熱いものに触れることで起こる【やけど】。調理中のキッチン、お風呂のお湯、アイロンなど、日常のなかでも【やけど】の危険性があるシーンは多いです。万が一のときに知っておきたい対処法を動画で解説します。

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動画で解説【やけどをしたときの応急手当方法】

教えてくれたのは

横田俊一郎先生

横田小児科医院院長。78年東京大学医学部を卒業し、東大病院小児科へ入局。その後、大学病院、関連病院で小児科診療に従事。血液・悪性腫瘍グループに属する。88-93年は社会保険中央総合病院(現「東京山手メディカルセンター」)小児科部長。93年に父の後を継いで小田原市北ノ窪にて開業。97年より現在のクリニックを新築。
社会保険中央総合病院小児科に就職し、日本外来小児科学会の設立に関わってからは、外来診療を中心に、ありふれた病気、健康増進のための医学、子育て支援をテーマに勉強を続けている。
▶横田小児科医院HP

子どものやけどが起きやすいシーン


熱いものに触れることで起こる、やけど。日常のなかでも、危険性なシーンが多く、深いやけどや広範囲のやけどは命に関わることもあります。例えば炊飯器や加湿器などの蒸気は、子供にとっては興味の対象。おもしろがって触ってしまう危険があります。

危険なものが手の届かないところにあっても、安心するのは禁物です。とくに、コードがあるものには注意しましょう。コードを引っ張ってしまったことで、電気ケトルが倒れて熱湯がかかったり、落ちたヘアアイロンを握ってしまい、手のひらをやけどするという事故も、多くあります。

花火の火花が足に落ちて水ぶくれができることもあります。サンダルではなく靴を履かせるようにしましょう。また、日焼けによる皮膚の炎症も、やけどと同じです。

やけどの深さと範囲

子どもがやけどをしたときは、重症度を確認しましょう。やけどの重症度は、深さと範囲で決まります。まずは、深さ。

やけどは、Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度の3段階の深さに分類されます。

  • Ⅰ度は、表皮のやけど。赤くてヒリヒリする程度
  • Ⅱ度は、表皮の下の組織である真皮まで熱が達しており、水ぶくれができる
  • Ⅲ度になると、熱が脂肪組織まで達して、皮膚が白っぽくなり、痛みをあまり感じない

そして、やけどをしている範囲。子どもの場合は「5の法則」を使って、面積を把握します。頭部を20、手足の1本ずつを10、身体の前面・背面を20 ずつとして、合計100% のうちどの程度やけどをしているかを判断します。

この「深さ」と「範囲」から、やけどの重症度がわかります。小児では、

  • Ⅱ度のやけどが10~20% の範囲 に及ぶ場合、またはⅢ度のやけどが2~5%の範囲に及ぶ場合は中等度のやけど
  • Ⅱ度のやけどが20%以上の範囲に及ぶ場合、または、Ⅲ度のやけどが5%以上の範囲に及ぶ場合は重度のやけど
    • と判断します。

      中等度以上の場合は、必ず病院へ連れて行きましょう。中等度以下であっても、不安なことがあったり、水ぶくれができている場合は、医師の診察を受けましょう。

      やけどをしたときの応急手当


      やけどをしたときは、まずは患部をしっかり冷やすことが大事です。熱さが残っていると、炎症がどんどん深くなってしまいます。流水で少なくとも20分、できれば30分冷やします。頭部など、水道水で冷やしにくい部位は、タオルで巻いた氷や保冷剤を使って冷やします。全身のやけどの場合は、冷たいシャワーを浴びせてもよいでしょう。

      Ⅰ度のやけどであれば、炎症が落ち着いたら、そのまま何もせず様子を見ましょう。やけどの部位に刺激を与えるのは良くないので、子どもが気になって触ってしまうようであれば、ワセリンなどを塗って保護したり、清潔なガーゼを当て、その上から包帯を巻いても構いません。

      衣服の上からやけどをした場合は、無理に服を脱がせると、皮膚がはがれてしまう可能性があるので、衣服を着せたまま、冷やしましょう。

      やけどをした箇所には、何も塗らずに病院へ行きましょう。また、水ぶくれを破いてしまうと細菌感染の恐れがあるため、なるべく破かずに診察を受けるようにしましょう。

      子どもの「もしも」のときために

      子どものやけどを防ぐために、まずは危険な状況を作らないことが、一番大事です。そして、もしやけどをしてしまったら、焦らずに、まずは冷やすことを優先して、患部の状態をよく観察するようにしましょう。

      監修:横田俊一郎(小児科)
      制作:株式会社こどもりびんぐ/株式会社照林社/株式会社エイトリンクス
      ナレーション:神路めぐみ(株式会社ヴイ・フォーク)