2児のパパ目線、そして新聞記者の目線で子育てや世の中の気になることを読み解く、高橋天地さんの「新聞記者パパのニュースな子育て」。今回は人気アニメーション「プリキュア」シリーズの最新映画について。

10/27(日)「プリキュア」新作映画が公開

「女の子だって暴れてもいい。」こんなコンセプトで悪と戦う元気でおしゃれな少女たちの活躍を描く人気アニメーション「プリキュア」シリーズ。テレビ放送15周年を記念した劇場映画が27日、全国で公開される。

(C)2018 映画HUGっと!プリキュア製作委員会

ゲスト声優に選ばれて「光栄!」と喜んでいるのが、女優でモデルの山本美月(27)だが、録音現場では元気いっぱいとはいかなかったよう。

あこがれの「プリキュア」シリーズに歓喜

山本美月(やまもと・みづき)平成3年7月18日、福岡県出身。21年から雑誌「CanCam」専属モデルとして活動。23年テレビドラマ「幸せになろうよ」で女優デビュー。主な映画出演作は「桐島、部活やめるってよ」「東京PRウーマン」など(産経新聞・飯田英男撮影)

「プリキュアを見たのは中学時代。プリキュアたちは、魔法ではなく体を張って戦う武闘派でかっこいい。今でもあこがれの存在で、毎週テレビ放送を見ています。今回、声優に選ばれたのは光栄で、幸せで、ラッキーで…。」 山本は感無量の面持ちで話す。

今作で映画はなんと25作目

(C)2018 映画HUGっと!プリキュア製作委員会

このシリーズは、ごく普通の小中学生の女の子が伝説の戦士「プリキュア」に変身し、悪の組織を倒して平和な世の中を取り戻す姿を描く物語。

きらびやかなファッションで華麗に戦う姿が視聴者の女の子たちのハートをつかんだ。平成16年2月1日のテレビ放送開始以降、現在15作目「HUGっと!プリキュア」が放送中だ。

映画も17年4月公開の「映画ふたりはプリキュア MaxHeart」のスクリーンデビューから、本作で25作目となる。 

27日公開の映画のタイトルは、「映画HUG(はぐ)っと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」(宮本浩史監督)。

実は公開ギリギリまで製作が続き、いまだ全貌は明らかではないが、史上最強の敵キャラクター、ミデン(声・宮野真守さん)が登場したり、歴代プリキュアが勢揃いして豪華絢爛(けんらん)なダンスを披露することなどが目玉となっている。

山本さんは「きれいな服を着たキャラクターが歌って、踊って、戦って…。小さな女の子がテレビや映画を見たら、きっと

私もプリキュアのようになってみたいな

と思うはず。やはりプリキュアは、私にとって絶対的なあこがれの存在ですね」と強調した。

演じるのはオリジナルキャラクター

山本さん演じるオリジナルキャラクター (C)2018 映画HUGっと!プリキュア製作委員会

山本さんの担当はプリキュアたちとミデンの激戦を実況するリポーター役。映画オリジナルのキャラクターで、山本さんをイメージしてデザインされた。

「年齢はプリキュアよりもお姉さん。もう自分はプリキュアと同世代じゃないんだと実感しました」と笑う。だが、声の録音に臨んだ山本さんは、プリキュアのように元気いっぱいに大暴れ、とはいかなかった。

声優への挑戦は3回目で弱音も

例えば、観覧車に乗ってニュースを伝えていたリポーターが、たまたま眼下でプリキュアとミデンの戦いに遭遇し、その実況に切り替える場面。激戦の衝撃で揺れる観覧車から、いかに冷静に緊迫した状況を伝えるか。まさにリポートの腕が問われた。

また一方で、ミデンの魔法によって幼児に姿を変えられてしまった大勢のプリキュアたちから助けを求められ、腰を抜かしてしまう場面など、臨機応変にくるくると声色を変えていく柔軟性が求められた。

どちらかといえば、自分の感情を言葉で表現することが苦手なタイプ。声優への挑戦も、今回で3回目に過ぎず、ナレーションとセリフを少しかじった程度の心許ないものだった。

「プリキュアファンの皆さんに失礼のないようにしたい」との思いでいっぱいだった。だが、どう取り組めばいいのだろう。「実写作品と違い、表情や動きではなく声だけでお芝居するのは、相応の高い演技力が求められた」と山本さん。

甘えもあった。「演出は現場で教えていただければいいな…。と思っていて、準備は特にしませんでした」

怖さ70%で挑んだアフレコ

そんな山本さんに宮本監督が贈った助言は、実に分かりやすく、ありがたいものだった。「いつもよりテンションを上げて話してみて」。

コツを伝授された山本さんは何とかその場を切り抜けた。監督の気遣いなのかは分からないが、録音作業には1人で臨めたことにも感謝している。

「ベテランの声優の皆さんと一緒に録音をすれば、もっともっと緊張してうまくいかなかったはず。1人でじっくり取り組める空間をいただけてありがたかったです」

完成した作品を見るのは怖くてたまらないそうだ。「自分の声を映像にはめ込んだ部分を見せてもらったが、どうもしっくりこない。きちんとできたかはいまだに分からない。心配ですね。楽しさ30%、怖さ70%ぐらいです」

ただ、映画の宣伝隊長も拝命した。弱音を吐くばかりではいられない。そこで、観客の中心となる子どもたちに向けて第一声だ。55人のプリキュアが小さくなって登場する場面は圧巻。しかも、かわいい。大活躍もします。美しい映像をお楽しみに!

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高橋天地さん

1995年、慶應義塾大文学部独文学専攻を卒業後、産経新聞社へ入社。水戸支局、整理部、多摩支局、運動部などを経て、SANKEI EXPRESSで9年間映画取材に従事。現在は文化部。学芸班(文学)、生活班(育児、ファッション、介護、医療、食事、マネーなど)を経て、2017年10月から芸能メディア班に所属し、映画取材を担当。2019年5月1日より公式サイト「産経ニュース」のWEB編集チームに所属

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