保育園で子どもが成長に合った生活を送るために、毎日書く連絡帳。書き方の決まりはないとはいえ、迷いはたくさん。保育士として38年間連絡帳と向き合った井上さく子さんに単刀直入に聞きました。

答えてくれたのは

井上さく子さん(新渡戸文化短期大学 非常勤講師)

臨床育児保育研究会・環境部会世話人。目黒区立の保育園で38年間保育士として勤務。園長として保育士生活を終えた後は、保育環境について研修会や講演会を行っている。著書に『保育士としての生き方』(イースト・プレス)など。

question特に書くことがなく困ります。

食事・排便・睡眠と子どもの体調で気になる点は大切な情報です。特にまだ話すことができない乳児は連絡帳が頼り。細かい項目があると思いますが、正直にちゃんと書きましょう。

中でも排便は大事。排便をしたかしないかで先生たちの心持ちも変わります。もし出ていなければ、園でマッサージをしたり排便を促すこともできます。忙しいときは、必要な項目以外は「今日も元気です」などヒトコトでもOKですよ。

question食事内容など、つい見栄を張ってウソを書くことも…

2歳を過ぎると子どもたちは言葉が豊かになります。家のこともたくさん話してくれるので、ウソはバレますよ。

食事内容がいつも同じになって悩むなどのメッセージをもらえたら、保育園で人気の簡単に作れるメニューを教えてあげることもできます。正直に書いてください。先生は連絡帳の情報だけでなく、普段接している中でママを見ているので、連絡帳だけを見てダメと思うことはありませんよ。

questionどんな言葉遣いで書いたらいいのかが分かりません。

ありのままで。気負わずに書いていいですよ。子どもの様子が分かるように、情景が浮かぶような書き方がいいですね。

伝えたいと思った場面を、親の思いも添えながら書くと、伝わりやすいです。親の思いが書かれていると、どんな思いで子育てをしているのかが園と共有できます。

question家での出来事で気になることは相談していいですか?

本当に悩んでいることは、直接お話しするのがいいと思います。連絡帳には相談したい要点だけ書いておけば、先生たちも準備をしてくれるはず。

忙しい先生に時間をもらうのは申し訳ないと遠慮せずに、困ったことがあれば相談してください。子どものことだけでなく、ママ自身の悩み事もいつでも受け付けてくれるはず。先生はママの悩みが軽くなることで、子どもと過ごす時間も変わると思っています。

question園への要望を書いていい?

保育園への要望などは、連絡帳のやり取りだけでは意図が伝わらずトラブルになることもあります。連絡帳ではなく、直接、園へ「相談です」と困っていることや悩んでいることを伝えましょう。クレームとしてではなく、相談するという気持ちで。

questionただの日記になってしまいますが、いいのでしょうか?

日記でもいいですが、子どものいいところや、家でできるようになったことや、昨日とは違う成長の姿などを、シンプルなエピソードで伝えられるといいですね。園でも同じことをやってみたり、先生が子どもを褒めたりすることができますよ。

毎日の成長記録でもある連絡帳は親子の宝物

長い園生活で数え切れないほどたくさんの連絡帳を見てきました。連絡帳は保護者にとっては育児書となるもの。0歳から年長までの記録ノートとなるので、質問や困ったことだけでなく、子どものいいところを探して書いてほしいと思います。

ちょっとしたエピソードでも連絡帳にずっと書き続けていくことで、一つの物語になります。そういう視点で書こうとするとワクワクしてきますよ。

文体はこだわらずに。素直な文章がまっすぐに相手に届くので、構えないでくださいね。届けたいことを一日一つに絞って書くといいと思います。

私は自分の娘がお嫁に行くときに、保育園の連絡帳と母子手帳を桐の箱に入れてのしを付けて送りました。とても大事な宝物のような一冊です。子どもの成長記録として残せる、ということを念頭に置きながら連絡帳と向き合ってください。

※この記事は、2018年7月発行の「ぎゅって8月号」に掲載した記事を再編集したものです