2017.07.10 / 2018.08.02
家庭教師・塾講師、東大生・早大生を育てた母であり、子育てセミナーを主催する楠本佳子さんに教わる連載コラム「能力をのばす子育て」。8回目は「叱る基準」について。
叱る場面は2つだけ
子育てを学校で習うこともなければ、教科書もありません。だから、しつけも叱るところも家庭によって千差万別。やはり見本は自分の親、育てられた環境によります。
でも、それは正しいのでしょうか。みんながやっていることなのでしょうか。他の家庭はいったいどこまで許して、どこで叱っているのでしょう。
正直なところ、子育てにこれが正しいなどというものはありません。でも、これを軸に考えようと、基準のようなものは持っておいた方がいいと思います。たくさんあるようでも、叱る場面は2つ。
- 自分の命にかかわるとき(健康のかかわることも)
- 人に迷惑をかけるとき
それ以外で叱るのは全部親の都合ではないでしょうか。私も始めから、叱る基準がわかっていたわけではありません。でも、自分がなぜ子どもを叱ったかをつきつめて考えてみると、親の都合のなんと多いことか。
怒ったり、叱ったりする場面はそんなにないものです。日常生活を振り返って、子ども目線で考えると「なぜ、叱られなくちゃいけないの?」「なぜ、怒られるの?」という場面は多い気がします。
例えば、洗濯物をたたんで少しの間、床に置いていたとします。それを子どもたちが、走ってきて蹴とばしたとします。あなたならどう言いますか?子供を怒りますか?
これも子どもから言わせればそこに置いているのが悪い。サッサと片づけないのが悪いとなるでしょう。子どもが言わないだけです。
やってはいけない叱り方
一番よくないのは、同じことをしても昨日は叱られたけど、今日は許された、というように一貫してないことです。
例えば、昨日はテレビを2時間以上見たら怒鳴りまくったのに、今日は4時間見ていても何も言わないなど。日によって変わるとなぜいけないのでしょう。
まず子どもが混乱します。「何が正しいの?」親のどの言葉を信じていいかわからなくなります。そして、親への信頼感が薄れます。「どうせ言うこと変わるし」そうなると親の言うことを聞かなくなります。
あなたは、話がコロコロ変わる会社の上司についていきたいと思いますか。あえてその上司を選ぼうと思わないでしょう。朝令暮改という四文字熟語もあるくらいなので、昔からそのような人は、多かったのかもしれません。
よくお母さんが「うちの子、全然言うこときいてくれない」とこぼしますが、言うことを聞かない子どもを作ったのはお母さんかもしれません。
教えてくれたのは
- 楠本佳子さん
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「こどもみらい塾(岡山)」塾長。自身の子育てや教育経験を活かし、ママを対象としたセミナーや個別相談も行っている。著作に「12歳までに勉強ぐせをつけるお母さんの習慣」