家事に子育て、仕事…。目が回るほど忙しい毎日も、労いや気遣いの一言で報われたり、ちょっとした気分転換でまた頑張ろうという気持ちになれたりするものですよね。身近なプチ贅沢で気分転換、いつもより少しゴージャスなご褒美パンはいかがでしょうか?

File 17. 小川町「むぎくらべ」

9月下旬以降は過ごしやすい気温の日が増えて、秋が深まってきました。

「食欲の秋」も本番、今回はそんな季節にふさわしいパンをはじめとする「国内産麦」を使ったものを販売するお店を紹介します。

麦のアンテナショップ「むぎくらべ」

日本初の国内産麦アンテナショップ、2018年7月にオープンしたばかり

店名は「むぎくらべ」、東京メトロ小川町駅のB7出口を出てすぐの場所にあります。周辺はビジネス街であるばかりでなく学生街でもあるため、店の前は常にたくさんの人が行き交います。

多くの人に国内産麦で作られた製品を食べてもらい、そのおいしさを知ってもらうためのスペースとして一般社団法人全国米麦改良協会がはじめました。

店頭はパンをはじめとする麦製品の販売コーナー、その奥には麺類が味わえるカフェという構成になっており、パンだけではなくうどん・ラーメン・パスタ・ピザ・スイーツなどが味わえます。

  1. 国内産麦を全力で応援、食糧全体の自給率UPを目指す!
  2. 出店者にとって魅力的なシステム
  3. 利用者として感じる魅力

国内産麦の伝道師

麦にもさまざまな種類がありますが、その中でも最も知られていて、食糧として利用されているのは小麦かもしれません。パンやうどんなど日々食卓にあがるものに加工されています。

その小麦の自給率、なんと2016年度でわずか12%。日本で消費されている小麦のほどんどが海外から輸入されているのが現状です。もともと日本で作られてきた小麦はタンパク質の含有量が少なく、現在のようにパンや中華麺の原料に出来るようになるまでには品種改良が必要でした。

技術の進歩によって改良が進み、加工は可能になったのですが、海外製品と比較したときに価格競争力などで及ばないことから自給率もなかなか上がらないのが現状です。

そこで立ち上がったのが品種改良に取り組んできた一般社団法人全国米麦改良協会(以下「米麦協会」)。まずはたくさんの人に国内産の麦のおいしさを知ってもらい、消費者からのニーズを高め、多くの企業で原材料として採用されるようにするのが狙いです。

店頭にはパンの他にも、全国の麦製品が並びます。

小麦を始めとする穀粉は主食の主原料として使われるので、国内産麦の自給率があがれば食糧全体の自給率も当然UPするはず。食糧自給率は2016年度カロリーベースで38%、先進国の中では最も低い水準と言われ、世界中で食糧がひっ迫すると予想される中で大きな問題となっています。

「むぎくらべ」はそのあたたかみのあるロゴマークの奥に、この大きな課題へ立ち向かう意気込みを秘めたお店なのです。

知って欲しい、食べて欲しい、思いを込めた出店システム

消費者に安全性や品質の面から国内産麦を浸透させていくためには、どんなものなのか口にしてもらうことが一番。そのためには、このスペースに国内産麦のメーカーや、その製品を使用して商品を作るお店に気軽に出店してもらえるシステムがないと成り立ちません。

そこで考えたのが

  • 出店料無料
  • 調理室設備完備
  • 配送費事務局負担
  • 販売手数料は売上金額の5%のみ
  • 最低限の備品用意
  • ホール・会計は事務局対応

といった運営方針です。

運営は株式会社カタボーが受託、ディスプレイは出店者が施すことも可能

遠方でも小規模でも、これなら無理なく都心で自社製品の宣伝をすることができそうですね。

期間も一週間つまり5営業日単位なので、まずはお試しで…。といったお店も出てきそうです。

パンやスイーツの販売スペース用に専用の調理室もあるので、自店のパンを使ったホットサンドや作りたてスイーツの販売などといった再出店もあり得ます。

ある週のランチメニュー「上州麦豚の豚しゃぶとたっぷり野菜のサラダ中華めん」、好みのドレッシングが選べました。

カフェでは麺類の提供ができるよう、ゆで麺機を備えた調理室を完備。出来上がりを客に知らせる呼び出しベルがあるので混乱もなく運営がスムーズにできるのも魅力です。

飲食スペースは23席とコンパクトながら、一人からグループまで対応可能な席構成になっており、シンプルモダンでオシャレながらくつろぎ感のあるスペースとなっています。

通いたくなる店、もっと知りたくなる店

出店者だけではなく、私たち消費者にとっても魅力的なお店。ガラス越しにおいしそうなパンが見えるのでふと目を止めてみたら、店頭に週替わりでお店が変わると掲げてあった、それだけで心が躍ります。

ふらりと中に入ってみると、奥のカフェでは麺類が週替わりで異なるメニューで楽しめることが分かり、それから通りかかる度にのぞき込んでみる癖がついてしまいました。

私にとってはやはり一番気になるのはパンなので、遠方のパン屋さん、近くても行動半径外のパン屋さんのパンが並んでいるとつい入店してしまいます。そして、送料や交通費、行くための時間を気にせず1個から購入できるのはこんな機会でもないと!とレジに向かっています。

カジュアルで居心地の良いカフェスペース、昼時は周辺に勤務する人々でにぎわいを見せています

カフェを初めて利用したときは、2つ驚きがありました。

1つ目は値段。こうしたイベント出店的なところは少し高めという既成概念を持っていたため、想定よりずっと安くて驚きました。

そのときに気付いたのですが、パンも決して高くありません。出店料無料、送料事務局負担というシステムは、出店者だけでなく買い手にとってもうれしいシステムとなってくれているようです。

もうひとつはカフェの麦茶。無料で提供されている麦茶の大麦までが定期的に変更されていたのです。タダのものにも手抜きしないコダワリとその味わいの深さに感動を覚えました。

こうして毎週全国から届く国産小麦のパンを買い、ランチに国内産麦の麺を楽しんでいるうちに、今週はどこの小麦なんだろうと気になりだします。まさに仕掛け人である米麦協会の思うつぼ、かもしれませんが、楽しませていただいています。

店名 むぎくらべ
Webサイト https://mugikurabe.com/
所在地 千代田区神田小川町2-1-1 檜ビル1F
電話番号 03-6811-0595
営業時間 月曜~金曜 10:00~18:00
定休日 土曜日、日曜日、祝日

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福地寧子さん ( パンコーディネーター )

1日3食、年間1095食以上パンを食べ続けて四半世紀。そんな小麦まみれの生活の中で見つけたキラリと光るパン屋さんをご紹介します。

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