保活をしているママにとって、2月頃からはじまる合否発表までは不安でいっぱい。発表までの日々をどう過ごせばいいの?認可外の条件、料金、メリット&デメリットは?「保育園を考える親の会」の代表である普光院亜紀さんがアドバイスしてくれました!

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お話を聞いたのは

普光院 亜紀さん

「保育園を考える親の会」代表。保育、仕事と子育ての両立について、執筆・講演活動をおこなう。自身も2回の育児休暇をとって、2人の子どもを保育園に預けた経験をもつ。著書に『共働き子育てを成功させる5つの鉄則』(集英社)など。
>保育園を考える親の会

認可保育園に落ちた場合はどうすれば?

多くの自治体では、認可保育園への申し込みは11~12月ころが締め切り。ホッとしたのもつかの間、受かるかどうか不安でたまらないママも多いのでは。合否の通知が届くのは早くて2月上旬、遅くて3月上旬です。

「あとは合否を待つだけ。でも、認可に落ちた場合のシミュレーションはできていますか? もし、まだ何も考えていない人は、今すぐ情報を集めて動きましょう。」と普光院さんはいいます。

認可への入園が厳しい地域に住んでいる場合は、認可外保育施設をすべり止めとして申し込んでいる人が多いもの。そのため、認可保育園に落ちてから慌てて認可外保育施設を探すのでは遅いようです。

「以前は、認可外保育施設は認可保育園に落ちてから直接申込みに行けば入園できる施設でした。でも、認可保育園への入園の厳しさの影響で、認可外保育施設も早めに保活しないと入れない地域があるのが現状です。

認可外保育施設は先着順で締め切る園も多いので、早い人は夏頃から見学を始めて、認可保育園よりも前に申し込んでいます。」

申し込み開始が1月など、認可外保育施設によって手続きはさまざま。もし、まだ認可外保育施設について調べていなくても、今からなら十分間に合います!

認可保育園と認可外保育施設って何がどう違うの?

保育園は毎日、子どもを長時間預ける大切なところ。まずは改めて、認可保育園と認可外保育施設の違いをおさらいしておきましょう。

認可保育園

施設の広さ、保育士の数、設備などの国の基準を満たして、自治体の認可を受けた保育園。公立は園庭が広く、ベテランの保育士が在籍していることが多いです。私立は園によって保育内容に特色があるので、子どもに合った園を探せるというメリットも。

近年は、幼稚園と保育所の両方の良さをあわせもった「認定こども園」も増えています。

定員 0~5歳全体で20人以上
保育料 世帯所得、自治体、子どもの年齢・人数、保育時間によって金額が決まる。国が「第2子は半額、第3子は無料」と基準を定めている
申し込み先 各市区町村
選考方法 保育の必要度(勤務時間や生活状況)を点数化して、点数が高い家庭から入園が決まる

入園の難しさは住んでいる地域によって、大きく変わります。東京23区は特に激戦区で、3人に1人が認可に落ちている状況。

「保育園を考える親の会」の2017年の調査によると、23区で入園決定率がもっとも高かったのは、豊島区の90.8%。逆に一番低いのは港区の48.2%で、2人に1人が落ちていることになります。

国の認可を受けているものは他にも

保育料や選考方法は認可保育園と同じです。

小規模保育 3歳未満児を対象に、定員は6人以上19人以下の少人数
家庭的保育(保育ママ) 保育士や家庭的保育の研修を受けた「保育ママ」の自宅で預かる。3歳未満児を対象に、定員は5人以下。4人以上預かる場合は補助が1人必要
事業所内保育 企業や病院などが従業員のために設けるもの。地域枠で従業員以外の子どもも受け入れている
居宅訪問型保育 保育士が自宅に来て保育をおこなう。子どもが障害児であったり、保護者が夜間勤務だったりなど、集団保育が困難な子どもが対象

