時短で、賢く、楽しく子育て。働くママでも、毎日たった5分からできる!知育や子どもの心と体を育てるノウハウを、SakuraEdu代表の荒井聖子さんに教えてもらいます。今回のテーマは「食の経験」について。

食の経験

食育の場では「選食力を高めよう!」という声かけがされています。人間の身体は口から入る物で作られていると考えれば、「何を食べるか」が心身の健康においてとても重要な意味を持つからです。

でも、年間1000回以上の食事において、毎回それをするのは億劫であり、しかも仕事と育児を両立している中では、つい簡単に便利にとおなかを満たすこともありますよね。

そんな中、多くの幼児達と接していて、最近とても気になるのが「食の経験の少なさ」です。背景にはネットショッピング、レトルト食品、インスタント食品、テイクアウト、デリバリーなど、コロナ禍でより便利になった社会情勢があると思います。

デリバリーの業者名は知っていても、長芋やごぼうは知らない、丸ごとの魚は見たことがない、キャベツとレタスの見分けが付かない、野菜や果物の旬が分からないなど、聞いていると日本の食文化の豊かさとはほど遠い子ども達の知識。

好きな「おうちのごはん」を聞くと8〜9割がカレーで、材料はかろうじて分かる子がいる程度。お弁当を覗くとミートボール、ブロッコリーかミニトマト、ポテトなどレトルトや冷凍食品かな?と思ってしまいます。

朝ごはんを聞くと、菓子パン、シリアル、バナナがかなり多い様子です。焼き魚や煮魚を食べたことのない子が、「ツナサンドは食べたことあるよ!」と言っていて、思わず唸ってしまいました。

いずれもダメではありません、手軽に完成品を食べても良いのです!でも、日本は四季折々にさまざまな野菜や果物があり、旬の物は味も良く栄養価も高く、魚もおいしい時期が違います。

その味や香りがもたらす生命の力、材料そのままのおいしさを知ることで、子ども達の感覚はより鋭くなるでしょう。青魚には脳の働きを良くすると言われるDHAが多く含まれ、緑黄色野菜は免疫を上げると言われます。

また安全とはいえ食品添加物の存在や、塩分糖分も気になります。タンパク質不足なのか筋力が弱い子、「疲れた」が口癖の子、ケガや風邪の多い子、グルテンの影響かぼんやりしている子なども見かけます。

子育ての時期に手をかけた料理が必要なわけではありませんが、少しの時間がかけられる日なら、子どもと売り場に行って旬の食材を見せてください。そして生き生きとした食材なら、そのままでも、茹でる、焼く、煮る、炒める、レンチンだけでも、味噌汁でも良いのです。

食卓に並べて味や香りを存分に楽しみながら、季節や気候の話、食材の栄養素、産地や地理、海流、地形、歴史的背景、食の文化、地方の名産品など、たくさんの話をして分からないことはネット検索で一緒調べてみましょう。

食育は親のリードでしかできません。「食の経験」をどんどん増やしていけば、身体をより丈夫に、五感に刺激を与え、心身をより豊かに、社会や理科の知育にたくさん役立ちます。ぜひ、子ども達の成長力を助けて欲しいと思います。

この記事を書いたライター

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荒井聖子さん

SakuraEdu代表 コドモンテワークショップ主宰 
目黒区民講座講師、幼児教室のコンサルティング、小学校受験指導をしながら、通算100回以上の企画開催。日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師、NPO日本食育インストラクター1級などの資格を生かし子育て支援活動を行う。

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