家で過ごす時間が増えるとふと、これまでにない暮らしに不安を感じることもあるのではないでしょうか。産業医であり働くママのメンタルヘルスについて研究している佐々木那津先生に、そんなときの心の持ち方を教えてもらいました。

お話を聞いたのは

佐々木 那津先生

産業医。東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野 医学博士課程(社会医学専攻)所属。研究テーマは小さな子どもを育てながら働く女性のメンタルヘルス。2014年 東京大学医学部卒。子どもは3歳と5歳の男の子。

不安は未来のことがよくわからないときに生じる感情です。「いつまで続くのだろう」「私の仕事は大丈夫だろうか」、そんな考えとともに湧き上がる不快な感覚かもしれません。まずは、自分が今、そういう気持ちを抱えているということを自覚し、それが自然な反応であると受け止めます。

「不安にならないように!」「こんなこと考えちゃダメだ!」と跳ね返そうとせず、まずは不安になってもよい、自分がそう感じているということをありのままに受け入れます。それが、次のアクションへの第一歩。

下記は、心をおだやかに整えるヒントです。すぐにすべての不安が解消するわけではないですが、不安な気持ちがどんどん膨らんでいくのを防止できます。

状況を共有する

子どもがいると、在宅ワークで仕事がはかどらないことは当然です。しかし、職場の人は状況を理解できない方もいるでしょう。「子どもと一緒にいるためパフォーマンスが落ちている。」ことを正直に伝えたうえで、「1日3時間は集中できる時間を確保している。」「1週間後には○○を仕上げられそうです。」など、状況を明確に共有し、見通しを提示することで職場のコミュニケーションがスムーズにいきます。くれぐれも、自分の理想や自分への期待は高くしないことも大切です。

子どもといられる貴重な時間、ととらえる

ふだん保育園に預けている時間が長いと、こんなにも長い時間子どもと過ごすことはないかもしれません。子どもの成長はあっという間です。貴重な時間が得られた、とポジティブにとらえられることもあるでしょう。写真を撮ったり、一緒に制作物に取り組んだり、料理をしたり…親子にとって人生の貴重な記念になるかもしれません。

わかっていること、に注目する

「わからないこと」にばかり目がいきがちだと、不安な気持ちが増幅されます。子育て不安が強い方は、すぐにネットで調べるクセがあるかもしれませんが、“ニュースを見る時間は〇時から”と決めるなど、情報に接触する時間を減らしたり、離れる時間も意識しましょう。今は世界中の人が「わからないこと」に直面しています。まずは、いまわかっていること、に注目しましょう。「今月のお給料は入った」「失職しても失業保険はある」など、事実に注目すると不安な気持ちが落ち着きます。

【参考資料】

<研究参加者募集中>
2020年6月30日まで、未就学児を育てながら週30時間以上働いているワーキングマザーを募集しています。

ワーママのWebメンタルヘルストレーニングプログラム~Happiness Mom~