/ 2017.09.25

2児のパパ目線、そして新聞記者の目線で、子育てや世の中の気になることを読み解く「新聞記者パパのニュースな子育て」。1回目のテーマは「わが家の第二子保活と働き方改革」。2人目の保活を通じて思ったことは?

執筆

高橋天地さん

平成7年、慶應義塾大文学部独文学専攻を卒業後、産経新聞社へ入社。水戸支局、整理部、多摩支局、運動部をなど経て、SANKEI EXPRESSで9年間映画取材に従事。現在は文化部で生活班を担当。育児、ファッション、介護、医療、食事、マネーの取材に精力を注ぐ。

わが家の命運を左右する「2人目の保活」

事細かに定められた基準や指数がズラリ。保育園の利用認定に関わる基準表だ。老眼が進み始めた眼には厳しいこの表が、大げさでなく、新年度以降のわが家の命運を左右した-。

昨年、父45歳、母44歳と高齢ながらわが家は第二子を授かった。できるなら2人とも同じ園に入れたい。1人目よりさらに熾烈ともいわれる2人目の保活に臨むことになった。

老体に鞭打ちながら何とかハーフバースデーを祝った頃、役所に対し「保育園利用申請」を行う時期を迎え、提出書類に目を通した。

時短勤務の場合はランクが下がる!?

第1子誕生後は勤務先が定める「育児時間」を1時間取得していた妻は、役所に提出すべき「雇用証明書」の労働時間欄の記載方法で悩んだ。

「労働契約上の労働時間」(午前9時半~午後6時)で判定されるなら上の子のとき同様、「最高ランク」のAで勝負できるはず。だが、「雇用証明書」の記載には「『育児短時間制度』取得者については制度利用時の勤務時間を記入」ともある。当初会社が用意してくれた雇用証明書では、「育児短時間制度」の取得「あり」として時短(午前9時半~午後5時)での勤務時間が併記されていた。

これだとどちらで判定されるのか。単純に疑問を持った。万一ランクが下がるなら、長女と同じ園どころか、保育園への入所さえあやぶまれるのでは?一気に目の前が暗くなった。

まず、自治体が設けた、書類の書き方に関する専用の問い合わせダイヤルに電話した。「労働契約上の労働時間」(午前9時半~午後6時)には変更がない妻の場合、「育児短時間制度」の取得は「なし」。育児時間取得での勤務時間の記載も不要だったようだ。よくよく見れば、雇用証明書の裏面の注意書きにも説明はあったが、理解は難しかった。

妻は急いで会社に連絡、記入し直してもらった。念には念をと役所の担当課にも出向き、その書類を見てもらった。しかし、長い時間待たされ得られた回答は「ランク会議って大人数でやるから多分それ(最高ランク)で大丈夫じゃないかと思いますけど」というものだった。結局、結果が届くまで私たちは不安なままだった。

長時間の「居宅外労働」に手厚く、いわゆる「多様な働き方」には厳しい実態

恐る恐る蓋を開けてみれば、幸運にも第二子も上の子が通う園への入所が決まり、妻は復職した。しかし、改めて基準をみると、依然としてより長時間の「居宅外労働」に手厚く、いわゆる「多様な働き方」には厳しい実態が目に付いた。

これでは、どんなに国を挙げて働き方改革を叫んでも、「従来通りのスタイルでハードに働くしかないよ」というメッセージしか届かないようにも思えた。

また、試行錯誤の過程とはいえ、自治体や年度によっても基準や指数の設定は流動的、保育園を利用できるかの予測が難しいことも、子を持つ決心を鈍らせるのではと感じた。

「二人目の壁」問題の解決には、保育施設の利用基準の整備も必要

例えば、わが家が住む自治体でも、きょうだいと同一の施設の利用を申請する際に得られる調整指数(加点)+4は、過去には+2という年度もあったようだ。子育て支援、「二人目の壁」問題の解決には、多様な働き方の推進とあわせ、それに呼応する形での保育施設の利用基準の整備など、もう一段の具体的な手当も求められるのではないだろうか。 

…などとマクロな話でまとめて終わると、帰宅してすぐさま強烈な一撃をくらいそうなので急いで先に言う。しかし、最も整備や調整がなされるべきなのはなんといっても家庭内だろう。

子を得た以上、ことさらにイクメン、ワーパパなどと持ち上げられずとも男も親として負担を分かち合うのは本来は当たり前の話。とはいうものの、今回の経験談もほぼ全て妻の受け売り、第二子を授かってなお会社でいうなら新入りの学生バイト程度の働きしかこなせていないのも自分の偽らざる姿だ。

だが、やる気がないわけではないのだ。関わる時間も機会も絶対的に不足している中、どんな貢献ができるかは心許ないが、妻にはもうしばし「多様な働き方」を許容し、おおらかな目で見守ってもらいたいと希望する。