/ 2017.09.25

家庭教師・塾講師、東大生・早大生を育てた母であり、子育てセミナーを主催する楠本佳子さんに教わる連載コラム「能力をのばす子育て」。6回目は「子どもの英語教育」について。

子どもの頃にやったのに…と、嘆くお母さん

英語をいつからさせるべきなのか どこまでさせるべきなのか?ひとまず英語をさせておかなくてはいけないと思っているお母さんは多いのではないでしょうか。

小さい時にこんなことをしたらよいなどと、うたっているものはたくさんありますが、それが中学生高校生になった時どうなったかという話はあまり聞きません。英語は得意な生徒、得意苦手な生徒が両極端にいます。その家庭で英語への熱心さや、取り組み方が違うから当然だと思っていたのです。

しかし、兄妹であまりに得意不得意が違う家庭があり、これはどうしたことだろうとお母さんに聞いてみたのです。

中学生のお兄ちゃんは英語が不得意。特にリスニングは点が取れない。それに比べて小学生の妹は、文法はあまり覚えてないもののリーディングも要点はつかんでいるし、リスニングも得意。

同じ家庭だけど 妹の方に英語は力を入れたのかと思ったら、「上の息子の方がたくさんお金をかけて、たくさんさせました。妹よりずっとさせたのに、なぜこんなことに…」とお母さんが嘆くことも。

できるようになった子どもと全くできなかった子どもの違い

これはお母さんだけが言っていることではないのです。全く別の生徒自身が「小さいころ英語を習いに行ったけど何の役にも立たなかったわ、お金捨てただけだったわ」と話していました。幼少期にどのような英語を習っていたかというのも大事です。

しかし、生徒やお母さんの話を聞いていると、それよりもできるようになった子と役に立たなかった子の大きな違いは子どもの興味があったかどうかが一番の決め手ではないかと感じました。

英語が話してみたくて仕方なかった子ども。外国人にあこがれていた子ども。スポーツ選手になって海外に行きたい子ども。外国の映画スターや歌手が好きな子ども。

理由はどんなものでもいいのです。英語を話してみたいと、英語を習いたいと子どもが思ったのか、親だけの考えで通わせたのか。そこにお金と時間を有効に使えたか、ただ無駄にしただけであったのかが、何年もたってから現れるのです。

前にでてきた兄の方は、英会話を習わせに行っても日本語でべらべらおしゃべりしていて、英語を話そうとしなかったそうです。そのようなときは、親もすっぱり諦めてやめた方がいいでしょう。無理矢理行くより、時期を待つ方が得策です。

お母さんの安心感だけでは?

時期がこなかったらどうするの?とお母さんから質問が来そうですが、中学生になってみんなで一斉にしなくてはいけないのと、小さい時に、無理強いするのでは違います。小さい時にどんどん嫌になり、拒否反応がでてきたのをそのまま続けると根深いものになります。

ゼロスタートどころか、マイナススタート。それもかなりのマイナススタートになってしまいます。子どもが嫌がるならやめる。そんな親の勇気が必要です。

何のために英語を習わせますか?
・みんながやっているから?
・自分(親)が不安だから?

それは本当に子供のためになっていますか。親の安心感だけにはなっていませんか。

英語を習わせる前に、英語に興味をもたせる、やってみようかなと思わせる方が先です。それは、どんなくだらない理由でもいいのです。

きっかけはどんなに幼稚でも、やっていくうちに、また新たな世界が広がり、違う発見もあったりするのです。子どもは、同じところにとどまってはいません。

教えてくれたのは

楠本佳子さん

こどもみらい塾(岡山)」塾長。自身の子育てや教育経験を活かし、ママを対象としたセミナーや個別相談も行っている。著作に「12歳までに勉強ぐせをつけるお母さんの習慣」