1人目を出産後、産休・育休を経て時短勤務で復帰。現在は2人目の育休中である男児ママさんからのお悩みに、育休後コンサルタントの山口理栄先生が答えてくれました。時短かフルタイムか、子どもの病気での欠勤対応などを具体的に教えてもらいました。

question時短よりフルタイムで復帰すべき?急な欠勤などどうしたら?

来年5月には、職場復帰をしたいと考えています。 長男のときは時短で働いていましたが、現在は次男を出産し育休中です。 最近、会社では育休明けの社員にフルタイムでの復帰を強く勧めています。

給与にも大きく反映されるので、できればそうしたいという気持ちもありますが、夫婦の両親ともに近隣には住んでおらず、急に子どもがお休みすることになったとき誰かに頼ることが難しい状況です。

会社も「もしものときはご両親に~」というのを前提としているので、私のように頼る両親がいない者は不利な立場になっているように感じます。また、近くに親がいる同僚に対して、どこかうらやましさが出てしまうこともあります。

職場復帰後の心の持ちようや、また具体的にどのようにこの時期を乗り越えればいいのか教えてください。

相談者:神奈川県、銀行窓口営業、男児ママさん(28歳)、2歳と0歳のママで現在は産休・育休中。

answer職場には具体的に相談すること、夫婦では分担について話し合いをすることが大切です。

答えてくれたのは東京ワーキングママ大学講師

山口 理栄さん

1984年総合電機メーカーに入社しソフトウェアの開発、設計、製品企画などに24年間従事。2度育休を取り部長職まで務める。2010年6月育休後コンサルタント®として独立し、法人向けに女性活躍推進コンサルティング、育休取得社員向けセミナーなど年間200回以上提供。著書:『改訂版 さあ、育休後からはじめよう~働くママへの応援歌~』『子育て社員を活かすコミュニケーション【イクボスへのヒント集】』> 東京ワーキングママ大学

「とりあえず、時短」のデメリットは?

会社がなぜフルタイムでの復帰を勧めるのか、その理由は次の通りです。

2010年以降育休を取得し復帰する社員の数が急増しています。ほとんどのママが復帰時に時短を利用するため、企業からすると必然的に労働力不足に陥ってしまいます。

男児ママさんは1人目を出産後、時短勤務で復帰するという選択されたとき、どのように決断されましたか?多くの社員は時短勤務が必要かどうか、十分に検討することなく「とりあえず、時短」を選ぶケースが実は多くあります。

しかし、「とりあえず、時短」の原因は会社にもあります。時短制度がある(かつ法律で決められた3歳までより長くとれる)ことのメリットだけを社員に伝え、デメリット(給与や賞与がカットされる、キャリアアップのチャンスが少なくなる、など)を伝えてきませんでした。

しかし、昨今上記の理由から状況は変わりつつあります。

企業は、社員自身にフルタイムで復帰する意思やバックアップ体制があるのなら「とりあえず、時短」ではなく、フルタイムでの復帰も選択肢に入れるきっかけを与えたいのです。

つまり、バックアップしてくれる体制がないなど、何らかの理由でフルタイムでの復帰が難しい人にまで「フルタイムで復帰してほしい」と言っているわけではないのです。

時短勤務で復帰せざるをえない場合は、

上司に理由を具体的に説明し、理解を求めましょう。(例えば、保育園の送り迎えと通勤時間の関係など。)

同時に「環境が整えば、フルタイムで復帰したい」ことも伝えてみましょう。

そして時短をどのような経緯でいつフルタイムに戻すのか、今の時点での計画を具体的に相談することで、上司もあなたの味方になってくれるかもしれません。

事情が変わったときにはまたご相談します、と付け加えておけば妊娠や介護などで計画が変わるときにも「フルタイムに戻す予定が変わりました」と言いやすいですね。

急な欠勤にはどう対応すればいい?

会社が、「もしものときにはご両親に~」と言っているのは、育児や家事へのサポート体制が多様であることを知らなかったり、ベビーシッターや病児保育など費用がかかるサービスについて知っていても立場上勧めらなかったり、といった事情があるのかもしれません。

両親は健康で親子関係が良好なときはとてもありがたい存在ですが、そうでないときにはむしろ頭を悩ませる原因にもなります。

実の親と上手くいかない、義両親と上手くいかない、頼っているだけに言いたいことを言えない、というストレスを抱えるリスクがあります。子どもの病気対応についても、両親に感染するリスクを考えると悩ましいものです。

両親に頼れない人は割り切って、保育園の延長保育、病児保育、ファミリーサポート、ベビーシッターなど、様々なサービスを活用してみてはいかがでしょうか。

とても大変なことではありますが“育児をしながら、自分に与えられた仕事について責任を果たす”その覚悟を持って復帰しましょう。だからといって、すべてをひとりで背負いこむ必要はありません。

様々な育児サービスを上手に利用したり、夫婦で協力して子育てしていけるよう、きちんと話し合うことが大切です。特に下記の3項目について、分担を考えてみましょう。

  • 保育園の送迎を夫婦で分担(特に負担がかかりやすい迎えを交代でできるように)
  • 保育園の呼び出し対応を夫婦で分担
  • 子どもの看病による休みを夫婦で分担

必ず5:5にしなければならない、ということではありません。それぞれの仕事の状況によって、8:2で自分が多くなってしまう人もいるでしょう。

それでも、すべて自分でやろうとしないことです。無理は続きません。つらいときはギブアップして助けを求めましょう。

特に夫婦で協力すべきことは?

お迎え後から寝かしつけまでの育児がワンオペになりますと、子どもが3歳と1歳では非常に負担が大きいです。お迎えは自分の当番の日でも、パートナーにお風呂の時間までに帰ってきてもらうといくぶんか楽になります。

ママの負担を減らすためにパパに手伝ってもらうのではなく、家族がみんな一緒に夜の時間を機嫌よく過ごすためと考え、夫婦で協力しあえるといいですね。

両立環境はそれぞれの家庭で大きく違います。人と比較せずに自分たち夫婦、子どもにとって、最善の方法を見つけていくものです。

周りの手をたくさん借りて、楽しい両立生活を再開してください。