/ 2018.08.02

家庭教師・塾講師、東大生・早大生を育てた母であり、子育てセミナーを主催する楠本佳子さんに教わる連載コラム「能力をのばす子育て」。8回目は「叱る基準」について。

叱る場面は2つだけ

子育てを学校で習うこともなければ、教科書もありません。だから、しつけも叱るところも家庭によって千差万別。やはり見本は自分の親、育てられた環境によります。

でも、それは正しいのでしょうか。みんながやっていることなのでしょうか。他の家庭はいったいどこまで許して、どこで叱っているのでしょう。

正直なところ、子育てにこれが正しいなどというものはありません。でも、これを軸に考えようと、基準のようなものは持っておいた方がいいと思います。たくさんあるようでも、叱る場面は2つ。

  1. 自分の命にかかわるとき(健康のかかわることも)
  2. 人に迷惑をかけるとき

それ以外で叱るのは全部親の都合ではないでしょうか。私も始めから、叱る基準がわかっていたわけではありません。でも、自分がなぜ子どもを叱ったかをつきつめて考えてみると、親の都合のなんと多いことか。

怒ったり、叱ったりする場面はそんなにないものです。日常生活を振り返って、子ども目線で考えると「なぜ、叱られなくちゃいけないの?」「なぜ、怒られるの?」という場面は多い気がします。

例えば、洗濯物をたたんで少しの間、床に置いていたとします。それを子どもたちが、走ってきて蹴とばしたとします。あなたならどう言いますか?子供を怒りますか?

これも子どもから言わせればそこに置いているのが悪い。サッサと片づけないのが悪いとなるでしょう。子どもが言わないだけです。

やってはいけない叱り方

一番よくないのは、同じことをしても昨日は叱られたけど、今日は許された、というように一貫してないことです。

例えば、昨日はテレビを2時間以上見たら怒鳴りまくったのに、今日は4時間見ていても何も言わないなど。日によって変わるとなぜいけないのでしょう。

まず子どもが混乱します。「何が正しいの?」親のどの言葉を信じていいかわからなくなります。そして、親への信頼感が薄れます。「どうせ言うこと変わるし」そうなると親の言うことを聞かなくなります。

あなたは、話がコロコロ変わる会社の上司についていきたいと思いますか。あえてその上司を選ぼうと思わないでしょう。朝令暮改という四文字熟語もあるくらいなので、昔からそのような人は、多かったのかもしれません。

よくお母さんが「うちの子、全然言うこときいてくれない」とこぼしますが、言うことを聞かない子どもを作ったのはお母さんかもしれません。

教えてくれたのは

楠本佳子さん

こどもみらい塾(岡山)」塾長。自身の子育てや教育経験を活かし、ママを対象としたセミナーや個別相談も行っている。著作に「12歳までに勉強ぐせをつけるお母さんの習慣」