仕事に育児に忙しい日々、わが子やパートナーについイライラして怒ってしまい、「あんな言い方、しなきゃよかった…」と後悔することはありませんか? 今回は自分の怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」について紹介します。

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Adviser

戸田久実さん

アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役、日本アンガーマネジメント協会理事。アンガーマネジメント等をベースにしたコミュニケーション研修の実績豊富。『「つい怒ってしまう」がなくなる子育てのアンガーマネジメント』(青春出版社)など著書多数。

▶後悔するような怒り方はしたくない。イライラしたときの対処法は?後半記事はコチラ!

なんでわが子にイライラしちゃうの…?

※対象がパートナーの場合は「子ども」を「パパ(またはママ)」に置き換えてみましょう

    誤った思い込み

    「自分の子どもは自分の思い通りになるもの」という思い込みがあり、思い通りに動かないと腹が立つ

    子どもへの期待

    「1回言ったらやってほしい」「◯歳なんだからできてほしい」などの期待が実現しないことが不満になる

    親の責任感

    「この子を一人前に育てなければいけない」「こんなこともできないとまずい」と焦りを感じる

    親の保身

    「他の人からしつけができていないと思われたくない」「わが子がちゃんとできないと恥ずかしい」などと思う

「子どもは思い通りにならないもの」と割り切ることが第一歩

愛するわが子やパートナーに対してイライラしがちなのは、上に書いたようにいろいろな思いが絡んでいるから。しかも怒りには「身近な人ほど強くなる」という性質があるのでやっかいです。

イライラを減らすには、まず「そもそも子ども(またはパートナー)は私と別人格。思い通りにならないもの」と割り切ることが大切です。別人格なのですから、やってほしいことの真意が分からなかったり、気分が乗らなくてやらなかったりすることもあって当然。この割り切りができないと、自分自身も、怒られる側も余計なストレスが溜まってしまいます。

子どもやパートナーにイライラする頻度

2020年11/9〜12/4ぎゅって読者アンケート。有効回答数534人

イライラを予防するには?

できることならイライラしないで、いつも心に余裕を持っていたいもの。そのためには普段からやっておきたいことがあります。

怒りとうまく付き合う「体質改善」に取り組んでみよう

アンガーマネジメントの定義は、「怒りとうまく付き合うための心理トレーニング」。「怒らない人になる」を目指すのではありません。「あんな怒り方をしなければよかった」「あのとき、もっとちゃんと怒るべきだった」などと後悔する
ことがなくなるように、怒りとうまく付き合う方法を体得していくのです。

また、「トレーニング」という言葉が含まれるように、日々の取り組みが大切です。ダイエットや筋トレと同じで、1日やるだけでは大きな効果は得られません。「イライラしやすい体質の改善」を目指して以下のステップで取り組んで
みましょう。

STEP1:アンガーログをつけてみる

アンガーログ(怒りの記録)をつけましょう。アンガーログ用のアプリ、スマホのメモ機能、手帳、専用ノートなどツールは何でもOK。「いつ・どこで・どんなことで怒りを感じたのか」と「そのとき思ったこと」を記録しましょう。1~3週間ほど記録すると、自分の怒りの傾向が客観的に見えてきます。

感情的にグチを書くのではなく、理性的に記録をつける認識で

日本アンガーマネジメント協会による無料アプリ「アンガーログ」。毎日の感情をスタンプとメモで記録できる。
© 2016 Anger Management Asia inc.

ハッピーログもつけてみよう
「ハッピー」に感じたことを記録するのもおすすめです。「子どもが夕飯をおいしいと言ってくれた」「仕事で自分が考えた企画が採用された」など、毎日書くことで、「ささやかなハッピーに意識が向くようになって、イライラすることが減った」という人もたくさんいます。

STEP2:べきログで自己分析する

アンガーログから自分の「こうする“べき”」を把握しましょう。例えば、「使ったおもちゃは自分で片付けるべき」という「べき」があったら、それを「OK /許容/ NG」の3段階に分けてみて。許容ゾーンを広くするとイライラが減らせます。この「べき」は夫婦で共有しておくとベスト。

出典:日本アンガーマネジメント協会

※この記事は、2021年2月発行の「ぎゅって首都圏版特別号spring」に掲載した記事を再編集したものです

イラスト/みやしたゆみ