/ 2021.05.06

こんにちは。横浜在住エンジニアワーママ、ゾウです。4月ももうすぐ終わり、長期休暇に入った家庭も多いのではと思います。

保育園・学校・職場…、様々な環境の変化に、心も身体もお疲れ気味な人もいるかもしれません。GWといえど緊急事態宣言下で、リフレッシュもままならない状況に大人も子どももストレスを抱えていないでしょうか。

子どもに多い疾患で「チック」というものがあります。身体の動きや音声がある日突然出現するようになり、意図とは関係なくそれらを何度も繰り返してしまうという疾患です。

ストレスや疲労等が症状の出やすさに影響するとも言われていますが、原因は明らかになっていません。(参考:国立精神・神経医療研究センターHP)

私が10歳くらいのとき、チックを発症しました。当時は大きな病院にもかかり服薬治療なども行ったのですが、完全に症状は消失しないまま現在に至ります。

私一人の経験ではありますが、今お子さんのチック症状で悩んでいる方に体験談としてお伝えできることがあればと思いこの記事を書いています。

※あくまで一般の患者としての意見であり、医学的な見地に基づくものではないことをご留意ください

フルコン!? 私のチック症状

私の症状は、発症当時は音声がメイン、現在は音声はなく運動のみです。

音声症状は、口を閉じた状態で喉を響かせるように「んー」と声を出す、というものでした。唸りと呼ぶには音量もかなりしっかりあり、コントロールできず授業中にも出てしまうので、学校ではクラスメイトに説明が必要でした。

年齢を問わず今まで何人か音声チックを持つ人に会ったことはありますが、小さい咳払いのような症状の人もおり、一言「音声チック」といっても非常に様々だなあと思います。

音として認識されてしまうチックはやはりよく目立つので、何とか我慢してみようとするのですが、零れ落ちるように声になってしまう感覚は子ども心にも気持ちいいものではありませんでした。

ただ、音楽の時間だけは別でした。私の小学校では学年合同の合奏をよく行っており、キーボードや木琴、小太鼓等様々な楽器を使う大規模なものだったため、練習中はいくらチックが出ていても、演奏にかき消され自分も周りも気にならなかったのです。

「チックが出ている自分」というのはどうしてもストレスに繋がります。楽しく演奏しながらスッキリ大声を出せた経験は、症状の改善に繋がったかはわかりませんが印象的な記憶として残っています。

そんな音声チックも、いつの間にかなくなっていきました(いつなくなったかは全く覚えていません…それなりに苦労したような気はするのですが、喉元過ぎて忘れてしまいました…笑)。

運動チックは未だにあり、症状も様々です。頭を縦/横に振る・特定の場所を何度も触る・強いまばたき・本のページを行ったり来たりする・特定の場所を何度も見る・指をピクピク動かす…あたりが多いでしょうか。

私自身は症状の出方を疲労度のバロメータにしており、強く出るようになってきたら積極的に休息を取る、といったように付き合っています。

音声と違い、運動チックはあまり指摘されることはなく、そこまで苦労はしていません。時々「何してるの?」と聞かれることはありますが、チックという疾患があること、疲労やストレスに関連している場合が多いけれど原因は明らかでないこと…を簡単に説明すれば意外と納得してもらえます。

チック患者になるとよくわかるのですが、何かしらの症状がある方は世の中に割といらっしゃいます。みんな頑張って生きてるんだな…と思えるのは、チック患者になって一番良かったことかもしれません。

「フランスへ行きなさい」…?

発症当時は大病院へ通い、服薬治療も行っていました。医学の知識がないため何を服薬してどんな効果があったかまではここでは触れませんが、かなり個性的な先生にかかっていたことは覚えています。

ある日の診察では、先生に何の脈絡もなく「あなたはフランスに行くといい。フランスに行きなさい」と言われました。

おそらく世界に目線を広げれば多様な価値観があり、その中で自分らしく生きていけばいい…というようなことを伝えたかったのではと今では思うのですが、如何せん当時10歳だった私は『よくわからないけどフランスか~それくらいの器があるってことね!? 』と自信過剰な解釈をしました。

結局何となくフランス好きになり、大学の第二外国語ではフランス語を選択し、同じくフランス語選択の夫と新婚旅行にフランスに行ったので、あの日がちょっとしたターニングポイントだったのかもしれません。

また、「ちょっと変わった大人の存在」が多少なりとも拠り所になっていたようにも思えます。

親として、大人として、できること

この4月に私の娘にもチックらしき症状が短期間現れ、患者としてでなく、初めて親としてチックのことを考えました。

チック治療には「気にしないこと」が一番、とよく言われます。当事者としては、最も重要なのは「本当に気にしないこと」ではなく、患者にとってチック症状があろうとなかろうと、「周りの人たちによる患者に対する態度や評価が変わらないと信じられること」、ひいては「気にしていないように見えること」なのでは、と思っています。

子どものチックを気にせず過ごせ!と言われてもなかなか難しいですが、親自身が日々を楽しみ、子どもを愛している気持ちを伝え続けることが大切なのかなと、当事者でもあり親でもある私は考えています。

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ゾウユウコさん

3歳の娘と研究者の夫と横浜で暮らす、エンジニアワーママです。夫婦ともども地方出身・東大卒。住まいの近くに頼れる親族がいない分、夫婦+アウトソーシングで工夫しています。家族で音楽を楽しむことと、子育てしながらのキャリア形成に興味があります。

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