹介します。

塗り絵でデザインに親しむ

子どもが自分で好みの国旗を選べるように、年齢にあった塗り絵を用意します。見本を見ながら、子どもが自分で色を確認します。

3歳児用の色塗り見本です

3歳児にはクレヨンで、日本・フランス・イタリア・スウェーデン・ノルウェーあたりのシンプルで塗りやすいデザインの国旗を用意します。広い範囲を塗りつぶすことでだんだん筆圧をかけられるようになります。

4歳児以降は色鉛筆をおすすめします。アメリカ・マレーシア・クロアチアなど細かいデザインのものにも挑戦できるよう様々な国旗を用意します。なるべく塗り残しがないよう丁寧に塗るように子どもに伝えます。

年長児が塗ったギリシャの国旗

国旗を塗るときには、必ず子どもと国名を確認しましょう。「これが日本の国旗だよ」「これはフランスだね」と様々な国々に興味を持つきっかけにできると良いですね。

塗り終えたら、裏面に自分で国名を書くと良いですが、まだ文字が書けない子どもの場合には大人が代わりに書いてあげましょう。

出来上がった国旗はぜひお部屋に飾ってみましょう。国旗が増えていくのも子どものモチベーションに繋がります。ぜひ大人も一緒に塗って楽しんでみてください。

国旗モチーフのパズルや遊びも楽しい

国旗に慣れてきたら、ジグソーパズルやカードなどで遊んでみるのもいいですね。写真は遊びの一例ですが、輸入雑貨店で購入した国旗カードです。34カ国の国旗が2枚ずつセットになっています。海外のものなので国名が外国語で書かれているのですが、絵柄だけで十分遊べます。

3〜4歳児なら、カードを表にした状態で同じ国旗を探してペアにする遊びはいかかでしょうか。子どもの発達度合いに合わせて5〜10カ国分のカードで遊びます。

5歳以上なら、カードを裏にしてトランプの神経衰弱ゲームのように同じ国旗のペアを探してみましょう。こちらも子どもの発達に合わせてカードの枚数を調整するといいですね。

文字とセットにしてみる

自分の好きなことをきっかけにカタカナを覚える子どもが多いので(例:恐竜、車のメーカー、ポケモンの名称など)、国旗に慣れてきたら文字にも親しんでみましょう。

国旗と国名(文字)とを一致させる活動ができるように絵と文字のカードを作ってみました。まだ書けない子どもでも、文字の形を見分けながら活動できます。

色やデザインがバラバラの6各国を選んでカードにしてみました。手作りするなら、お子さんの好みの国を選んでみるのも良いと思います
「絵と文字のカード」、「絵のカード」、「文字のカード」の3種類です

基本の使い方

  1. 「絵と文字のカード」を1枚ずつ見せる。国旗を指してどこの国のものか紹介する。続いて文字を指して「○○って書いてあるよ」と紹介する。6枚のカード全てを紹介して、机の上に並べる
    「これはインドという国の国旗だよ」「カタカナでインドって書いてあるよ」
    全ての「絵と字のカード」を紹介し終わりました
  2. 「絵のカード」を子供に1枚ずつ渡して、同じカードの下に並べる
  3. 「この国旗と同じのはどれかな?」
    全ての「絵のカード」を並べ終わりました
  4. 「文字のカード」を子どもに1枚ずつ渡して、一致する「絵のカード」の下に並べる。文字が読めなくても「絵と文字のカード」に照らし合わせて同じ文字を見つけられる。
これと同じ文字はどれだろう?
これじゃないね
あった!見つけた!
ここにおきます
「字のカード」を全て並べられました

慣れてきたら…

カードの一致に慣れてきたら、こんな問題の出し方もあります。いわゆる「お勉強」ではなく、楽しみながらやってみましょう。

  • 「絵のカード」を見せて国名を問う
  • (文字が読めるなら)「字のカード」を見せて国旗を選ばせる

さらに発展!

  • 各国の有名なものを話して聞かせる 例:「オーストラリアにはコアラやカンガルーが住んでいるよ」

もっと深めてみよう

国旗の活動は3歳くらいから可能ですが、年長の年齢になると世界地図と絡めて知識を広げていくことができます。地図上に国旗シールを貼ってみるのも楽しいです。

ただし、単に国旗を貼るだけではつまらない作業になってしまうので、子どもの好きなことと絡めていくと良いでしょう。例えばサッカーの好きな子ならサッカー強豪国を中心に調べたり、人気のある選手の出身国を調べてみるのも楽しいです。宇宙好きの子なら宇宙センターがある場所を、車好きの子なら車のメーカーのある場所を調べてみる…などなど出発点はなんでも構いません。

モンテッソーリの活動の肝はただ単に知識を覚えることではなく、自分なりの興味をきっけけに学びを深めていくことです。好きなことだったら子どもも集中できますし、もっともっと知りたくなります。

「興味」を「学び」に変える、ちょっとしたきっかけ作りを大人が手伝えるといいですよね。

この記事を書いたライター

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堀田はるなさん

モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。

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