解決策は提示するものではなく、一緒に模索する!

誰かの相談に乗る時にやってしまいがちなのが、すぐに解決を求めてしまうパターンです。

例えば、カウンセラーさんなど誰かに悩みを聞いてもらう面談があるとします。
(この記事では、相談を受ける人をカウンセラー、相談する人を相談者とします)

カウンセラー:「何か悩んでいることや困っていることはありますか?」

相談者:「最近、仕事でうまくやっていけるか不安で…」

カウンセラー:「そんな時は運動しましょう!」

相談者:「…はい…やってみます…」

会話終了。

カウンセラー:「他に悩みはありますか?」

無限ループ…といった感じですね(^^;;

みなさんも経験がありますでしょうか?

カウンセラーさんからしたら問題を一つ解決したように見えますが、実は何にも解決しないまま、相談者さんの相談の本質がわからないまま会話を終えてしまっています。

相談者からしたら、なんかモヤモヤっとした気分のまま会話が終わってしまって、「そういうことを聞きたかったわけじゃないんだけどな…」という気分になりますね。

そして、「もっと話したい気がするのに、なんとなく会話を終えなければならない雰囲気になったから、もういいや」となってしまうわけです。

それに、解決策をすぐに提示されてしまうと、「まだ私の努力が足りないのか…」「まだ頑張んなきゃいけないのか…」とプレッシャーに感じてガックリきてしまいますよね。

分野によっては、解決することが目的のアプローチ方法もあります。相談支援のアプローチでも、最終的には課題の解決が目的になりますが、それには長い期間がかかると踏んでいます。

こんな最初のうちから解決策を提案してしまうと、相談者との信頼関係が築けないままです。解決策というのは、カウンセラーが提示するものではなく、相談者と一緒に模索していくものなんです!

なので、最初から解決を目的とするのではなく、まずは相手の話をじっくり聞くことを目的としましょう!

「相手の時間を奪ってしまう」という罪悪感から解放してあげる

また、別の例で、

カウンセラー:「(あと5分で面談終わらせないと…)では、今のアドバイスを元にやってみてください。」

相談者:「(あ、なんか会話を終わらせたい空気出してるな…)はい…」

カウンセラー:「他に悩み事はありますか?」

相談者:「(本当はもっと話したいことあったけど…)もう大丈夫です。」

ということもよくあるかと思います。

1時間の面談など時間が決まっていたり、なんとなくクローズの雰囲気を出されてしまうと、相談者からも「あ、もうこれ以上話すと迷惑になっちゃう」と感じてしまい、話したいことを話せないまま終わってしまいます。

悩み話す時間というのは、そんなコンパクトなものではありません。ものすごい時間がかかります。

なので、相談事のために時間を作る場合、2〜3時間は見ておいたほうがいいでしょう。

また、カウンセラーの方は何もしていなくても、相談者の方が「忙しい人だろうし、これ以上時間を奪ってはいけない…」と感じてしまうかもしれません。

「長くなってしまうけど大丈夫ですか?」「時間大丈夫ですか?」と気になってしまうんですね。

なので、相談者からの話を聞く前に、「あなたのお話を聞くことが目的だから、こっちの時間を奪ってるとか心配しなくていいからね。」などと言って、罪悪感から解放してあげると、相手にも安心してもらえます。

相手の気持ちが整理できるようサポートする!

先ほど、話を聞くことを目的にすると申し上げましたが、その理由として、まずは相手の抱えている課題を明確にすることが必要だからです。

これは、カウンセラーが相談者の課題を明確にすることだけでなく、相談者自身が自分の課題をクリアにする必要もあるのです!

悩みを抱えている人もほぼほぼ100%の人が、自分の悩みを整理することができず、頭の中も心の中もぐちゃぐちゃです。

自分の感情を綺麗に話すことなんて到底できませんし、時系列もぐちゃぐちゃです。ものすごく時間もかかります。自分でも何言っているかわからないです。

でも、人に悩みを話すには、とにかく思いついたままを話すしかないのです。「とにかく助けて!」と必死でSOSを出しているんです。

というか、自分の悩みを整理できている人は、そもそも悩んでません。悩みを整理できていないからこそ、相談が必要なんです。

それなのに、そんな相談者に対して、「もっと話をまとめてから来て!」とか「話を簡潔に!結果から話して!」なんて言う人がいるんですよね〜…

控えめに言っても最低です。人に自分の悩みを相談するのは、莫大なエネルギーを使います。それでも、勇気を出して悩みを打ち明けてくれた相談者に対して、↑このような言葉はもはや暴言としか思えません。

相談者に深い傷を負わせ、もう誰にも相談できなくなって、取り返しのつかないことになったら、一体どうするんです?

