時間に追われていると、つい口にしてしまう「早く!」の言葉。でも、そのひと言で悪循環になることも!? 子どもが気持ちよく行動するにはどうすればいいのか、発達心理学の専門家・岡本依子さんに聞きました。

お話を聞いたのは

岡本依子さん( 立正大学准教授 )

社会福祉学部子ども教育福祉学科で、保育者養成に携わる。専門は発達心理学。特に、親子コミュニケーションや子育て支援・地域子育てなどについて研究している。

question子どもに「早く!」と言う?

約8割のママが言っている!

「よく言う」「たまに言う」を合わせると、約8割のママが「早く!」と言っていることに。

question「早く!」と言うのはどんなとき?

1位 朝の支度をするとき 59.4%
2位 朝食を食べるとき 41.6%
3位 保育園まで行くとき 37.2%

出勤前の忙しい朝に言いがち

決まった時間に家を出るためバタバタしがちな朝に、「早く!」を口にするママが多いという結果に。次いで、「寝る支度をするとき」(33.8%)、「夕食を食べるとき」(29.1%)、「お風呂に入る前」(28.1%)と、夜のシーンが挙がりました。

子どもにとって「早く!」は否定の言葉

一日の中で時間を守らなければならない場面は多くあります。子どもに対して「早く!」と言いたくなるのも自然なこと。でも、言ったからといって子どもが早く行動するかというと、そうとは限りません。

「早く!」と言うとき、ママは焦ってイライラしていることが多いでしょう。ママの感情は子どもに伝染しやすいので、子どももネガティブな気持ちになります。「早く!」と言われると、今自分がやっていることを認めてもらえず、楽しさを分かってもらえないためイヤな気持ちになったり、もっとアピールしようと余計に時間をかけたりもします。

また、「早く○○しなさい!」と指示されることが続くと、言われたらやる、言われなければやらない、という無気力な子になってしまう場合も。本来、子どもに動いてほしくて発した言葉によって、子どもがますます動かなくなる悪循環にはまることがあるのです。

子どもが気持ちよく行動するために大切なのは、今の状態を肯定しつつ、次に行うことへの期待感を与えること。「早く今のことを終わらせなきゃ」よりも「早く次の楽しいことをしよう」と思えるお手伝いをすることで、気持ちが切り替わり、進んで行動できるようになります。

どうして子どもは早くできないの?

ママのペースが分からないから

親子とはいえ別の人間。ママが急いでいる状況を理解し、それに合わせて行動するのは、子どもには難しいものです。

時間感覚が未発達だから

時間感覚は経験を重ねて身に付けるもの。経験が少ない子どもは、先を見越してちょうどいい時間に動けないのです。

子どもにとっては今が大事だから

先のことより今が一番。夢中になっていることがあると、気持ちを切り替えて次に進むことがなかなかできません。

ママの気を引きたいから

ママを待たせるということは、ママの時間を自分が独占できるということ。気を引きたくて、ゆっくり時間を使うことも。

だから早くできないのに…

子どものペースを尊重しつつ上手に気持ちの切り替えを!

illustration/OHNO Masafumi

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