/ 2022.08.03

こんにちは。横浜在住エンジニアワーママ、ゾウです。少し前の話になりますが、夫と娘のどちらかが体調を崩している状態が1カ月近く続き、フィジカルもメンタルも限界を感じていた時期がありました。

食欲不振や眠りの浅さに加え、明らかに姿勢が前傾になっていたり、仕事中、同僚のちょっとしたコメントにイラっとするようになったりと、自覚するくらいにはコンディションが悪く、どうしたもんかなあと思っていました。

そんな中、家族の体調も改善したある日、笑顔の少ない私を見かねた夫に「行って来ちゃえば?」と背中を押され、またしてもお一人様でホテルステイをしてきました。

荷物も最小限に、当日予約で飛び込みましたが、身体を休める以上の経験をした気がするのでブログに残しておきたいと思います。

限界ワーママは外泊中、一体何をしていたのか?

せっかくのホテルステイですから、いかに丁寧に自分を慈しみ、すてきな時間を過ごしたか……を書きたいところですが、限界を超えた私にそんな余裕は残念ながらありませんでした。

19時頃ホテルに到着し、まずは21時過ぎまで、ただひたすらベッドに大の字になってテレビを観ました。

わが家は全くテレビを観ないため、「この番組まだやってたんだ!」と驚いたり、バラエティに出演する「上半期ブレイク芸人」の方を誰一人存じ上げずショックを受けたりしながら、手足を投げ出していると、じわじわと血流が良くなるような、ぽかぽかと身体が休まり温まるような感覚を覚えました。

(頭の中では、冨樫義博先生の『レベルE』で王子が交通事故の後身体の修復をしているときの絵がずっと浮かんでいました。突然分かる人にしかわからない話をすみません。。。)

その後近くのコンビニへ出向き、おにぎり、そぼろ丼、キンパとなぜかご飯づくしのラインナップと缶チューハイ2本を購入し(我ながら判断力が下がっていたと思います)、やはりベッドの上でだらだらと食し、結局2時過ぎにテレビを消して寝ました。

限界ワーママは外泊で、何を得たのか

そんな怠惰な夜を過ごしたちょうど同じ頃、Twitterでは「子育てが大変だと言う人は事前に育児書等で学ぶことをしなかったのか?」という問いに対する反論が巻き起こっていました。この手の問いかけは定期的に炎上している印象ですが、個人的には物事の多様な側面を捉える努力を怠った、議論に値しないものと認識しています。

ただ今回は、ちょっと考えたことがあったので書いておこうと思います。私がホテル宿泊をする予定だったその日は、日中は家族で子ども向けの遊び場に出かけていました。

娘がベビーカーでお昼寝したタイミングで夫と別れ、徒歩数分のホテルへと一人歩くとき、私が感じたのは解放感…ではなく、言いようもない不安感でした。

街を歩くと、すれ違う人は皆身軽そうで、自身のケアをきちんと行っていそうで、かつて私が持っていたはずのものを全て持っているように見えます。傍から見れば私もただの通行人なのですが、私から見る世界には大きな断絶を感じました。

娘と歩くときは、周りを気にして安全を確保し、5分過ごすにも疲弊するくらいですが、いつの間にかそれが私にとっての「完全な」状態、満たされた状態になっていたんだと気付きました。

そしてそれは、アイデンティティの依存でもなく、生活基盤の確立であり、新しい私という人生を私自身が作ってきたんだという実感でした。

その夜のぬるい風や、駅前で歌っていた女の子のギター、泣きたいような気持ちを、妊娠前の私にいくら説明しても理解されるとは思えません。今も文章にしながら、正しそうな言葉を探っている段階です。

失ったものはどうしても多くありますが、自分が選んで得てきたもの、知らず知らずのうちに得たもの、そした得たことに気付けていないものを、何とか自分の手の中に収めるための指南書があるなら欲しいですが、やっぱりそれはないんだろうなと思います。

怠惰の限りを尽くした翌朝、9時にヨボヨボと起き出し、なんとか身支度を整えて短い一人時間は幕を閉じました。ホテルから出て少し歩くと、夫から着信がありました。近くで遊んでいる夫と娘との合流を約束し、私は私の生活に戻ったのでした。

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ゾウユウコさん

3歳の娘と研究者の夫と横浜で暮らす、エンジニアワーママです。夫婦ともども地方出身・東大卒。住まいの近くに頼れる親族がいない分、夫婦+アウトソーシングで工夫しています。家族で音楽を楽しむことと、子育てしながらのキャリア形成に興味があります。

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