モンテッソーリ教育において欠かせないキーワードである「敏感期」。その中でも生まれてから4歳半までの「運動の敏感期」と呼ばれる時期にぴったりなおもちゃの作り方・遊び方をご紹介します。

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「運動の敏感期」とは

前回、「モンテッソーリ・メソッドとは何か」というお話をしました。

モンテッソーリ・メソッドでは「敏感期」という、子どもが自らの「ある機能」を伸ばすために「特定の刺激」に対する感受性を持つ時期のことを言います。

「敏感期」の中に「運動の敏感期」と呼ばれる時期(生まれてから4歳半くらいまで)があります。日常生活に必要な体の使い方を学ぶ時期です。

いたずらじゃない!これも子どもの発達に必要な訓練

例えば、幼い子どもが目を離した隙に箱からティッシュを次々にひっぱり出してしまって困った、というのは良くある話ですが、決していたずらをしたくてやっているわけではありません。

これらは、子どもが指先の動きを洗練させるために適した運動です。運動は大きく分類すると3つに分けられます。

  1. 体全体を動かす(粗大運動)
  2. 手や腕を動かす
  3. 指先を動かす(微細運動)

とりわけ1~2歳は指先や手の運動に夢中になる時期です。たくさん指先を使うことで動きが洗練され、のちに道具をスムーズに使うことができるようになります。

1~2歳の子どもが特に大好きな活動

  • 「にぎる」
  • 「つかむ」
  • 「ひっぱる」
  • 「つまむ」
  • 「入れる」

これらの行動は子どもの発達に必要な訓練であって、ごく自然な欲求なのです。「それやっちゃ駄目!」と言う前に、子どもが満足するまで取り組めるおもちゃを用意してあげられるといいですね。

なぜ手作りのおもちゃがいいの?

子どもは発達段階の過程で一つの興味に集中することがあります。子どもが延々と同じ遊びを繰り返すのは、ある機能を発達させようと無意識のうちに集中している現象なのです。

しかし、子どもが「これはもうやりきった」という実感を得たときには、自然に繰り返しをやめ、別のものに興味を示す、同じ種類のもっと難しい活動に取り組むこともあります。

おもちゃの場合も同じことが言えます。

「あれほどハマっていたおもちゃなのに、もう見向きもしなくなったわ。飽きっぽいのね。」と思うかもしれませんが、それはもう子どもがやりきった活動なのかもしれません。

一つの活動に対する興味は一時的なのです

だからこそ、家にあるものでおもちゃを手作りするのがいいと思っています。時間をかけて立派なものを作る必要はありません。ちょっとした工夫で、誰でも子どもの興味にあわせたおもちゃが出来ます。

経済的なうえ、子どもの発達段階に合わせて作り替えていくことも出来ます。

手作りおもちゃ「ボール落とし」

空き箱とボールを使ったおもちゃを作ってみます。対象年齢は1~2歳を想定していますが、子どもの発達にあわせて難易度を調整するコツも活用してみてください。

材料

  • ボール5~6個(口に入らない大きさ)
  • かご
材料は100円ショップで揃えたのですが、家にあるものでも大丈夫。箱はシンプルな色・柄で、ボールを全部入れても少し余裕がある程度がベストです
かごも同様。ボールが全て入り、少し余裕のあるものが良いです。

作り方

  1. ふたを裏返し、穴をあけるためのガイドラインを引く
  2. 対角線上に十字に印を付ける。ボールの大きさに対して少し短めに
  3. カッターでガイドラインに沿ってふたに切り目を入れる
  4. 定規を使うときれいに切れます。テーブルを傷つけないようにマットを敷いて
  5. 箱の表から裏へ向かって、切り口を倒したら完成です
  6. ボールをのせてみて穴が小さいようなら、切り口を少しずつ大きくして調整する。穴はボールに対して少し小さめに、上から手で押せば入る程度にするのがコツ

作成のコツ

  • 最初は大きく穴をあけずに、ボールをのせながら少しずつ調整する
  • 穴はボールに対して少し小さめにして、上から押せば入る程度に

子どもと遊んでみよう

子どもが見ている前で、大人がまずやり方を見せます。コツはしゃべらずに、動作をゆっくりと見せること

  1. かごからひとつボールを取る
  2. 穴にのせる(あれ?そのままでは入らない…。)
  3. 上から手のひらでギュッと押してみる
    入った!スポッと入る感触が何とも気持ちいい!
  4. 子どもが手を出したら、あとは任せて見守る。手を出さないようなら、ひとつボールを渡して穴を指し示したり、子どもの手を取って一緒に入れてみる
  5. ボールをすべて箱に入れたら、ふたを開けて見せる。大人がひとつボールを取って、かごに戻す
  6. 残りのボールをかごに戻すのは子どもに任せる
  7.  

  8. 箱のふたを閉めて、もう一度やってみよう!

やり方を見せるときのポイント

  1. 動作を見せるときはゆっくりと。しゃべらない
  2. 子どもが自分でやり出したら、任せて見守る
  3. ふたの開け閉めも子どもにさせてみましょう

難易度調整のコツ

子どもの年齢や発達段階によって作り替えられるのが手作りおもちゃの良いところ。具体的な調整方法は以下です。

  • ボールをつかむことに慣れたら、小さめのボールを使っても良し
  • 小さなものをつまめるようになったら、おはじきを使ってみるのも楽しい
  • 年齢が2歳を過ぎたら、球だけでなく三角や四角など形を変えてみる

子どもの指先の発達の度合いにあわせて作ってみてくださいね。

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この記事を書いたライター

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堀田はるなさん

モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。

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