/ 2021.08.20

のりを使って「貼る」という活動は、以前紹介した「切る」という活動と共に子どもの指先の発達に役立つものです。単純に見えて、実は奥深い「のり」の活動。今回は自宅でもできるのりを使った活動のアイデアを紹介します。

index目次

のりの活動のねらい

大人がのりを使うときは単に「貼り付ける」ことだけを目的にしていますが、小さな子どもの場合は少し違います。

  • 活動そのものを楽しむ
  • 目で確認した場所に手で貼り付けるという協応動作
  • 指先の細かな運動(微細運動)

子どもにとって「活動を楽しむ」ということが最も大切な点ではありますが、その背景には協応動作の訓練指先の運動といったねらいが達成されるということがあります。工作を楽しんでいるうちにデザインや色彩感覚が発達するというメリットもありますよ。

どんなのりがいいの?

私の勤務する「モンテッソーリ原宿子供の家」では、容器に入っているタイプののりを使用しています。子どもの手のサイズに合わせた筆を用意し、自分で扱えるように指導しています。使った後は筆を洗って元に戻すように、片付け方も教えます。

自宅ではスティックのりでも構いませんが、案外子どもには使いづらい場合があるようです。子どもに合わせて使いやすいタイプのものを選んでください。

のりを扱うときのポイント

量の調節

のりを筆に取りすぎて紙をベタベタにしがちなので、量を調節することを伝えます。筆に取りすぎたときには容器の端を使ってこそぎ落としましょう。

筆の使い方を見せる

筆を三本指で持ち、まっすぐに動かしているところ見せます。紙の真ん中だけでなく、隅の方までのりを伸ばしましょう。

ぴったり貼ってみよう!(目と手の協応動作)

物をつかんだり、何かの操作を行うためには、目と手が調和の取れた動きをしなければなりません。これを協応動作と呼びます。

2~3歳の子どもたちは、ちょうどこの動作を学ぶ時期にあります。図案に合わせて「ぴったり」貼るという活動がとても良いトレーニングになります。2歳前の子どもであれば、準備運動としてのりではなく「シール」で行ってみても良いでしょう。

「ぴったり貼る」活動例

  • シール貼りシールを台紙からはがし、図案に合わせてぴったり貼る。シールをはがすと行為も指先の運動になります。はじめの1枚は大人がやっている姿を見せてあげましょう。
    「ぴったり貼れるかな?」
    できたね!
  • のり貼り図案にあった形の図形を選び、ぴったり貼る。のりの量を調節したり、端の方までのりを伸ばすことも覚えます。「原宿子供の家」では図案にあった形を子どもが選べるように、仕切りのある箱を手作りしました。
    子どもが好きな図案を選び、ぴったりの紙を箱から取り出します。

    できあがり!

感性で楽しむのり遊び

のりの扱いに慣れてきたら、色や形を合わせてデザインや色彩を楽しむ遊びにもチャレンジしてみましょう。色彩感覚や図形への興味が広がる3~4歳ごろになると、デザイン性を取り入れた作品作りも可能になります。

  • 玉シールを使ったデザイン遊び

    小さな玉シールを使って模様を表現します。3歳以降から見本を真似て模様を作ることができるようになりますので、木やロケット、虫などをかたどった見本を用意し、子どもと1行ずつ位置を確認しながらシールを貼ってみましょう。

    慣れてきたらより大きな模様にチャレンジしたり、自分でデザインを考えてみるのも楽しいです。

  • モザイク遊び直角二等辺三角形に切った紙を貼り合わせて模様を作ります。こちらも見本を用意しておき、子どもはそれをまねて作品を作ります。慣れてきたら自分でデザインしてみるものいいでしょう。
  • 切る活動との組み合わせ前回紹介した「切る」活動と組み合わせて行うのも楽しいものです。紙を半分に折って、木の葉の模様を描きます。切ったものを貼り付けられるように、木の幹を貼り付けた紙を用意します。ハサミで葉を切ります。開くと、木の葉になりました。
    切った葉を木の幹の上に貼り付けて見ましょう。

    実際に3歳児が作った作品はこんな感じです。

始めのうちは上手にできなくても「あら、なかなかいいね。上手になってきてるよ!」と子どもの気分をうまく盛り上げてみてください。ただし、集中しているときには声をかけずに夢中になるままにさせてあげてくださいね。

この記事を書いたライター

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堀田はるなさん

モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。

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