「危ないよ!」「ダメだよ!」毎日続く子どもとの攻防戦。ケガや事故から子どもを守りたい。とはいえ、もっと自由にやりたいことに挑戦させてあげたい。アンケートから見えてきたぎゅって読者の悩みに答え、親子の安全力と子どもの好奇心の育て方について、「日本こどもの安全教育総合研究所」代表の宮田美恵子さんに聞きました。

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教えてくれたのは

宮田美恵子さん

日本こどもの安全教育総合研究所理事長。博士(順天堂大学)。幼児・児童・生徒を対象とした安全教育、成人への市民安全活動支援に力を入れている。You Tube チャンネル「日本こどもの安全教育総合研究所」でも子どもの安全について発信。

※読者アンケートは2021年12月2日〜2022年1月10日実施。回答数:2619

Q:「危ないから走らないで」と何度伝えても子どもが走るのはなぜなのでしょう?(3歳・6歳のパパ)

A:お気持ちはよく分かります。でも、それが“子ども”というもの。まず、子どもの特性を知って、親子の安全力向上を目指しましょう。

命を守る先回りは親の大事な役割です

 子どもとは、好奇心旺盛で、自分が一番で、理解力が未熟で、経験もないために“危険”を知りません。そういった子どもに欠けている能力を補い、危険を教えるのが親の役割。近年、先回り子育てはいけない、という話を聞きますが、“命を守る先回り”は子育てで最も重要です。

ボール遊びなら道路側に必ず親が立つ。ベランダには踏み台になるものは絶対に置かない。親は危険への予見力を鍛えてフル稼働させ、子どもが思う存分に好奇心を広げて遊べる環境を準備してあげましょう。好奇心やチャレンジしたい気持ちを損なわないことと、安全対策を充分に行うことは両立できます。

子どもを守り育てるのは大変です。でも、子どもは必ず成長し、約束事も守れるようになります。そのためには、幼いころから教え言い聞かせることが必要。一般的に4~6歳には“危険”を理解するようになります。

ヒヤリハッと体験談

  • 2歳の息子を公園で見失い探し回っていたら、近くのお菓子屋さんでカゴを持って買い物をしていました。(2歳・3歳のママ)
  • 2歳の娘が車の走行中にドアを開けてしまいました。信号が赤になったので停車して閉めましたが、油断していたと大反省。(2歳のママ)
  • 息子がマンションの宅配ボックスに入って、お友達がまさにロックするところでした。(4歳のママ)
  • 長女が2歳のころ、2階の窓の網戸を開けて、洗濯物を干している私に笑顔で「ママ見て〜」と呼びかけながら身を乗り出していたので、息が止まりそうでした。(0歳・3歳のママ)

何が正解?悩めるママ・パパのためのQ&A

Q:危険なことはやめさせたい。でも好奇心も大事にしたい。どこからが「ダメ」なの?(1歳・5歳のママ)

A:「いい」と「ダメ」の分かれ目は「命に関わるかどうか」。誰かがケガをする可能性がある場合はためらう必要はありません。ただし、やみくもに怒らず、強く静かに真剣な表情で教えましょう。その代わり「砂場で砂を浴びてみたい」のような“(服が汚れ)親が困るからやってほしくないこと”は、状況の許す限り付き合ってあげても。ダメだからやりたがるので、体験して好奇心が満たされれば気も済みます。

Q:「危ないよ」と注意しても聞いてくれない。子どもに伝わる声掛けって?(0歳・2歳のママ)

A:例えば「そんな危ないことしたら死んじゃうよ」と怒っても、子どもには危険と死の概念がないのでピンときません。「そんなことしてケガしたらママは悲しい」という言い方はいいと思います。もし約束を守れたら「ママすごくうれしい!」と伝えてください。子どもはいつも大好きなお母さん、お父さんを喜ばせたいと思っています。少しずつ約束も守れるようになっていくと思います。

イラスト/高村あゆみ

※この記事は、2022年3月発行の「ぎゅって4月号首都圏版」に掲載した記事を再編集したものです