子どもの食事で困ることや悩むこと、いろいろありますよね。読者アンケートでは「食事で困ったことがある」と答えた人はなんと約97%! 食事の時間を楽しめていない人は10%超いました。

そこで今回は管理栄養士で乳幼児の食事に詳しい太田百合子先生に、お悩みへのアドバイスや年末年始におすすめの食育について聞きました。

※2021/9/14~10/8ぎゅって読者アンケート。有効回答数585

教えてくれたのは

太田百合子さん

管理栄養士。東洋大学などの非常勤講師、指導者や保護者向け講習会講師、Eテレ「すくすく子育て」出演など多方面で活躍中。日本小児保健協会栄養委員や日本食育学会代議員も務める。「子どもの食と栄養 保育現場で活かせる食の基本」(羊土社)他、著書多数。

子どもとの食事時間は?

子どもとの食事について

「食事が楽しい、好き」になることを目指そう

今は幼児教育でも食育が重視されていますが、食育のゴールは「なんでも食べられるようになる」ではなく、「子どもが将来、自分自身で健康を考えて、無数にある食品の中から必要なものを選んで食べられるようになる」こと。乳幼児期はその下地作りとして、食への関心や「食事って楽しい!」という気持ちを育むことが大切です。

子どもの食事の進みには、空腹感、食への意欲や関心、環境、集中力、そしゃく力、好き嫌いなど、たくさんの要素が複雑に絡んでいます。それらを踏まえずに、「栄養があるんだから全部食べて」「頑張って作ったんだから残さず食べて」などと無理強いすれば、食事が苦痛になってしまう可能性もあります。

乳幼児期から食事を好きになるには、「家族で楽しく食べる」という経験が重要です。「食べきれなければ無理しなくてい
い」とおおらかに構えて、できるだけ楽しく食べられるように環境や調理方法、声かけなどを考えていきましょう。

年末年始のおうちで食育アイディア

おうちでも食の関心を高める方法はたくさんあります。クリスマスやお正月の「行事食」も絶好の食育チャンス。家族で行事食を作ったり、味わったりして楽しみましょう。

クリスマスディナーの食材を相談する

チキンやサラダ、スープなどを作るとき、具材や味付けを考えてもらいましょう。

味見をしてもらう

調理のお手伝いまでは無理でも、ちょっと味見してもらえば参加した気分に。

食材の買い物に行く

一緒にスーパーに行くのも立派な食育。年末年始には、珍しい食材が並んだり、独特の活気があったりして、いつもと違う買い物が楽しめるでしょう。

だしをとる様子を見せる

普段は顆粒だし派でも、年越しそばやおせちを作るときには、だしをとると特別感が出ます。子どもにも様子を見せたり、においをかがせたりしてみて。

いろいろなおもちを食べる

お雑煮や焼きもちはもちろん、きなこ、大根おろし、ゴマだれなど、いろいろな味にトライ。食物繊維やたんぱく質も豊富なおしるこや、あんころもちもおすすめです。誤嚥(ごえん)、窒息予防に3歳までは小さく切りましょう。

折り紙や工作で食べ物を作る

普段できないことにも取り組みやすい長期休暇。おうち時間に、折り紙や工作で食べ物を作ってみてもいいですね。

食べ物が出てくる絵本を読む

年末年始に限ったことではありませんが、食べ物が出てくる絵本は日常的な食育におすすめ。苦手なものでも「絵本で見たら食べてみたくなる」ということもよくあります。

【太田先生のおすすめ】(左)『ぐりとぐら』中川李枝子 作・大村百合子 絵(右)『くだもの』平山和子 作 ※いずれも福音館書店

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※この記事は、2021年12月発行の「ぎゅって12月号首都圏版」に掲載した記事を再編集したものです

イラスト/上路ナオ子