認可外保育施設

認可保育園以外はすべて認可外になります。認可外は大きく分けて2つ。

  1. 自治体の基準を満たして助成を受けている保育室。東京都の「認証保育所」、横浜市の「横浜保育室」など。
  2. 国や自治体の助成を受けずに運営している保育所。
  3. 国が助成する認可外として2016年に制度化された「企業主導型事業所内保育」。企業が直営あるいは認可外保育施設と法人契約を結んで、従業員のために設ける事業所内保育。認可の事業所内保育とは保育料や基準が異なっている。

保育料はそれぞれの施設が独自で決めるため、認可より高くなる場合が多い。「助成を受けていない認可外保育施設は、基準が低く、保育料収入だけで運営されているので、質にはかなりバラツキがあります。」

保活の考え方として
まずは認可、その次に認証保育所を探すのがベスト

倍率も園によってさまざま。「認可保育園への入園が激戦区となっている地域では、認可外保育施設がすべり止めとなるので、“キャンセル待ちが100人”なんていう施設も。

でも、認可保育園に受かった人はそちらに流れ、認可外保育施設でも複数申し込みをしている人が多いので、意外と順番が早く回ってくるものです。」

認可保育園に入園するメリットは?

認可保育園に入れたいと考える家庭の一番の理由は、やはり保育料の安さ。中間所得階層にとって、認可の保育料は認可外に比べて、とても安いです。23区で見ると、3歳未満児で保育料(※中間額)が安い自治体ベスト3は

1位 渋谷区 7490円
2位 中央区 1万3100円
3位 練馬区 2万600円

逆に最高所得層になる家庭の場合には、月額が7万円以上になる自治体も少なくないので、認可外保育施設のほうが安いというケースもあります。

「保育料が第2子は半額、第3子は無料になります。2人目が産まれたら保育料が倍というのではきついので、1人目が認可外保育施設に入った人も、2人目が産まれる前に認可保育園に転園させようと考える人は多いと思います。」(出典:保育園を考える親の会「100都市保育力充実度チェック2017年度版」より)

※中間額とは、所得控除前の年収が夫496万2396円・妻78万7584円、夫の社会保険料額を69万4735円、子ども1人とした第1子保育料

認可保育園の入園で不利な家庭でも、入園しやすい認可外保育施設

認可外保育施設のメリットは、認可保育園の入園で不利な状況の家庭でも入りやすいこと。自営業やパートで勤務時間が短い人は、認可保育園への入園はどうしても不利に。でも、認可外保育施設は点数制ではなく、施設が独自の選考基準をとっています。

「認可保育園は例外なく点数制ですが、認可外保育施設の場合は園との直接契約で、直接施設に申込んで、施設が入園者を決めます。先着順や抽選の施設が多いですが、保護者の熱心さを考慮することもあるでしょう。まずは実際に見学に行って、手続き方法を会って直接聞いてみることです。

認可保育園に入りにくい状況の家庭は、まずは認可外保育施設に入園させるのも、ひとつの手です。」と普光院さんはいいます。

「ひとまず認可外保育施設に入園させて在籍した実績を作る。半年以上在籍すると加点になる自治体が多いので、その点数を活用して認可保育園に転園する、というのも賢い方法です。」

認可外保育施設の見学時にチェックすることは?

まずは、通える範囲にどんな認可外があるか調べてみましょう。

「該当の施設が認証保育所なのか、それ以外の認可外保育施設なのかは、自治体の“入園のしおり”を見れば一目瞭然。リストに認可なのか、認証保育所なのか、助成を受けない認可外なのかといった区別が明記されています。助成を受けない認可外は掲載していない自治体も多いでしょう。」

通えそうな施設が見つかったら、さっそく見学に行ってみましょう。見学するときに、チェックすべきポイントは下記3点!

