2018.09.10
時間に追われていると、つい口にしてしまう「早く!」の言葉。でも、そのひと言で悪循環になることも!? 子どもが気持ちよく行動するにはどうすればいいのか、発達心理学の専門家・岡本依子さんに聞きました。
お話を聞いたのは
- 岡本依子さん( 立正大学准教授 )
-
社会福祉学部子ども教育福祉学科で、保育者養成に携わる。専門は発達心理学。特に、親子コミュニケーションや子育て支援・地域子育てなどについて研究している。
question子どもに「早く!」と言う?
約8割のママが言っている!
「よく言う」「たまに言う」を合わせると、約8割のママが「早く!」と言っていることに。
question「早く!」と言うのはどんなとき?
1位 | 朝の支度をするとき | 59.4% |
---|---|---|
2位 | 朝食を食べるとき | 41.6% |
3位 | 保育園まで行くとき | 37.2% |
出勤前の忙しい朝に言いがち
決まった時間に家を出るためバタバタしがちな朝に、「早く!」を口にするママが多いという結果に。次いで、「寝る支度をするとき」(33.8%)、「夕食を食べるとき」(29.1%)、「お風呂に入る前」(28.1%)と、夜のシーンが挙がりました。
子どもにとって「早く!」は否定の言葉
一日の中で時間を守らなければならない場面は多くあります。子どもに対して「早く!」と言いたくなるのも自然なこと。でも、言ったからといって子どもが早く行動するかというと、そうとは限りません。
「早く!」と言うとき、ママは焦ってイライラしていることが多いでしょう。ママの感情は子どもに伝染しやすいので、子どももネガティブな気持ちになります。「早く!」と言われると、今自分がやっていることを認めてもらえず、楽しさを分かってもらえないためイヤな気持ちになったり、もっとアピールしようと余計に時間をかけたりもします。
また、「早く○○しなさい!」と指示されることが続くと、言われたらやる、言われなければやらない、という無気力な子になってしまう場合も。本来、子どもに動いてほしくて発した言葉によって、子どもがますます動かなくなる悪循環にはまることがあるのです。
子どもが気持ちよく行動するために大切なのは、今の状態を肯定しつつ、次に行うことへの期待感を与えること。「早く今のことを終わらせなきゃ」よりも「早く次の楽しいことをしよう」と思えるお手伝いをすることで、気持ちが切り替わり、進んで行動できるようになります。
どうして子どもは早くできないの?
ママのペースが分からないから
親子とはいえ別の人間。ママが急いでいる状況を理解し、それに合わせて行動するのは、子どもには難しいものです。
時間感覚が未発達だから
時間感覚は経験を重ねて身に付けるもの。経験が少ない子どもは、先を見越してちょうどいい時間に動けないのです。
子どもにとっては今が大事だから
先のことより今が一番。夢中になっていることがあると、気持ちを切り替えて次に進むことがなかなかできません。
ママの気を引きたいから
ママを待たせるということは、ママの時間を自分が独占できるということ。気を引きたくて、ゆっくり時間を使うことも。
だから早くできないのに…
子どものペースを尊重しつつ上手に気持ちの切り替えを!
illustration/OHNO Masafumi
この続きはフリーマガジン「ぎゅって」10月号で
ぎゅって10月号では、読者ママたちが実践している、「早く!」より効果がある子どもが自分から行動する方法と、岡本さんからのアドバイスを紹介!