夜泣きや夜更かし、寝付きや寝相の悪さ、睡眠不足。子どもの眠りにまつわる悩みは尽きません。忙しい毎日の中でも、子どもの成長や発達のために譲れないポイントを、睡眠の専門医に聞きました。

お話を聞いたのは

遠藤拓郎さん

慶應義塾大学 医学部 睡眠医学研究講座 特任教授。東京睡眠医学センター長。日本睡眠学会認定医、日本精神神経学会精神科専門医。祖父の代から3代にわたり睡眠研究を続ける睡眠医療の専門家。著書に「頭のいい子が育つ超・睡眠法」(フォレスト出版)他多数。

index目次

睡眠にまつわる4つの気掛かり「時間・寝相・寝付き・夜泣き」

1.子どもの理想的な睡眠時間は月齢・年齢により異なる

1日の理想の睡眠時間は、生後2カ月までは16時間、3〜5カ月は14時間、6カ月〜2歳未満は13時間、2歳児は12時間、3・4歳児は11時間、5・6歳児は10時間半が目安です(昼寝も含む)。プラスマイナス1時間までは許容範囲です。

2.寝相が悪い、すぐ布団をはぐけど大丈夫?

子どもは寝相が悪くて当たり前。寝相の悪さは代謝が良い証拠。体と布団の間にたまった熱を放出するために、無意識に冷たい場所を探して動き回るのです。成長とともに代謝が下がり、寝相も良くなるので、気にしなくて大丈夫ですよ。

すぐに布団をはいでしまう子は、腹巻きなどでお腹さえ冷えないように工夫しておけば心配はいりません。掛け布団を横長に掛けておくと、寝返りをうっても掛け布団に体が巻きついてはずれにくくなるのでおすすめです。

3.寝付きが悪いのは脳の発達も原因のひとつ

生後6カ月頃から寝付きが悪くなるようです。これは、脳が発達して関心ごとが多くなり、就寝時間になっても脳の活動がなかなか鎮まらないことが原因と推測されます。

また、保育園でお昼寝をしすぎていることが原因の場合も。園の先生に相談してみるのもよいでしょう。

4.夜泣きは安心したい気持ちの表れ

子どもにとって、安心の源はママです。睡眠中はママの姿を確認できないため、その不安やストレスから夜泣きが起こると考えられます。日中、記憶に残るような恐い体験をしたり、強い刺激を受けたときなどは、特に起こりやすくなるようです。

4歳を過ぎても夜泣きが続く場合は「睡眠時驚愕症」という病気も考えられますが、これも12歳までには自然に治ります。

たっぷりぐっすり眠れる理想の睡眠環境とは

当たり前ですが、寝室内はできるだけ静かに。冬は室温は18~20℃、湿度は50~60%に、夏は室温は27~29℃に。

敷布団やマットレスは硬めのものだと沈み込まずに寝返りが打ちやすいです。部屋が真っ暗なのを怖がる場合は間接照明を使うといいでしょう。

ズバリ!一番大事なのは生活リズム

質の良い睡眠のために一番大切なのは、毎日同じ時間に起きて寝ること。時間に合わせて行動する習慣は、集団生活をする上でも必ず役立ちます。

また、人間の体内時計は思っている以上に正確です。きちんと睡眠記録を付けてみると、実は夜泣きがいつも同じタイミングで起こっているということも。タイミングが分かれば、ママとしても見通しが立ち、少し気持ちが軽くなりますよね。

とはいえ、保育園ママには不測の事態が多く、毎日予定通りに進むとは限りません。ときには寝かし付けの時間が遅くなる日があっても大丈夫。心にゆとりを持って、子どもの眠りをサポートしてあげてくださいね!

※この記事は、2015年9月発行の「あんふぁんぷらす 10月号」に掲載した記事を再編集したものです