「家で笑顔の時間が増えた!」「子どもと思い切り遊べるようになった」…。こんな声を寄せてくれた読者が実践しているのが、 「チーム育児」です。自分の周りにいる人・モノを上手に巻き込むコツを、浜屋祐子さんに聞きました。

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お話を聞いたのは

浜屋祐子さん

(株)グロービス研究員。社会人向けの経営教育事業に携わりつつ、仕事と育児の両立を応援する講座等を行っている。共著に「育児は仕事の役に立つ ワンオペ育児からチーム育児へ」(光文社新書)。2児の母。

「チーム育児」を実践している読者4人にインタビューした記事はコチラ!

家族に一番いい選択を。〝頼り上手〟になっていこう

“チーム育児”は、大きく二つの捉え方ができると思っています。狭い意味では、一人で抱え込まずに誰か(主に夫・両親・保育園の先生など)と協力・連携して行う育児。

一方、広い意味では、家事代行サービス、時短家電、スケジュール共有アプリといった近年さまざまに発展・普及しているサービスやツール、それにメンタルを維持するためのSNSなどでのつながりだって、あなたのチームだと捉えられます。

自分や夫の状況や考え、自宅の地理環境、金銭事情などは家庭それぞれ違うもの。ですが、少し視野を広げてみたら、必ずあなたをサポートしてくれる人やモノがあるはずです。苦手にしている人が多い“頼る力”も 訓練で身に付けられるスキルです。場数を踏んで、ぜひ頼り上手になっていきましょう。

「チーム育児」をうまく進める3つのポイント

勇気を出して 「ヘルプ」を発信してみよう

真面目で頑張り屋が多い日本の働くママは、「ヘルプ」の発信が苦手ですよね。家事をすることがストレス発散になったり、自分でやりたい人もいます。けれど、いっぱいいっぱいになりそうなら、ヘルプの声を発信すべきです。助けを求められた人からしても、誰かを助けることで“自分が役に立つ人間なんだ”と自己肯定感が生まれることもあるそうですよ。

どんな家族になっていきたいのか 希望を明確にしよう

わが家に必要な「チーム育児」を知るためには、まず、どんな家族になっていきたいのかを明確にすること。そして、今何に困っているのか、大変だな、と思う一日の活動を書き出して“見える化”してみます。すると、割愛できることや試してみたいサービスなどが見えてくるはずです。大事なのは、子どもの成長や仕事の状況の変化に合わせて随時“見直し”を行うことです。

夫婦は「尊敬すべき他人」。 “見て察して”は難しいと思おう

チーム育児の一番身近なパートナーは“夫” という人が多いと思いますが、心に留めておきたいのが、夫婦は「尊敬すべき他人」であるということ。“言葉にしなくても分かってほしい” はムリ。職場でも、スムーズな業務進行のために、必要な人に声掛けをしたり資料を用意したり、段取りをしますよね? 同じことを夫婦の間でも実行することが大切。

教えて浜屋さん!こんなときはどうしたらいいの?

非協力的な夫を今からでも「チーム育児」に 巻き込む方法はありますか?(東京都・38歳)

夫との「チーム育児」の体制作りは、しっかり情報共有をして、夫婦での情報格差をできるだけなくすことが大切です。すでに“手遅れ感”があるなら、少し荒技にはなりますが、保育園からの緊急連絡先を夫にしてみるのも手。どんなタイミングでどれだけの回数の連絡が入るのか、わが子を守るために各所にどれだけの調整が必要なのか、肌で感じることができると思います

すぐ頼れる人がいないし、夫婦だけで乗り越えてきたけれど、「チーム育児」って必要?(埼玉県・40歳)

子どもが小さいうち、特に子どもが一人だと“夫婦二人で何とかなるし、何とかなってきた”という方は多くいらっしゃいます。私の経験を紹介すると、子どもが小学校に入学するタイミングで、学校や学童に提出する書類に「連絡ノートを託す友達の名前」や「緊急連絡先に父母以外の連絡先」の記入欄があり、入学前にもかかわらず、急に横のつながりを求められて焦りました。そこでいきなり慌てることのないよう、保育園のうちは“周りを頼る訓練期間”だと思って、いろいろトライしてみるのもいいのではないでしょうか。

※この記事は、2020年5月発行の「ぎゅって6月号首都圏版」に掲載した記事を再編集したものです

イラスト/木波本陽子