/ 2020.11.24

働く環境の変化で残業や飲み会が減り、子どもと過ごす時間が増えたパパが多いようです。今号は、パパの子育てについてもっと知るために玉川大学の大豆生田啓友先生にお話を伺いました。

index目次


ぎゅってがパパを対象に行ったアンケートでは、「子どもの成長を毎日間近に感じられてうれしい」「妻の大変さが分かった」など、おうち時間を過ごす中でこれまでにない発見があったという声がたくさん届きました。今回は、パパが気になっている疑問で多かったものについて大豆生田先生に聞きました。

お話を聞いたのは

大豆生田啓先生

玉川大学 教育学部 乳幼児発達学科教授。専門は幼児教育学、保育学、子育て支援。幼稚園教諭の経験を持つ。NHK「すくすく子育て」に出演中。役立つアドバイスにママたちの信頼が厚い。

▶『「パパはイヤ!ママがいい~!」をどう解決?パパのための子育ての話』はコチラ

こんなときどうする?Q&A

Q:しつけや教育方針がママと合いません。子育て方針って作ったほうがいい?

「何でママはあんなに怒るんだろう」「考え方が合わないな」と疑問に思うことがあったら、一度話し合ったほうが良いでしょう。しかし、普段何もしていないパパがいきなり持ち出すのはNG。自分も半々以上にやっているなら対等に議論してもいいと思いますが、そうでない場合は普段の感謝と気遣いを忘れずに「ああいうときはどうしたらいいかな」「違うやり方で頑張ってみよう」とワンクッション置くことが大切です。

Q:仕事が忙しくて子どもと過ごす時間があまりとれません。

時間がとれない人は子どもの前に、まずママへの気遣いを最大に。ママの意見をちゃんと聞く、気遣いをする、限られた時間の中でどこをやると一番良いかをママに聞いてもいいかもしれません。パパの独りよがりで頑張ろうとすると「それは必要ない」ということも(笑)。また、ママにうまく仲介役になってもらうことも大事。「パパってブロック遊びがすごく上手なんだよ」というように、子どもが一番信頼しているママが“いい”と言っていることに関しては子どもも一目置くという研究結果もあります。

Q:子どもの前で夫婦喧嘩はNG?

子どもはパパとママが機嫌がいいことが一番好きなものです。パパとママが幸せでいることが子どもの幸せにつながっています。ですから2人がもめていることをとても辛く感じているでしょう。それは年齢が小さくても感じるものです。できれば子どもの前で感情むき出しのケンカは減らし、対話ができるといいですね。

Q:男兄弟で育ったので娘との遊び方が分かりません。

子どもと遊ぶときは、自分の原体験がベースになっているので、おままごとなど、小さい頃にしたことがない遊びは分からないこともあるでしょう。その場合は子どもに聞いてみましょう。言葉にできる年齢だったら意外とアドバイスしてくれるものです。そして子どもの反応をよく見て「これは楽しそうだ」「イヤそうだ」など確かめながらいろいろ試してみてください。子どもはきっと喜ぶと思いますよ。

Q:遠出ができず、近所の公園だけ。経験が希薄になりそうで心配…。

若い世代のパパ・ママは“ 遊び”というと買い物などモノの消費や、レジャーなどのイベント感があるものをイメージしがちですが、子どもにとっては葉っぱを拾ったりと何気ないことも立派な“遊び”です。まずは子どもの好きな遊びにとことん付き合うことが大切です。また、自然体験の場に出向くだけでも子どもはさまざまなことを発見し、親はリフレッシュもできるでしょう。

0歳児はおうちの中でボールを転がしたり、ハンカチ1枚渡したりもらったりするだけでも楽しい遊びです。ベビーカーに乗ってただお散歩するだけでも、きっといろいろな発見をしているはず。そういった経験を大切にしてくださいね。

Q:ママが子どもを怒っているときは何かフォローをするべき?

ママ一人で解決できそうな場合は見守るのが良いでしょう。しかし、ママが困っているなら助け舟を出しましょう。例えば、子どもが夜寝ないときは「じゃあ、パパと寝てみる?」と違う提案をすることで子どもも切り替えやすくなることがあります。

諦めずに夫婦で話し合ってみましょう

夫婦で話し合いの時間を持つのはなかなか難しいかもしれません。乳幼児期の初期の段階で、どちらかが(特にママ側が)やるせない思いをして、話す気がなくなってしまうことが多いように思います。しかし、ママが「やっぱり分かってくれない」「自分が頑張るしかない」と諦めてしまうと対話になりません。パパは子育て・家事に関わっている分量が違うことで分からないだけということも。

家にいる時間が長くなったことで、自分が担う部分が大きくなる経験をしていれば、その大変さや気持ちが分かってくるでしょう。これから先も続く子育てにおいて、保育園時代は大切な時期。相手への気遣いを大切に、夫婦で対話する時間を持てるといいですね。

パパの子育て・家事がみんなの幸せにつながります

パパが子育てや家事に積極的であるということ、楽しみながら参加していくことは、ママが幸せであること、子どもの幸せ、そしてパパ自身の幸せにつながることです。自分ができる無理のない範囲で頑張ってみてくださいね。(大豆生田先生より)

※この記事は、2020年11月発行の「ぎゅって12月号首都圏版」に掲載した記事を再編集したものです

イラスト/米村知倫(Yone)