2021.02.15 / 2021.02.22
仕事に育児に忙しい日々、わが子やパートナーについイライラして怒ってしまい、「あんな言い方、しなきゃよかった…」と後悔することはありませんか? 今回は自分の怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」について紹介します。
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Adviser
- 戸田久実さん
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アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役、日本アンガーマネジメント協会理事。アンガーマネジメント等をベースにしたコミュニケーション研修の実績豊富。『「つい怒ってしまう」がなくなる子育てのアンガーマネジメント』(青春出版社)など著書多数。
▶イライラしがちな自分を変える!怒りのコントロール術。前半記事はコチラ!
イライラしたときの対処法は?
どんなにイライラしても、後悔するような怒り方はしたくないもの。特に保育園ママにおすすめの方法を紹介します。
6秒ルールの誤解。衝動的な行動を避ける方法を見つけよう
イライラが爆発して怒っても、暴言を吐く、手を挙げる、ものを投げる、八つ当たりをするなどの衝動的な行動は避けたいもの。人は怒りが沸点に達したときも、6秒経つと理性が働き始め、怒りに任せた衝動的な行動を抑えることができます。ただ、たった6秒でもやり過ごすのは難しいもの。下に簡単な対処法を3つ紹介しますが、他の方法でもいいので、自分に合うものを探してみてください。
また、対処法は習慣になるまで続けることが必要です。うっかり忘れてカッと怒ってしまっても、「次は忘れずに」と意識していけば、いずれ習慣化できるでしょう。 ちなみに、「6秒待てば怒りが消える」と誤解があり、「6秒待っても効果がない!」という人もいますが、怒りはそんな簡単には消えません。6秒待つのは、あくまで理性を働かせるためです。
Ex1.怒りを数値化する
怒りを感じた瞬間、「今の怒りは10点満点中、何点か?」と考えてみて。1点は「軽くムッ」、2点は「イラッ」、10点は「人生最大の怒り」。点数をつけることに意識を向けている間に理性が働き出して、6秒をやり過ごせるでしょう。
Ex2.決めたフレーズを唱える
怒りを感じたときに、あらかじめ決めておいたフレーズを唱えるのも手軽な方法です。「まあいっか」「これも成長」「た
いしたことじゃない」でも、好きな俳優の名前やドラマの決めゼリフでも、心が落ち着くフレーズならなんでもOK。
Ex3.深呼吸する
単純な方法ですが、深呼吸をすると副交換神経が優位になって落ち着きやすくなります。鼻から4秒かけて吸い、口から8秒かけて吐いて。吐くときに体の力を抜いて、体の緊張状態を緩めましょう。呼吸に意識を集中するのがコツです。
「怒りすぎちゃった…」そんなときは、後悔よりも解決志向で
「怒ること=悪いこと」ではありません。親として子どもを怒らなくてはいけない場面もあるでしょう。自分で「怒るべきときに適切に怒った」と自信を持てればいいのです。
もし衝動的に怒りをぶつけたり、過剰に怒ってしまったりしたときは、「さっきは言いすぎちゃったね。ごめんね」と素直に謝って。そして後悔や反省よりも、もっと大事なことは、「次からどうしたらいいか」を考える解決志向です。同じような怒り方を繰り返さないために、「イライラしないために何をしよう?」「怒りたくなったらどうやって落ち着こう?」と、今後の行動を考えましょう。
今は怒りをうまくコントロールできなくても、少しずつできるようになっていけば大丈夫。完璧な親なんていないのですから、「自分はダメな親だ」などと自分を追い込まないようにしましょうね。
怒るときのポイント
子どもを怒るときは、理性が働くまで待って、以下のポイントを押さえて伝えましょう。パートナーに怒りたいときもポイントは同じです。
リクエスト形式で伝える
怒るときの基本形は、冷静なリクエスト。「今すぐにおもちゃを片付けてほしい」「明日は野菜を残さず食べてほしい」など、何をどうしてほしいのかを具体的なリクエストの形で伝えましょう。
「なんで」で責めない
理由を知るための「なぜ」はいいのですが、尋問や詰問の「なんで」は意味がありません。子どもは「なんで◯◯なの!」と怒られても、「なんでかなぁ」と思うだけ。さらに問い詰めれば、思考停止か、言い訳を始めるか、「ごめんなさい」と言うしかないのです。
誇張しない
何度も同じことをすると、「いつもそうだよね !」など、「いつも」「必ず」「絶対」などと誇張して怒りがち。でも言われた方は「できるときもあるのに、間違ってるよね?」と気持ちが疑問へ向かってしまいます。
人格否定しない
「バカじゃないの」「だらしないよね」「お友達はちゃんとできるのに」といった、人格否定や自己肯定感を下げるような言葉は禁句。怒りに任せて勢いで言ってしまわないように気を付けましょう。
戸田さんからメッセージ
子どもにまねされたい怒り方を
子どもは親のすることを見て、まねをして、できるようになっていきます。「人にやさしくね」と教えても、親がやさしくしていなければ、子どもはできるようにならないでしょう。怒り方も同じです。「ありえない」「むかつく」など単純な表現でなく、「ママはこれがイヤだったんだよ」「こうしてほしかったんだよ」と理性を持って、的確な言葉で伝えるようにしていけば、子どももいずれ同じように怒りをコントロールできる子になりますよ。
※この記事は、2021年2月発行の「ぎゅって首都圏版特別号spring」に掲載した記事を再編集したものです
イラスト/みやしたゆみ