2歳児に針を持たせるなんてと驚く人もいると思いますが、道具を工夫すれば幼児でも針仕事を楽しむことができます。前回は針を使ったアクセサリー作りを紹介しましたが、今回は針の本来の使い方である「縫う」という活動をやってみたいと思います。

index目次

2歳半からできる針の仕事

モンテッソーリの教具には、子どもたちの身の回りにある生活道具をそのまま取り入れたものが多いです。ハサミやのりはもちろんですが、洗濯バサミやつまようじなど意外なものも使っています。

縫いものに使う「針」もそのひとつ。前回の記事では2歳半の子どもが安全に楽しめる道具選びと、アクセサリーを作る活動を紹介しました。今回はついに、本来の「縫う」活動に入っていきます。

挑戦するのは「基本のなみ縫い」です。普段裁縫をする人もそうでない人も、おそらくみんな知っている基本の「き」。大人にとっては普通すぎておもしろみにかけると思うかもしれませんが、初めて縫いものを体験する子どもにはとっても新鮮で楽しそうに見えるらしいのです。男の子も女の子も一度ハマれば毎日でもやりたくなる魅力があるようですよ。

初めての縫いもの「基本のなみ縫い」

直線のなみ縫いに挑戦します。大人が本当に縫いものをするときには布を使いますが、初めての子どもにとっては布を抑えながら針を入れるのが難しいので、台紙として画用紙を使用します。

対象年齢 2歳半から
※安全のため、必ず大人が一緒に行ってください

活動のねらい

この活動によって子どもは次のような体験をします。

  • 指先の細かな運動
  • 集中力を養う
  • 表・裏という順序性に慣れる

じいっと集中する子どもの真剣な表情はとてもかわいらしいものです。時々口が開いていたりして、こちらが癒されてしまいます。

用意するもの

  • 針(太めの刺繍針)、糸、はさみ(前回の記事で子どもが使いやすい道具の選び方を紹介していますので参照ください)
  • 穴あけ用の目打ち
  • 小さいタオル
  • 色画用紙

穴あけ用の目打ち
台紙に穴をあけるために使います。手芸用のものか小さなキリで、なるべく子どもの手に合う小さいサイズを選んでください。

小さいタオル
台紙に穴をあけるときのマットとして使うので、おてふきタオルのサイズが便利です。タオルがあることで台紙に穴が開けやすく、机にも傷がつきません。教室ではタオル地の周りをぐるっと縫っています。

色画用紙
縫いものの台紙を作ります。白の画用紙でも構いませんが、子どもが自分の好きな色を選べるように何色か用意すると良いです。ここではB4版のサイズの紙を8等分して作っていますので、1枚の台紙は約6.5cm×18cmになっています。子どもが使いやすい大きさなら違うサイズでも構いません。

穴をあける場所を示す点を描きます。縫いはじめと縫い終わりが裏面になるよう、点の数は必ず偶数になるようにします。

子どもの好きな絵を描いても楽しいです。これで準備完了です!

やってみよう!

  1. 子どもに台紙を選んでもらいます。小さいタオルの上に台紙をのせて、目打ちで穴をあけます。いくつか大人が穴を開けるところを見せて、あとは子どもにやってもらいます。尖っているので手を刺さないように気をつけることを伝えます。

    穴をあけ終わったら、忘れている場所がないか確認します。裏返してみるとわかりやすいですよ。

    危ないものなので、使い終わったらすぐに所定の場所に戻す習慣をつけさせます(キャップがあればすぐにキャップをする、裁縫箱の中にすぐ戻すなど)。

  2. 糸を切ります。二本どりにするので長めにしましょう。今回の台紙サイズなら大体50cmくらい。教室では、ちょうど子どもが使用している机の幅と同じくらいなので「机と同じくらいの長さだよ」と目安を伝えています。目安を伝えておくと、慣れれば子どもが自分で糸の長さを決められるようになります。
  3. 針を子どもに見せ、穴の位置を確認します。糸を通す様子を子どもに見せます。あるいは針を子どもに持たせて一緒にやってみるのもOKです。慣れてきた頃には子どもが自分で糸通しをできるようになります。
  4. 糸を通したら端を合わせ二本どりにして玉結びをします。2歳半の子どもに玉結びは難しいので、やっているところを見せるだけで構いません(私はいつも結ぶ直前までおこなって、子どもに糸の端を引っ張ってもらっています)。
  5. 玉結びが台紙の裏にくるように、裏から針を入れます。
  6. 紙を表に返して針を引っ張り出します。
  7. 隣の穴に針を入れます。これを繰り返していきます。
  8. 通し終わりました。
  9. 糸を切り、端を玉止めしてできあがりです。

針を通すたび、紙を表・裏に返しながら縫うのが難しいところです。初めのうちは紙をひっくり返さずに縫い進めてしまって糸が紙に絡んでしまいます。「まーえ、うしろ」と声に出しながらやってみるのもいいと思います。1枚やるだけでも大変だと思いますが、慣れてくればどんどん楽しくなってきます。

慣れてきたら〜応用編

「基本のなみ縫い」に使った糸とは別の色の糸を使って、間を埋めるように縫ってみてはどうでしょう。

こんなふうにできたら成功です!

上手にできるようになったら、直線縫いから曲線へ。簡単なイラストの周りをぐるっと一周縫ってみるのも楽しそうですね。ぜひ親子で試してみてください。

この記事を書いたライター

ライター一覧 arrow-right
堀田はるなさん

モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。

堀田はるなさんの記事一覧 v-right