子育てに自信のあるママなんて、どこにもいない!家庭教師・塾講師、東大生・早大生を育てた母であり、子育てセミナーを主催する楠本佳子さんに教わる連載コラム「能力をのばす子育て」。19回目は「子どもの語彙力」について。

言葉を知らない子どもたち

人のことを理解するのにも、自分を理解してもらうのにも言葉が必要です。

勉強は、すべて言葉が基本です。

授業を聞くのも、問題を解くのも、言葉を知らないと何も始まりません。それは国語だけでなく、理科や数学も同じです。

塾で教えていると、わからない問題があったとき問題の解き方を質問するのではなく「この問題文の意味がわかりません」と聞いてくる子どもがよくいます。

問題の解き方を知る以前に、問題の意味を理解できていないのです。簡単な問題ならわかるけど、少し複雑になると問題文がわからなくなる子もいます。

そして、「問題文がわかりません」と言う子は、どの科目の問題もわかりません。わたしが教えている中にも「この問題、意味不明~~~!」と叫んでいる中学生の女の子が何人かいました。

トラブルを説明できない中学生達

問題は勉強だけではありません。最近の中学生は、学校でトラブルがあっても説明ができない子どもが多いと聞きます。

うまく伝えることができないから「もういいわ」と諦めてしまい、大丈夫ではないのに「大丈夫」と言ってしまうようです。

小学校の低学年ならこの話もわかりますが、中学生になって、状況説明ができない、自分の気持ち、自分の感情を相手にわかるように説明することができないのです。

状況を理解してもらうように言葉を選び、理路整然と話をするのができないようです。

小さいころからの親子の会話が大切

これは学校の授業で教わるとか先生に教えてもらうことではありません。親が小さいころから、子どもの言葉が間違っていたら一つ一つ直していかなくてはいけません。

毎日話をするお母さんが、人にわかるように話すことを少しずつ教えていくのです。わからなければ質問し、秩序立てて話すこと学んでいくのです。

学校の先生は約30人の生徒を相手にしています。一人一人の言葉や話し方を正していくのは無理です。

子どもはわけのわからないことを言います。それを放っておくとわけのわからないことしか言えない大人になってしまいます。そして、もう理解してもらえないからいいやと諦める人間になってしまいます。

小さいころからどれだけ親とコミュニケーションを密にしているか、親はきちんと話を聞いてあげて間違っていると直してあげているか、それが積み重なって、何年後かに現れてきます。

大人になってから言葉がわからないと、勉強するのは非常に大変です。子どものころからの読書と親子のコミュニケーションの大切さを感じます。

教えてくれたのは

楠本佳子さん

こどもみらい塾(岡山)」塾長。自身の子育てや教育経験を活かし、ママを対象としたセミナーや個別相談も行っている。著作に「12歳までに勉強ぐせをつけるお母さんの習慣」>ホームページはこちら