ファッションタトゥーは若い世代を中心に気軽に入れられるようにはなりましたが、日本では入れることによる制限・デメリットはやっぱり多いですよね。タトゥーに寛容なアメリカではどうなのか?草の根レベルで(=おばちゃん目線で)リサーチしてみました。

アメリカではいたるところで見かける人々のタトゥー。スーパー、プール、病院、学校で、老若男女問わず、いろいろな柄や色のタトゥーがよく目に飛び込んできます。

日本でも気軽に入れられるようになったファッションタトゥー

日本でもタトゥーをファッション感覚で入れている方も多いと聞きます。芸能人でもタトゥーを入れていることをオープンにしている人も結構いらっしゃいますよね。

お友だちママも「なんかかわいいから足首にちょっと入れようかなーって思って、タトゥーショップを何軒か回ってデザインや値段を相談したことがある」なんて話をしていました。(結局、いざという段階でタトゥーを入れるための機械の“キーン”という音が歯医者さんで聞く音に聞こえてしまい、怖くなり諦めたそうですが)

アメリカでは一般的なタトゥー

アメリカで暮らしていると、タトゥーを入れている人って本当に多いなぁー、と思うことが多いです。ある調査によると、4500万人のアメリカ人がタトゥーを入れているんだとか。(August 13, 2016、Pew Research Center、http://www.statisticbrain.com/tattoo-statistics/

ただ、アメリカ人にとってタトゥーはファッションというより、自らのアイデンティティーを象徴するためだったり、家族や友人など大切な人の想い出のために入れているという人の方が多いようです。まぁ、中には「若気の至りで」「酔った勢いで」入れちゃったという人も実際にはいるそうですが。

スコットランド・アイルランド系アメリカ人だという知人は、30代に自分のルーツを象徴するタトゥーを初めて入れたんだと話してくれました。その後、増え続けるタトゥーは真の友情の証として入れたものだったり、いろいろ。

また別の知人は、腕にある生まれつきのあざにひどくコンプレックスをもっていたけど、そのあざを使ってお花のタトゥーを入れることでようやくコンプレックスを克服できたんですって。それ以来、ノースリーブの洋服を楽しめるようになったそう。

あざを中心にひまわりを描いたタトゥー

そんな知人らに「日本だとタトゥーがあると、温泉、プール、サウナなどの公共施設に入れないことが多いんだよ」と話すと、目を丸くして驚きます。

その他にも、スポーツジムの入会を断られることがあったりもという話も聞きますよね。歴史からなのか、偏見からからなのか、とにかく日本ではタトゥーが受け入れらにくいのが現実です。

アメリカ人が語るタトゥーあるある

「彼氏や、彼女の名前を入れる人っているよねー。でもさ、後で別れちゃった!とかっていう場合もあるからさ、やめた方がいいよ。」と前出の知人。

そう、ジョニー・ディップが「Winona Forever」ってかつての恋人Winona Ryderの名前を腕に入れていたそうだけど、別れてしまったので一部を消して「Wino Forever」にしたって話は有名ですよね。

じゃぁ、入れてOKな名前のタトゥーは何なの?と聞くと、少し考えて「ジーザス(キリスト)とママの名前はオッケーかな。」ですって。(確かに、永遠に不変だけど…自分の息子が私の名前のタトゥーを入れたらひくな…)

そう言えばこの前、旅先のプールで見かけた家族連れ、パパの脇下に、娘の名前と誕生日と小さな足形のタトゥーが入っていたのが見えて、何だか微笑ましかったです。

それから、タトゥーって病みつきになりやすいんですって。だから、1つ入れたらまたもう1つ、ってどんどん入れたくなるんだとか。ふーん、そういうものなんだね。

ドン引きアメリカ人タトゥー話

知り合いのある獣医さんのお話。かかりつけでいつも通ってくる猫の飼い主がいて、ある日、その飼い主の女性の肩からちらっと見えたタトゥーにドン引きしたそう。というのも、「白人至上主義*」のシンボル柄のタトゥーだったからだそうで。

まぁ、その女性は自分のアイデンティティを象徴するためにそういうタトゥーを入れたのでしょうけど…。多様性を受け入れるアメリカ文化においても、受け入れがたい、と言うより、ドン引きしてしまうタトゥーの柄って、やっぱりあるんですね。

* 白人至上主義とは「黄色人種や黒人などは白人に比べ劣っている、とする人種差別の立場や考え方。」(Weblio辞書より)

アメリカ人でも必要な時はやっぱり「隠す」?

お堅い某一流アメリカ企業で長年管理職として働いていた友人にも話を聞きました。友人曰く、就職面接の際、面接に来た求職者のタトゥーが目に入ってきたことは「一度もなかった」そう。

「面接では見えないように隠すとか努力をしていた人もいたのかな?」と聞くと「それはわからないけどね」と。アメリカでもタトゥーの有る無しで、就職の選択肢が狭まる可能性があるという話は実際にあります。

また、ある調査によると、31%の雇用主が、見える場所にあるタトゥーは昇進に影響すると答えているんですって(CareerBuilder, 2011)。なので、勤務中は長そでやタートルネックを着用して見えないようにするか、タトゥーを消すかどちらかの選択を迫られるケースも。もちろん、それも職種や業種によるのでしょう。

アメリカ人のホンネとタテマエ

タトゥーについて聞きこみ調査していて気づいたのが、タトゥーに関しても「多様性は受け入れる、でも、個人レベルの考え方は別」ということ。

タトゥーに対してかなりオープンな意見を持っている友人に、「じゃあさ、自分の娘がタトゥーを入れたいって言ったら何て言うの?」と、聞くと、苦笑いして、「まずはシールやヘナのタトゥーをしてみて、どうしてもやっぱり本物のタトゥーを入れたいって思ったらまた相談して!って言うわ。」とのことでした。

まとめ

社会的にタトゥーに関してはかなり保守的な日本。一方、タトゥーは一般的で、社会的に受け入れられているアメリカ。

オープンで多様性がある国民性ゆえ、タトゥーに対する偏見は日本と比べるとアメリカには比較的ないといった印象ですが、保守的なアメリカ人もたくさんいるのもこれまた事実で、会社としての立場から、また、個人レベルの意識としては、賛否両論、意見が分かれているようです。

ちなみに、全米で最も優れた病院のひとつと言われているメイヨー・クリニック(Mayo Clinic)によると、タトゥーは皮膚炎やアレルギー反応を引き起こしたり、タトゥーを彫る針が汚染されていた場合、破傷風、B型肝炎、C型肝炎などの血液感染性の病気になるリスクや、ケロイドになったりする可能性が指摘されています。

アメリカの保健福祉省配下にある政府機関、アメリカ食品医薬品局でも、「タトゥーを入れる前に考えてみよう」と、タトゥーを入れる前に知っておきたいリスクなどわかりやすくウェブサイトで解説しています。

この記事を書いたライター

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大河内えりなさん

夫・娘9歳・息子7歳。小さい頃からずーっと転勤族。高知、千葉、札幌、神奈川、イギリス、再び神奈川。名古屋、タイ、東京、千葉、次はアメリカへ!

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