ヤモリ、聞いたことはあるけれど、「トカゲ」以外のイメージがない生物というのが一般的な認識だと思います。私もその程度の理解でしたが、たまたま実際に飼ってみて、その能力の特殊さに驚き、そして食事の制約にまた驚かされました。

まさに少年心をくすぐり、そして少年の親を泣かせる生き物でした。

※ヤモリや虫、ヤモリが虫を捕食する写真などが多数出てきますので、閲覧には十分ご注意ください。

ヤモリの種類

最初に基本情報として、代表的なヤモリの種類を紹介します。
・ニホンヤモリ:日本国内に生息、体長は10cm程度

・ヒョウモントカゲモドキ:中央アジアに生息し、体長は20cm程度。レオパード・ゲッコーという別名の通り、体表がヒョウ柄をしている。ペット用として人気

・ヨツメヒルヤモリ:マダガスカル島に生息、体長は10cm程度

・トッケイ:東南アジアに生息、体長は30cm程度

・オウカンミカドヤモリ:オーストラリアに生息し、体長は20cm程度。頭に突起があることから名づけられている

要するに、ヤモリは世界各地に生息しており、地域ごとに独自の進化を遂げているようです。

今回の記事は、日本で捕まえることができるニホンヤモリがベースとなっています。ちなみに、ヤモリは厳密にはトカゲとは異なります。これについては大きな特徴として後で紹介します。

ヤモリの特殊能力1.隠れ身の術

ここから、ヤモリの特殊能力を紹介していきます。まずは体の色です。

普段は灰色がかった褐色をしていますが、周囲の環境に合わせて体色が変化します。原理としては皮膚に含まれる「色素胞」と呼ばれる細胞の働きによるものとされています。

色が異なる3種類の色素胞が3層に重なっており、太陽などの光の反射や散乱を調整することで、体の色を調整しています。また周囲の色や明るさ以外にも、ストレス状態によっても色が変わるようです。

ヤモリの特殊能力2.壁登りの術

ヤモリの大きな特徴が、あらゆる場所に登れる能力です。壁を登ることができる昆虫や爬虫類は多く、それらのほとんどは壁の凹凸に爪を引っかけてぶら下がっています。

ヤモリはそれとは全く異なる方法で壁にくっつきます。原理としては「ファンデルワールス力」(最後は漢字の「力」)を利用して、壁面に吸着しています。

それを実現するため、ヤモリの足の裏には縞模様があります。

この縞々部分にはナノメートルサイズの細かい毛が無数に生えています。

その毛先が壁面の凹凸にぴったりとかみ合うと、ファンデルワールス力という弱い力で引き寄せされます。そのため、ヤモリは壁の凹凸に爪を引っかけることなく、文字通り壁にくっつくことができます。

吸盤のようにくっついているので、他の爬虫類などと異なり、凹凸のないガラス窓も登ることができます。

ヤモリの特殊能力3.暗視の術

ヤモリは夜行性で、暗闇でも動き回ることができます。そして人間は暗闇では色を見分ける力が急激に衰えるのですが、ヤモリはしっかり色を区別できるとされています。

原理としては、桿体と呼ばれる細胞が色を区別できる構造に変化したことがキーポイントになっています。人間など多くの脊椎動物は桿体細胞で明るさを認識し、錐体細胞で色を認識しています。錐体細胞は色が分かる一方、暗い場所では性能が大きく低下します。

暗闇では桿体細胞による明暗の区別に頼ることになるため、色はあまり区別できなくなります。
(ただし経験をもとにした脳の働きによる色補正により、暗くてもある程度は色が見えているように感じます。)

それに対してヤモリは桿体細胞が3種類あり、それぞれが明暗だけでなく色に反応する構造になっています。結果として、ヤモリは暗闇でも獲物を正確に認識して捕食している、ということが2021年に明らかになりました。

以上が、ヤモリの忍者的な特殊能力です。

ヤモリは子供に魅力的だが、子供の親には辛いことが多い

これまでに書いてきたように、ヤモリは宇宙から来た生物かというくらい特殊な能力を持っています。

子供心、特に少年の心をくすぐって放さないことでしょう。しかし実際に飼ってみると、非常に親泣かせなペットということが分かってきました。

特に食べるものは非常に限られています。

コオロギが一番の大好物です。大型のペットショップでは乾燥コオロギを手に入れることができます。

しかし野生で捕まえた我が家のニホンヤモリは、全く口をつけようとしませんでした。野生のヤモリは動いている獲物を食べてきたため、動かないと餌と認識しないようです。

そうなると生き餌を手に入れる必要が出てきますが、大型のペットショップでも餌用の虫を置いている店は多くありません。コオロギの次に好むのはゴキブリなのですが、まさか家でゴキブリを飼うことはできず、継続的な餌にはなりません。

その次に捕まえやすいのがバッタでした。

(虫を捕食する画像が出てきますのでご注意ください。)

バッタは好んで食べてくれました。こうして夏の間は毎週末に公園でバッタ採集をすることになりました。秋はコオロギが捕まえやすくなりますが、冬の餌探しは悩ましいところです。

見た目は愛くるしく、忍者のような能力は魅力的で子供に人気の要素が盛りだくさんなのですが、食事面は非常に親泣かせです。

おまけ

何度もバッタを採集していたら、脱皮の瞬間に遭遇することができました。ヤモリを飼うのは大変ですが、ヤモリ本体以外のところにも発見がある生き物です。

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共働きおやじ研究所さん

4歳と2歳の姉妹を持つ30代中盤の父親です。妻は2022年4月に職場復帰。祖父母サポートなし共働き家庭を続けていくために、父親育児の手法を研究しています。
研究成果を公開し、親父の地位向上を目指しています。
仕事と家庭と自己実現の三方良しが人生の目標です。

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