黒土と容器があれば即席のコンポストができます。最近何かと話題にのぼるSDGsの文脈でもコンポストはいい教材かもしれません。子どもと一緒に野菜の皮を刻んだり、土を掘って埋めたりするのも楽しいですよ。

index目次

コンポスト始めました

忙しい平日の夕食作りのプレッシャーを回避するため、週末になると大量のおかずを作り置きしています。やり切った感じがなんとも気持ちがいいのですが、その時に出る結構な量の生ゴミの存在がずっと気になっていました。

これを自宅で処理できたらゴミの量も減るし、なんだか環境にも良さそうだし…と思い始めてしばらくたっていましたが、昨年ついに一念発起してコンポストを始めました。

手間はどのくらいかかるのか?広い場所が必要なのか?といろいろと懸念がありましたが、調べてみれば意外にもさほど難しくないようだし、子どもと一緒にやってみるのも楽しそう。早速チャレンジしてみることにしました。

コンポストとは

コンポストとは、微生物の働きによって生ゴミを発酵・分解して処理するものです。昔から稲作をおこなっていた日本では、生ゴミや人糞から堆肥を作って田畑にまくなど自然の発酵パワーを活用していました。堆肥だけでなく、漬物や味噌、日本酒なども発酵を活用した例ですね。

玉ねぎの皮やとうもろこしの芯、卵の殻や貝殻、骨など分解しづらいものはありますが、生ゴミの大部分はコンポストで処理できます。野菜クズだけでなく、油やごはんなども入れられるのには少し驚きでした。

少し前に『もやしもん』という漫画を読んで世の中に数多ある「菌」の働きに興味を持ったこともあり、調べるうちにコンポストへのやる気が高まっていきました。

どんなコンポストがわが家にあっているのか?

コンポストにはおおまかに2種類あるようです。

1.一定期間生ゴミを投入したあとに熟成させて堆肥を作るタイプ

見ためにもおしゃれな容器とコンポストの基材がセットになって売られているものもあり、そういうものを買えば届いてすぐに始められます。できた堆肥は園芸に使える反面、熟成期間には生ゴミを投入できないので、継続して生ゴミを処理するには2つ以上のコンポストが必要なのが、残念なところかもしれません。

また、わが家の場合は植物をたくさん育てているので堆肥を使う楽しみがありますが、そうでない場合は堆肥が余ってしまいます。堆肥ができたタイミングで、プランターでミニトマトを育ててみるのもいいかもしれませんが…。

2.繰り返し生ゴミを投入して分解し続けるタイプ

「キエーロ」という商品名で自治体などを通して売られています。これを買うのも良いですが、箱に黒土を入れるだけというシンプルなものなので、家にあるもので自作できます。オシャレ度にはかけるかもしれませんが、安価で始められるのが魅力です。

私はいろいろと実験してみたい派なので、両方試してみることにしました。

わが家のコンポストその1

密閉できるバッグに籾殻や土などをブレンドした基材を入れるタイプです。フェルトバッグのシンプルなデザインも良い感じです。今回はLFCコンポストという商品を選びました。一度お願いすると、定期的に基材を送ってくれます。

寒くなり始めた晩秋に使い始めたので分解に時間がかかりますが、夏ならもっと早いのかな…。1日50gほどの生ゴミを1〜2カ月投入したあとは、2週間ほど熟成させて堆肥として利用できます。密閉されているので虫も寄って来ませんでした。

わが家のコンポストその2

木箱やプランターなどで作るのが一般的なようですが、わが家ではたまたま余っていたステンレスのカゴとすのこ、不織布を活用しました。オシャレ度はゼロですが、お試しなので細かいことは気にしません。

ステンレスのカゴに不織布を敷き、黒土を入れました。黒土はホームセンターなどで購入できます。黒土の中の微生物が活動するには光と通気が必要なので、密閉してはいけません。カゴの四隅に支柱をさし、カットしたすのこをのせて簡易的な蓋にしました。雨が入らないようにすのこにビニールを巻きつけました。

ずいぶん適当ですが、機能するでしょうか。

土の中にいるバクテリアの作用で生ゴミを発酵・分解します。時間が経つと生ゴミの水分は蒸発し、わずかな有機物が残ります。穴に生ゴミを入れたあと、上からしっかり土をのせておけば虫がつくことはありません。

温度の高い夏なら4〜5日(冬は分解が遅くなります)で生ゴミがすっかり消えてなくなるので、繰り返し生ゴミを投入できます。サイズが小さいので、毎日生ゴミをいれられませんが、もうひとつのコンポストを併用しているので問題ありません。

分解を助けるためのあれこれ

始めのころは生ゴミをそのままコンポストに入れていたのですが、寒い時期に始めたこともあり分解のスピードがいまひとつだったので、ひと手間かけてみることにしました。

  • 茹でる、湯に漬ける
  • 生ゴミを細かく刻む

この工程は子どもと一緒にやってみてもよいと思います。細かく刻んでみたり、湯につけておいたり、時間に余裕があるときにはミキサーで粉砕してみました。

そこまでしてコンポストの意味があるのか、とも思ったりしましたが、条件をいろいろと変えてみて分解のスピードをみるのは楽しいです。埋めたはずの生ゴミがなくなっているのを発見したときの不思議さといったら…。

コンポストは小さなエコシステム

簡単なコンポストとはいえ、そのまま捨てることにくらべれば手がかかるものですが、やってみると思った以上に楽しい!というのが私の感想です。何より、続けているとなんだか微生物が愛おしく思えてくるのが不思議。まるでぬか床の世話をしている時のような気分です。

モンテッソーリ教育でも生物の多様性や共存といった事柄をよく子どもに話して聞かせているのですが、最近何かと話題にのぼるSDGsの文脈でもコンポストはいい教材かもしれません。

コンポストはまさに小さなエコシステムです。小さな子に難しい説明をする必要はありませんが、野菜を刻んだり、土を掘って埋めたりする作業を通して自然を感じることができると思います。

この記事を書いたライター

ライター一覧 arrow-right
堀田はるなさん

モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。

堀田はるなさんの記事一覧 v-right