/ 2020.04.06

海外帰国組は果たして感染者なのか?

今回は海外に住んでいるからこそ見える、日本の報道から感じたことについて。

最近悲しいことに、海外からの帰国者がコロナにかかっていたという話を日本のニュースでよく耳にします。

でも私たち海外在住の日本人からしたら、とても迷惑な話でして…。国名をいちいち挙げてられないのは分かりますが、やはり各国の状況を無視して「海外」で一括りにされることに苛立ちを覚えずにはいられません。

4月から新学年

会社も異動の時期にあたるところが多く、私の周りでは3月に本帰国をした家族が結構いました。もしかしたら、新学期からお子さんの園や学校に、海外から帰国してきたお友達が編入、あるいは入学してくるかもしれません。

そんなときに、皆さんに是非気に留めておいてほしいことがあったので、このタイミングで今回の記事を書くことにしました。

「海外」の一例

例えば、の話で私が住むベトナムの状況を紹介します。

ベトナムの感染者数は、国全体で200人超。決して少なくはないですが日本とは比になりません。3月末現在、死者は1人も出ておらず、約1/4の人たちは退院済みです。

私が住むベトナムは、はっきり言ってまだまだ後進国で、病院の環境は整っていません。

だからこそ、コロナを食い止めようと政府は本気で臨んでいますし、交通ルールは全く守らないベトナム人も、今回はちゃんと発令に従っています。

そうなんです、国中がこの見えないウィルスに対して、本気で戦う姿勢でいるのです。

今ではフライトはほぼゼロ。町中の公園には子どもの姿がほとんど見られません(トップの写真)。

つい先日「一部の地域、例えば東南アジアなどの感染症数の報告が信じられない、という心配もあり…」と日本のテレビで流れたようのですが、もしこの発言が東南アジアへの偏ったイメージから来るものであったら…本当に残念です。

冗談のような、本当の話

以下は噂ではなく、私の目の前で日常的に起きている光景です。

実は最近、あちこちでマンションごと隔離されてしまう事例が相次いでいます。

感染疑いのある人(仮にAさん、とします。)がいた場合、Aさんが集合住宅に住んでいた場合は建物ごと隔離されます。

いきなり警察が来て、隔離してしまうので、偶然そのマンションに来ていた友人や業者、メイドさんなども出てこられなくなってしまうのです。

その後、Aさんの検査結果が陽性だったら、次は隔離されている人たちが全員検査を受けることに。この全員の結果が陰性と判って初めて、マンションの中にいた人は隔離状態から解放されます(隔離期間は約1~2週間)。

Aさんに至っては行動履歴を徹底的に調べられ、その行動が公に。その公になった情報を見て、自分がAさんとどこかで接触していなかったかどうかを確認し、万が一どこかで関わりがあった場合は、ホットラインに連絡します。

このホットラインに電話した人は、Aさん同様「感染疑いのある人」と分類され、先ほど説明したAさんと同じような道を辿ります。

これはほんの一例。

他にもあらゆる方法で、1人残らず感染者を発見して、隔離し、最終的には感染者ゼロを目指そう、というのが今のベトナムなのです。

医療崩壊が起きる前に!

ハッキリ言ってやりすぎだとは感じます。異国の地で突如隔離されたら、子どもたちだけでなく、大人もトラウマになりそうですよね。

しかし、ベトナム国内でコロナに対応できる医師の人数、病院の数を考えると、ここまで徹底するしかないのかな、とも最近は思うようになってきました。

何が言いたいのかというと…

「東南アジア」と聞くと後進国のイメージが強いのか、先ほどの「東南アジアなどの感染症数の報告が信じられない」発言などが出てきてしまうのかもしれません。

しかし、日本よりも衛生状態や病院数に遅れをとっているからこそ、今、いわゆる「後進国」の国々は必死でコロナの感染拡大をストップさせようとしているのです。

だから、もしお子さんの身近に海外から帰国してきたお友達がいても、決して悪いイメージは持たないでいただきたいのです。

これから園や学校で出会う海外からの転校生は、帰国後14日以上経って何も症状が出ていない子どもたちです。そして、初めて、または久々の日本の園や学校にとっても緊張しています。

どうか温かく迎えてあげてください。

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この記事を書いたブロガー

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sariさん

夫、7歳&5歳の娘と4人で海外生活中。シンガポールとベトナムでの子育てや仕事の経験をもとに、アジアの子連れ観光スポットや、現地の教育事情など、日本にいる方にもきっとタメになる情報をお伝えしていきます。

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