見学で狭さに驚くことも

認可保育園に比べると、認可外保育施設は施設の面積が狭いです。0~1歳児の場合、認可保育園は1人あたりの面積が3.3平方メートル以上、認証保育所は2.5平方メートル以上が基準。

「0・1歳児はこじんまりした環境のほうが落ち着くと言われていますが、狭さにも限度があります。見学で子どもがぎっしりいるように見える施設では、子ども同士のかみつきやひっかきも発生しやすく、保育士も1人ひとりにていねいにかかわることができません。」

「ゆとり」は施設の方針にもよる

「同じ認証保育所でも、本当に2.5平方メートルまで詰め込んでいるところと、比較的余裕のあるところがあります。経営者の方針にもよるので、子どもがいるときの保育室の状況を確認したほうがよいでしょう。

また、赤ちゃんと幼児は部屋を分けるよう行政は指導しています。活発な幼児が一緒だとケガが起こりやすいし、0歳児には十分なハイハイのスペースが必要だからです。」

園庭がない施設では、外遊びはどうしている?

認可外保育施設には園庭がないところが多く、最近は認可保育園でも園庭がないところが多くなってきています。子どもの発達にとって、体を動かす外遊びはとても重要。園庭がない場合には、どんな外遊びをしているのかがポイント。

実際に公園に見に行ってみよう

「もし、どこの公園に行くのかを聞くことができたら、平日10:00頃にその公園に行ってみましょう。私が見た公園では、1時間以内で7施設のお散歩がきました。子どもが混ざらないように保育士たちも必死で、子どもは満足に遊ぶことができず。実際、公園に行ってみないとわからないものです。」

若い保育士が多いときは、こんなところに注意!

認可・認可外を問わず、新設の施設には若い保育士が多くなりがちです。リーダーシップをとれるベテランがいないと、チームワークがうまく回らない状況も見られます。

見学時に、保護者が保育の質を見極めるのは難しいですが、食事や睡眠、排泄など、子ども一人ひとりに合わせた保育ができているかどうか、子どもの目線になって見てみましょう。

忙しい時間帯の保育士をチェック

「保育士同士のやり取りに耳を傾けてみましょう。食事の前など、保育士さんの仕事が増える時間帯に立ち会えたらチャンス。忙しくても、落ち着いて子どもの相手をできているかどうかを確認しましょう。

子どもに大きな声で指示をしていたり、子どもの手を引っ張っていうことをきかせていたら、保育士が未熟な証拠。」

どうしても認可保育園への入園を目指したい!

居心地のいい認可外保育施設を見つけて就学まで通う家庭もありますが、施設によっては、子どもの成長とともに手狭に感じたり、園庭がないことが気になったり、幼児が少なくて集団保育での教育が気になったりすることは多いでしょう。

認可保育園への入園の倍率が高い地域に住んでいて、しかも加点が少ない状況である家庭の場合、入園が難しくない地域への引っ越しを考えるのもアリです。

引っ越し先の候補を挙げたら、まずはそこの役所に行って前年度の入園状況を聞いてみましょう。「私でも認可保育園に入れますか?」と漠然とした質問には答えてくれませんが、実績を聞くと教えてもらえます。

「フルタイム勤務の人は、例年どのくらい認可に入れていますか?」、「〇〇線〇〇駅周辺の入園状況はどうですか?」などと、できるだけ具体的に聞いてみてください。

そして、もしもすぐに働かなくても許される状況なら、育児休暇を延長するという手もあります。2017年10月からは、育休が2年まで延長できるようになりました。

「不本意なところに預けて無理に復帰しても、あとで不安になって続けられなくなる場合もあります。職場の意向もありますが、思い切って育休を延長するということも視野に入れてみましょう。」

不安でいっぱいなママへ。「希望を捨てずに頑張って!」

「あまり悲観的にならずに、前向きに頑張ってほしい。」と普光院さん。

「もちろん認可保育園に入れるのが一番ですが、もし落ちてしまっても信頼できる認可外保育施設を見つければ大丈夫。そこで加点をもらって、再チャレンジすればいいのです。

23区の場合、多くの自治体では0~1歳児は認可保育園への入園が厳しいですが、2歳児は少し楽になって、3歳児はさらに入りやすくなります。4~5歳児クラスになると、激戦区の港区でも空きがあるほど。」

そう、いつかは必ず入園できるのです。
前向きな気持ちで、希望を捨てずに
頑張ってください!