カウンセラーの役割は、混沌とした相談者の状態をクリアにして、相談者自身が自分の課題を明確にできるよう導いていくんです!

相手の悩みの原因を具体的にする!

例えば上記に挙げた例で見てみると、

相談者:「最近、仕事でうまくやっていけるか不安で…。」

カウンセラー:「お仕事のことでお悩みなのですね。どうしてそのように思われたのですか?」

相談者:「はい、最近ミスが多くて、自分がどんどんダメなやつになっていくんです…」

カウンセラー:「人間なのでミスは必ずやってしまうとわかっていても、ミスをしてしまうと落ち込みますよね。例えば、具体的にどんなミスをしてしまったのでしょうか?」

相談者:「ある時、お客様にブラックコーヒーを出すようにと課長に指示されました。ブラックご所望とのことですが、飲んでいるうちにお客様の気分も変わるかと思い、念のため砂糖とミルクも添えてお客様にお持ちしたんです。もしいらないと言われても、持って帰って来ればいいだけだと思って。そうしたら、お客様にお出しする前に課長が『ブラックなんだからこれいらないだろ!』と、キツく言って砂糖とミルクを突き返してきたんです…。しかもお客様の前で…。それを見てお客様も驚かれていて…。気を遣ったつもりなんですが、裏目に出てしまって…。」

と、このように聞き出すとします。

「仕事でうまくやっていけるか不安…」と、漠然とした不安を抱えている相談者に対し、どんな問題に困っているのか?、具体的に何があったのか?など具体的に聞き出すことが大事なんです!

そうすると、こんなことがわかります↓

気を遣って、ブラックコーヒーに砂糖とミルクを持って行ったというミス

→本人がここまで落ち込んでしまうほどのミスなのか?

→そもそもこれはミスなのか?

→課長はこのことをキツく叱責する必要があったのか?

→相談者は、課長に、お客様の前で叱責されることは日常的にあるのか?

→もしかしたら、課長の指導方法に問題があるかもしれない…

あくまで可能性の話ですが、この相談者の身の回りで何が起きているのか、大体の見当がついてくるわけです。

その上で、カウンセラーは

「お客様の前で、しかも優しさのつもりでやったことを叱責されてしまうと、なんとも言えない気持ちになりますよね。あなたの気の回るという長所を、課長は気付かなかったのかもしれませんね。他にも、課長から厳しく叱責されたことはどんなことですか?」

と聞いていけば、さらに問題が可視化できるかもしれません!

ただ、「仕事で悩んでるってどんなこと?何があったの?具体的には?」などと質問攻めにしてしまうと、相手を追い詰めることになってしまいますので注意しましょう。

相談者と会話のキャッチボールができるようにしましょう。

「上手に話せない…」という罪悪感から解放してあげる!

カウンセラー側は、相談者のぐちゃぐちゃな気持ちを整理できるようサポートすることが求められます。

ですが、相談者側も、

「ああ、まとまってない話を延々聞かせてしまった…」

「意味のわかんない話をしちゃってる…」

「めんどくさい奴だって思われてるかも…」

と、悩みを上手に話せなくて落ち込んでしまうかもしれません。

なので、カウンセラー(相談に乗る側)から、

「上手に話そうとしなくていいんですよ、とにかく思いついたことから話してごらん。」

「あなたが話終わるまで、ずっと聞いてますからね。」

と声をかけてあげると、相談者も安心できるかと思います!

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ぶうちゃんさん うつのない職場作り!社会福祉士ママ

大学で社会福祉を学び、その後は金融営業、弁護士秘書、不動産事務、人事などを経て就労移行支援で発達障害と精神障害をお持ちの方の就労支援に従事。金融営業では全国新規口座開設最高2位、就労移行支援の営業では3カ月で収益を倍増させ赤字経営を黒字に転換。現在は個人で福祉事業所、学校、医療機関、中小企業向けに、うつを予防する雇用環境作りの支援と楽しく収益化をする支援を行なっている。

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