2020.01.24 / 2020.01.27
インフルエンザで断乳指示!?
内科を受診し、インフルエンザと診断されたあるママ。
内科の先生に授乳中と伝えると母乳にお薬が移行するので7日間授乳をやめるように言われたそうです。授乳ママになれていない先生だと製薬会社からのお薬の説明書通りにこう言われることがあります。
特に月齢が1歳近かったり、1歳過ぎていれば安易に断乳をすすめられることも多いかもしれません。
しかし何の準備もなく急な断乳はおすすめできません。急におっぱいをとりあえげられた赤ちゃんも不安定になりますし、ママのほうも急な断乳は乳腺炎の危険があります。
本当にインフルエンザのお薬を飲みながら授乳は不可能なのでしょうか?
現在、3歳と1歳の兄弟を育てており、医療関連の仕事をしている筆者が、現在発売されている抗インフルエンザ薬、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ、ゾフルーザの5種類すべて解説していきます。
タミフル(オルセタミビル)
1日2回5日間飲む飲み薬です。
お薬は母乳に移行しますが、非常に少ないため赤ちゃんに影響を与える量ではなく、問題となる可能性は低いでしょう。新生児から飲めるお薬であることも安心ですね。すでに多くの授乳ママに使用されています。
リレンザ(ザナミビル)、イナビル(ラニナミビル)
リレンザは1日2回5日間吸入するお薬です。イナビルは処方後すぐに1度だけ吸入するお薬です。
両方とも吸入薬なので、体に吸収されるお薬はとても少なく、そこから母乳に移行する分となるとごく微量になります。吸入後1~46時間後の母乳中の薬物濃度は、検出できないほどの少量だったと報告されています。安全性は高く、こちらもすでに多くの授乳ママに使用されています。
ラピアクタ(ペラミビル)
これは点滴のお薬で、病院で1度点滴するタイプです。
赤ちゃんや老人など、または意識がないなど、お薬を飲むことも吸うこともできないような場合に使用されます。ママがこのお薬を使用するようなときは、おそらく授乳などできるような状態にない重症かと思います。
授乳ラットでは母乳への移行が確認されていますが、このお薬は「胃腸からは吸収されてにくい形をしており、母乳から摂取しても子への影響が出るほどの血中濃度にはならないと考えらえる」と記載されています。(※米国衛生研究所(NIH)の母乳と薬に関するデータベース「LactMed」)
また、使用成績調査において授乳ママへ使った例は 2例あり、ママも授乳を受けた赤ちゃんも副作用はなかったようです。
ちなみにカネソンの母乳バッグの箱に書かれている水野克己先生の著書では、投与後18~24時間後からの授乳が現実的と記載されています。1日ならまだ何とか乗り切れそうですね。
ゾフルーザ(バロキサビル)
こちらは1回飲むだけの飲み薬です。また子どもも使えるお薬で体重10kg以上の設定もされています。
ヒトの母乳移行に関するデータはまだないものの、体内でそのほとんどがタンパク質と結合して母乳に移行しにくい状態になります。LactMedでも「母乳中にはほとんど移行しないものと推測される」と記載されています。(※LactMed)
授乳による問題は低いと考えられるでしょう。ただ、まだ発売から日も浅くデータもないため、ゾフルーザでなければならない状況でなければ他薬剤にしてもらうのが良いでしょう。
授乳は続けて問題なし
以上のことから、インフルエンザのお薬を飲んでいても授乳はできると考えられます。
使用するのであれば使用経験が豊富で安全性が確認されているタミフル、リレンザ、イナビルにしてもらえるよう先生にお話すると良いでしょう。
しかし、すでにそれ以外の薬剤を飲んでしまったからと言って授乳を中断する必要はないでしょう。断乳して乳腺炎になってしまったらもっと大変です。
赤ちゃんをお世話してくれるご家族がいるのであれば、赤ちゃんにインフルエンザがうつらないよう搾乳して哺乳瓶で母乳をあげてもらうのも良いでしょう。
しかし赤ちゃんをお世話してくれる家族がいなかったり赤ちゃんが哺乳瓶拒否だったりする場合、搾乳するのも哺乳瓶を洗うのもインフルエンザで体が辛い中では負担になりますので、添い乳などママも体を休めながらあげると良いでしょう。母乳からインフルエンザがうつることはありませんので、直母であげて問題ありません。
赤ちゃんへのインフルエンザ感染を防ぐために、赤ちゃんに触る前にはマスクと手洗い・消毒をしっかりし、部屋を加湿しましょう。
(※医療従事者や根拠が知りたい方向けのちょっと難しい話は個人ブログに記載しています)
インフルエンザのお薬を飲んでいても授乳はできる!
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はるこ*いとをかしさん
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5歳と2歳の兄弟を育てる医療系ワーママ。定期的に温泉に行きたくなる病。 子どもを産んだら可愛すぎたのでインスタとツイッターで育児絵日記を描き始めました。 頑張らない日々の育児絵日記、子どもの医療や健康のお話、2人のバタバタ子連れ旅行のお話などを綴ります。