育児の中でも負担の大きい寝かしつけ。毎日のことなので「早く寝て欲しい」「この負担から解放されたい」と思うママ・パパも多いはず。そんな寝かしつけが不要になるのはいつから?どうやって卒業していくの?乳幼児睡眠の専門家が解説していきます。

寝かしつけはいつまで必要?

明確に「●歳までは寝かしつけが必要で、その後は不要になる」という基準はありません。“もう●歳なのに寝かしつけしているのはおかしい”ということもありませんし、家庭それぞれに家族みんなが幸せに感じられている方法がとれていれば何も問題ありません。

ただし、寝かしつけをするママやパパが毎日の時間を負担に感じてしまっているなら、卒業を目指したいものですよね。

そういった視点でいえば、ひとつの基準となるのは生後6カ月です。生後6カ月からは赤ちゃんが1人で寝付けるように練習をすることができます。これをねんねトレーニング(略してネントレ)と呼びます。

6カ月よりも小さい赤ちゃんは、どうしても親のサポート(抱っこや授乳、トントンなど)がないと寝付けないこともありますが、6カ月を過ぎた頃からは練習次第で1人で寝ることもできるようになります。

寝かしつけの卒業とは?

寝かしつけを卒業するというのは、親のサポートがなくても1人で寝られるようになる、ということです。たとえば、親がおやすみの前のハグと挨拶をして部屋を出て行ってしまっても、そのまま1人で就寝できる…というような状態を指します。

それ以外でも、

  • 親が隣で寝ていると勝手に寝る
  • 特に何もしなくても部屋の中で見守っていれば寝る

といったような状態で親が「寝かしつけしていない」と感じられているのであれば、それも卒業していると捉えて良いでしょう。生後6カ月以降であれば練習次第でこのような状態に持っていくことは可能です。

ただし、その練習の仕方によっては泣きを伴ったりすることもあるため、“ねんねトレーニング=赤ちゃんを泣かせるもの”という印象を持っている人も多いかと思います。

短期間での習得のためには泣きを伴うことも多いですが、時間をかけて泣かせずにトレーニングしていくことも可能なので、そういった方法も選択肢に入れていただくことをおすすめします。

こういったトレーニングは赤ちゃん期であれば、ある程度親が主導して取り組むことが可能ですが、幼児さんになってくると自我が強くなり、同時に共に親への依存度も上がってくるので難しさが変わってきます。

幼児期以降に寝かしつけ卒業を目指す場合には、いかに本人が親が出ていくことや関わらないことに関して“納得できているか”というところが重要になります。十分に遊びきって満足していたり、親と寝ることに恥ずかしさを感じたり、それをルールとして納得できたりしていれば、ずっと親がついていなくても寝られるようになりますよ。

1人で寝られるようになるために

寝やすい環境を整えよう

1人でもスムーズに寝るためには眠りを妨げない快適な睡眠環境になっていることが大切です。たとえば光については、光っているものがあると気になってしまったり、その光に注目してしまって眠気が遠のいてしまったりすることもあります。こういったケースでは真っ暗の寝室にしてあげるのが良いでしょう。

一方で、幼児の場合は真っ暗だとオバケなどを連想して怖がることもあるので、その場合は薄明かりをつけていてあげたほうが安心できることもあります。

また、室温も重要です。暑すぎても寒すぎても眠りづらくなってしまうため、冬は18〜20度、夏は25〜27度程度にして、その室温にあわせた涼しめの服装にするようにしましょう。目安は大人よりも1枚薄い程度。着せすぎや部屋の暖めすぎには注意が必要です。

寝ることに納得できるルーティーンを

子ども自身が就寝に納得できるように、月齢や年齢にあったルーティーンを設けると良いでしょう。ルーティーンは例えば「お風呂→スキンケア→授乳(水を飲む)→絵本を読む→歯を磨く→電気を消す→おやすみの挨拶をする」といったような流れです。毎日同じ流れを繰り返す中で「これをして、これをしたら寝る」と体が覚えることにより、自然とリラックスモードに入りやすくなります。

1歳以降はねんねのお友だちも有効

お気に入りのぬいぐるみや好きなキャラクターが出てきたら、それらをねんねのお友だちとして持たせてあげるのも有効です。ママやパパにくっつくかわりの安心材料として機能させてあげましょう。

ポイントは本人が気に入っているものであること!こちらが強制的に「これをお友だちにしなさい」といってもなかなか安心できるものではないので、子ども自身に選ばせてあげると良いでしょう。0歳の赤ちゃんは寝床にやわらかいものがあると窒息の危険性があるため、1歳以降での導入を推奨しています。

寝かしつけは必ずしも卒業しなければならないものではありません。ママやパパ、家族みんなが幸せであれば、そして子どもの安全が保たれていれば、どういった形でも構いません。「毎日の寝かしつけ、早く卒業したい…!」と思っている人には、ぜひこの記事を参考にしていただければ幸いです。

この記事を書いたライター

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ねんねママさん

乳幼児睡眠コンサルタント(CISA/米国IPHI資格)。個別コンサルテーションやねんね講座の他、運営する「寝かしつけ強化クラス」では月間200問以上の睡眠に関する質問回答を行っている。日本初の乳幼児睡眠を専門に学べるYouTube「寝かしつけ専門学校 ねんねママちゃんねる」を立ち上げ、運営。その他にもInstagramやVoicyなどのSNSでも寝かしつけに悩む親向けの情報を発信中

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