2018.09.30 / 2021.07.16
これまでご紹介した「言葉あそび」のまとめとして、ことばの発達プロセスをおさらいしながら、言語力を伸ばす上で気をつけたいポイントを前編<年少児>、後編<年中・年長児>に分けてご案内して行きます。今回はその後編です。
index目次
会話を単語だけで終わらせていませんか?
お弁当の時間、飲み物のおかわりをしたい3歳児がコップを片手に「先生、牛乳!」と自分の要求を単語だけで伝えてきました。もちろん子どもの意図はこちらに伝わっているのですが、こんなとき教師はあえて「牛乳がどうしたのかな?」と返します。
子どもはしばらく「牛乳、牛乳!」と繰り返していましたが、教師が待っている様子を見て、ようやく「牛乳、欲しい」と言いました。
そこで教師はやっと「『牛乳をください』って言ってくれたら、先生はお代わりを持ってくるよ」を伝えました。子どもは「ああそうか」という表情で「牛乳をください!」とコップをこちらに渡してきました。
教師は決して意地悪をしているわけではなく、子どもが「センテンスで話すこと」を促しています。言葉を話せるようになったきた時期には、このことが特に重要です。
前回の記事では「子どもの要求や気持ちを大人がくみ取りすぎず、子どもの言葉を待つことの重要性」をお伝えしましたが、少し年齢が進んだ年中や年長児との会話は「単語だけで終わらせずに、センテンスで話すこと」を意識してみましょう。
ポイント1:センテンスで話そう
子どもが単語だけで話した時は、「牛乳がどうしたのかな?」のように言葉を引き出す声がけもいいのですが、子ども自身もなんと言ったら伝わるのかわからない場合も多いと思います。
そんなときは「◯◯って言ってくれたらわかるよ」のように具体的な言い方を伝えて、実際に言ってみるように促してみます。子どもが「牛乳をください」のようにセンテンスを口に出したところで、実際に要求に応えるようにすればいいのです。
また、大人から子どもへの言葉がけもなるべくわかりやすく、ゆっくりセンテンスを聞かせるようにしてみましょう。
はい、靴!履いて!
まだ飲む?いいの?どうする?
トイレは?大丈夫?
忙しくしていると大人もついこんな話し方をしてしまうこともありますが、単語だけの言葉がけは怒っているように聞こえて逆効果です。子どもは大人の言葉遣いをよく聞いていていますので、その言い方をそっくりそのままマネをしてしまうこともあります。
はいどうぞ、靴を履きましょう
まだ飲みますか?
トイレに行っておきましょう
急いでいるときこそ穏やかに話しかけることで子どもが理解しやすく、素直な気持ちにもなれるものです。言葉に敏感な時期だからこそ、大人の使う言葉もなるべくセンテンスで、美しく話すことを意識してください。ほんの少しの心がけで子どもの話し方がぐっと変わってきますよ。
ポイント2:間違えを直接訂正したり、否定しない
モンテッソーリ・メソッドには「自分で間違えに気がつくことで自己学習する」という考え方があります。間違えを誰かに指摘されるよりも、自分で気がついて直せるほうが学びとしてプラスに働くという考え方です。
言語の場合も同じです。そもそも言葉を覚え始めの子どもは使い方がおかしかったり、言い間違えをするのは当然です。そんな時には「◯◯じゃないでしょ」と丸ごと否定するよりも良い伝え方があります。
間違った言葉に対する指摘ならば、「それをいうなら〇〇でしょ」と訂正するよりも「◯◯でいいんだっけ?」と子どもに考えさせてみましょう。答えが出なそうならば「〇〇じゃないかな?」とそれとなく教えてあげる手もあります。
また、どこかで聞いた失礼な言い方や乱暴な言い方を真似て、荒い言葉を使うことがあるかもしれません。そんなときも「そんな言葉使ったらダメでしょ!」と叱るよりも、その言葉遣いを聞いた大人自身がどんな気持ちか伝えたり(先生はその言葉づかいは嫌だな、悲しくなるな、など)、代替案(〇〇って言った方が素敵だよ、カッコいいよ、など)を伝える方が良いと思います。
いずれにしても「子ども自身で考える」というプロセスが大事なのです。大人が否定したり、答えを教えるよりも、子どもが考えることをうまくサポートしてあげましょう。
ポイント3:言葉を親子で楽しんでみよう
親子で言葉を楽しむひとつの手段として「言葉あそび」があります。「言葉を学ぶ」というのは「お勉強」ではありませんので、「教えよう」とするよりも子供と「楽しんでみよう」というスタンスで取り組んでみてください。
楽しみながら様々な言葉に触れただけ子どもの言語が豊かになります。楽しいと感じることはどんどんやりたくなりますよね。大人が率先して楽しんでいれば、子どもも楽しくなりますよ。
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この記事を書いたライター
ライター一覧- 堀田はるなさん
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モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。