子どもがお箸をグーの形に握ってしまう、正しい持ち方を教えようとしてもうまくいかないという悩みから、そもそもいつから持たせるべきか分からないという質問まで。お箸をスムーズに持てるようになるにはどうしたらいいのでしょうか。

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グー持ちになってしまうお箸や鉛筆、正しい持ち方をどうやって教える?

保育の現場で保護者からよく相談されることのひとつに、お箸や鉛筆の持ち方に関する悩みがあります。子どもがどうしてもグーの形に握ってしまう、正しい持ち方を教えようとしてもうまくいかない、というものから、そもそもいつから練習させるべきか分からないという質問もあります。

一般的にお箸を使い始めるのは早い子の場合で2歳終わりくらいからだと思いますが、個人差があるのでいつが望ましいということはありません。早め早めに練習を始めさせたいと考える人もいますが、私個人の考えとしては、お箸はスプーンでうまく食べられるようになってからで十分だと思います。今スプーンをグー持ちにしている子どもにお箸を与えたとしても、同じことになるだけだからです。

ただし、早めにお箸を与えて良いのは<子どもが自らやってみたい!>と切望しているときです。年齢の近い兄弟・姉妹がいる場合など、普段からお兄さんやお姉さんがお箸を使って食べている姿を見ている子どもは、同じように自分もお箸を使いたいと言うケースが多いでしょう。そんな場合では「あなたにはまだ早いから…」と否定せずに、専用のものを用意してあげると良いと思います。

「○○ちゃんも大きくなってきたから、○○ちゃん用のお箸を用意しようね」と一緒に選びに行くのもいいかもしれません。それをきっかけに頑張ってお箸を持つようになる子もいれば、明らかにまだ早かった、ということもあるかもしれませんが、それは本人が使ってみて実感すると思います。

早かった場合には「じゃあスプーンが上手になったら、またお箸を使ってみようね」と一旦しまっておいてもいいでしょう。

重要なのは三本指の動きを洗練させること

スムーズにお箸や鉛筆を持つようにするためには、実はそれ以前にどれだけ指先をよく使っているかが鍵になっています。お箸と鉛筆を握る手の形はほとんど同じです。どちらの場合も親指・人差し指・中指の三本で一本の棒をコントロールします。

お箸の場合はここにもう一本を追加するわけですが、三本で握っている上の一本をメインに動かします。つまり、この三本指を細かく動かすことに慣れていれば、比較的スムーズにお箸・鉛筆を持てるようになるわけです。

二つの写真の手の形はほとんど同じですね。

ここに下のもう一本を追加して持ちます。

私が子どもだった頃は食事のたびに両親に厳しく箸の持ち方を指摘されていたものですが、それだとせっかくの食卓が楽しくありませんよね。食事中に持ち方を教えるとすれば、まさにいま苦労している子どもに「こうすると持ちやすいよ!」と子どもの手に手を添えて見せるか、もしくは大人が箸を持っている手を見せてあげるかが良いと思います。急な上達を目指すより、ゆっくりと慣れていくイメージで進めていってはいかがでしょうか。

子どもの様子を見て指先をうまく使えていないと思うなら、次に紹介するような指先のトレーニングをやってみてください。あくまで「練習」としてではなく、子どもの楽しい遊びとして誘ってみてください。

指先のトレーニングにピッタリの活動

自分で身支度をしたり、家庭でお手伝いをするなどで普段から指先をたくさん使っていれば、それが自然にトレーニングになってといる思います。もしもちょっと足りていないかな、と思うなら以下のようなものを試してみてください。子どもが楽しくできるようなものが良いと思いますので、それぞれで工夫をしてみるといいと思います。

ボタンの留め、外し

三本指を鍛える代表的なものといえば、ボタンの開け閉めです。上着のボタンはぜひ自分でとめてもらいましょう。

ふたの開け閉め

ふたを指先で回転させて開け閉めする動きも指先の運動に向いています。ぜひいろんな大きさの容器を用意して、開けたり閉めたりしてみましょう。

おさじですくう、運ぶ

三本指をおさじを持つ手は、まさに鉛筆やお箸の場合と同じ形です。

豆やビー玉などをおさじですくってみましょう。

おさじをグー持ちにしてしまう場合は、「こうするともっとやりやすいよ」と正しい持ち方を見せてあげてください。子どもが嫌がらなければ、手を添えて一緒にすくってみてください。

トングでものを掴む

これもお箸を持つ手を同じ形になりますが、お箸よりもっと簡単に使えて良い運動になります。

ものをつかんで別の皿に移してみましょう。

洗濯バサミを扱う

指先に力を入れることに慣れていないと最初は難しいと思いますが、洗濯バサミでの活動もとても楽しいです。

写真のようなイラストを用意して洗濯バサミを挟んでみるのはどうでしょう。あるいは、洗濯ばさみをたくさん用意してつないでみるのも楽しいです。

楽しみながら、指先を細かく使うことに慣れていってほしいと思います。「早く正しい持ち方を教えなくちゃ!」と焦る必要はありません。本音を言えば、お箸の持ち方が多少良くなくても、小さいうちはおいしく食べられることの方がもっと大切です。じっくり、ゆっくり取り組むと良いと思いますよ。

この記事を書いたライター

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堀田はるなさん

モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。

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